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第3章 魔導
22話
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初夏の兆しを感じさせるかのように、ファレンの花芽が膨らみ、蕾になった。
池のほとりで花たちの様子を見ながら、ヴェルはほっと息をつく。順調にいけば、あと二週間ほどで開花するだろう。
顎に伝う汗を軽く拭って立ち上がるのと、庭に面した門が開くのは同時だった。
そちらに目を向ければ、この暑い中でも長袖を着たノアの姿がある。ノアはヴェルに気付いてひらりと手を振ると、小道を伝ってガゼボの日陰に入った。
「精が出るね、ヴェル」
「ノア。長袖で暑くないの?」
「暑さより大切なものがあるんでね」
ベンチに腰掛けたノアの横に、ヴェルも座った。ノアがじっとヴェルの横顔を見つめる。
「日焼け止めはちゃんと塗ってくれたかな?」
「うん」
「それはよかった。十年後、私に感謝することになるよ」
「はは。なにそれ。……あ、そういえば一昨日、ラヴァド伯爵が来たぞ」
「知っているよ。その後、城にも来たからね。彼のお父上は、三年前の国境大戦でカイと一緒に戦った勇猛な将だった。積もる話もあったようでね。ダオンは嫌そうにしていたが」
ヴェルは水筒から水を煽りながら「ふうん」と相槌を打つ。冷えた水が喉を滑り、胃に落ちていくのが心地よい。
ふと、ノアは痛ましそうに言った。
「聞いたよ。オメガ狩りの被害に遭ったんだって? カイの命令で、実行はダオンだったと」
「あー……、ああ」
「怪我などはしなかったかな。ヴェルも、村の人も」
「怪我人は出なかったよ。家は燃やされたけど、三軒だったから。あの村の人たちなら多分すぐ建て直せると思う」
「そうかそうか。怖い思いをしただろう……。オメガというだけで足枷がたくさんある。まったく、嫌になるね」
ノアは軽く嘆息し、真剣な面持ちでヴェルを見やった。
「その場では聞けなかったが、なぜ、カイの名を騙ってこんなことをしたんだろうね。ヴェル、何か思い当たるものはない?」
ヴェルは水筒を横に置きながら「思い当たるもの?」と首を傾げる。
大きな城下町でオメガ狩りなどしたら目立つが、小さな村ならばバレないと踏んだのか。特にぱっと思いつくような理由はない。
何かないかと記憶を辿ろうとするヴェルに、ノアは微笑みかけた。
「そうだ。ヴェル。これを見てほしい」
「ん?」
ノアは懐から立方体型の魔導具を取り出す。ヴェルは思わずそれを見てぎょっとした。見た目こそつるりと銀色のシンプルなそれは、防音用の魔導具だ。
ノアは迷う事なくそこに魔力を通し、ガゼボをまるごと、遮音と吸音がはたらく透明な膜の中に閉じ込めた。
「ノ、ノア?」
「内緒話をするならこの方が良いと思ってね」
「内緒話?」
ノアは、口の端に薄く笑みをたたえたまま言った。
「これは私の勝手な推測だけど、もしかしたら君の隠し事と、今回の件が関係しているのかな、と」
隠し事、という言葉に、ヴェルの心臓が奇妙に脈打った。先ほどまで暑くて仕方なかったというのに、突然冷や水を浴びせられたかのようだ。それでもヴェルは震えそうになる唇を開く。
「か、隠し事?」
「そう。隠してるんだろう?」
「何のこと……」
ノアは口調を変えずに言い切った。
「魔力のことさ」
ヴェルの顔がさっと青褪める。誤魔化すように、咄嗟に口をなんとか笑みの形にしてみせる。
「……魔力なんてないよ。俺は一般人レベルで」
「一般人レベル? はは。謙遜だな。普通の魔導士レベルですらないだろう? ……違うかな?」
一瞬、様々な言い訳がヴェルの脳裏をよぎる。しかし、ノアのこの確信めいた言葉に太刀打ちできるとは思えない。
底知れぬ叡智をノアの背後に感じ、ヴェルは思わず「あんた何者?」と訊ねた。
「なぁに。しがない魔導士だよ。占いとスキンケアが好きなだけのね」
「占い?」
「そう。占いによると君は、何か大きなものを隠していた」
「馬鹿馬鹿しい。この魔導の世で占いなんて……」
「でも。当たっただろう?」
「何を根拠に」
鼻で笑おうとしたが、上手く笑えなかった。
しかしノアは気にした様子もなく、指で軽くつまめるような、小さな円盤型の魔導具を取り出した。
「これは、市販の魔力探知具。その人の持つ魔力を計測するものだ。これによると、君は一般人レベルの魔力」
円盤には目盛りがついており、それはごく微弱な魔力量を示していた。
一般人の中でも弱めの魔力と呼べるだろう。
この目盛りで高い位置まで行けば、魔導士レベルといったところだ。
ほら見ろ、とヴェルは言い掛けたが、ノアはそれを読んでいたかのように、すかさず、もう一つの探知具を取り出した。
市販のものと異なり、やや大ぶりな円盤型だった。こちらにもやはり目盛りがついている。
「そしてこっちは私が作った魔力探知具でね。これは、その人の持つ魔力の性質から『使ったことのある魔導具レベル』を検知する」
「……っ!」
咄嗟に立ち上がろうとして浮かしかけたヴェルの腰をノアが掴んで、優しく、しかし強制的に座らせた。さすが王族の付き人をしているだけあり、細腕からは想像もつかないほど力が強い。
苦い顔をするヴェルに、ノアは説明を続けた。
「一般人であれば、せいぜい着火具のレベルが出ないとおかしい。けれど君は……」
ノアが手にした探知具の目盛りが、ヴェルに近づいた途端一気に動いた。目盛りの針はビン、と最上位を示したところで止まってしまう。
「ほら。針が振り切れてしまった。つまり君は、過去に強大な魔道具を使ったことがある。戦場武器でもここまでのレベルはなかなか出ない」
「……壊れてるんじゃないか」
「残念、壊れてない。……いいかい? 一般的な魔導士レベルですら使えない魔導具を、君は使うことができた」
ノアはヴェルの腰を片手で抱き寄せたまま、耳元に吹き込むようにして言った。
「つまり君は、魔力を隠している」
ヴェルはぎゅう、と手のひらに爪の痕がつきそうなほど握りこむ。しかし、目盛りを見て、すぐにそれをぱっと離した。
自分がどれだけ捲し立てたところで、きっとノアを誤魔化すことは不可能だろう。
ああ、『今』か。とヴェルは思った。
諦めがヴェルの中に流れ込み、小さく溜め息を吐いた。
「——……半分正解。半分はずれ」
その言葉に、ノアは腰を抑えていた手を離した。ヴェルは続ける。
「今の俺が使える魔力は一般人レベル。それは間違いじゃない。でも」
どう伝えたものか、とヴェルは一瞬迷うが、そのまま言うことにした。
「あんたが言う強大な魔力っていうのは、なんていうかな……、後天的にくっつけられたものなんだ。俺自身のものじゃない。確かに昔は、高度な魔道具を扱えた。でも今は使えない」
ヴェルは苦く笑いながら、「こういう答えでいい?」とノアに問う。ノアはその秀麗な顔に、僅かな驚きと、信じられないものを見るかのような表情を浮かべた。
「後天的に……。似たような話を聞いたことがある。敵国ザディオス皇国では、魔力を人為的に増幅させる、悪魔のような人体実験がされているのだと……」
ヴェルは少しだけ、耳を塞ぎたい気持ちに駆られた。しかし、塞いだところで過去は変えられない。
ノアはヴェルを見つめた。
「魔力を増幅された者は、戦場における魔力補給の要だったとか……まさか君は……」
ヴェルの翡翠の瞳に、暗澹とした影が差す。力ない目で、ヴェルはこの二か月近くをかけて手入れをした綺麗な庭を眺めた。
「そう。俺はシュリスの人間じゃない。ザディオスの脱走兵だ」
池のほとりで花たちの様子を見ながら、ヴェルはほっと息をつく。順調にいけば、あと二週間ほどで開花するだろう。
顎に伝う汗を軽く拭って立ち上がるのと、庭に面した門が開くのは同時だった。
そちらに目を向ければ、この暑い中でも長袖を着たノアの姿がある。ノアはヴェルに気付いてひらりと手を振ると、小道を伝ってガゼボの日陰に入った。
「精が出るね、ヴェル」
「ノア。長袖で暑くないの?」
「暑さより大切なものがあるんでね」
ベンチに腰掛けたノアの横に、ヴェルも座った。ノアがじっとヴェルの横顔を見つめる。
「日焼け止めはちゃんと塗ってくれたかな?」
「うん」
「それはよかった。十年後、私に感謝することになるよ」
「はは。なにそれ。……あ、そういえば一昨日、ラヴァド伯爵が来たぞ」
「知っているよ。その後、城にも来たからね。彼のお父上は、三年前の国境大戦でカイと一緒に戦った勇猛な将だった。積もる話もあったようでね。ダオンは嫌そうにしていたが」
ヴェルは水筒から水を煽りながら「ふうん」と相槌を打つ。冷えた水が喉を滑り、胃に落ちていくのが心地よい。
ふと、ノアは痛ましそうに言った。
「聞いたよ。オメガ狩りの被害に遭ったんだって? カイの命令で、実行はダオンだったと」
「あー……、ああ」
「怪我などはしなかったかな。ヴェルも、村の人も」
「怪我人は出なかったよ。家は燃やされたけど、三軒だったから。あの村の人たちなら多分すぐ建て直せると思う」
「そうかそうか。怖い思いをしただろう……。オメガというだけで足枷がたくさんある。まったく、嫌になるね」
ノアは軽く嘆息し、真剣な面持ちでヴェルを見やった。
「その場では聞けなかったが、なぜ、カイの名を騙ってこんなことをしたんだろうね。ヴェル、何か思い当たるものはない?」
ヴェルは水筒を横に置きながら「思い当たるもの?」と首を傾げる。
大きな城下町でオメガ狩りなどしたら目立つが、小さな村ならばバレないと踏んだのか。特にぱっと思いつくような理由はない。
何かないかと記憶を辿ろうとするヴェルに、ノアは微笑みかけた。
「そうだ。ヴェル。これを見てほしい」
「ん?」
ノアは懐から立方体型の魔導具を取り出す。ヴェルは思わずそれを見てぎょっとした。見た目こそつるりと銀色のシンプルなそれは、防音用の魔導具だ。
ノアは迷う事なくそこに魔力を通し、ガゼボをまるごと、遮音と吸音がはたらく透明な膜の中に閉じ込めた。
「ノ、ノア?」
「内緒話をするならこの方が良いと思ってね」
「内緒話?」
ノアは、口の端に薄く笑みをたたえたまま言った。
「これは私の勝手な推測だけど、もしかしたら君の隠し事と、今回の件が関係しているのかな、と」
隠し事、という言葉に、ヴェルの心臓が奇妙に脈打った。先ほどまで暑くて仕方なかったというのに、突然冷や水を浴びせられたかのようだ。それでもヴェルは震えそうになる唇を開く。
「か、隠し事?」
「そう。隠してるんだろう?」
「何のこと……」
ノアは口調を変えずに言い切った。
「魔力のことさ」
ヴェルの顔がさっと青褪める。誤魔化すように、咄嗟に口をなんとか笑みの形にしてみせる。
「……魔力なんてないよ。俺は一般人レベルで」
「一般人レベル? はは。謙遜だな。普通の魔導士レベルですらないだろう? ……違うかな?」
一瞬、様々な言い訳がヴェルの脳裏をよぎる。しかし、ノアのこの確信めいた言葉に太刀打ちできるとは思えない。
底知れぬ叡智をノアの背後に感じ、ヴェルは思わず「あんた何者?」と訊ねた。
「なぁに。しがない魔導士だよ。占いとスキンケアが好きなだけのね」
「占い?」
「そう。占いによると君は、何か大きなものを隠していた」
「馬鹿馬鹿しい。この魔導の世で占いなんて……」
「でも。当たっただろう?」
「何を根拠に」
鼻で笑おうとしたが、上手く笑えなかった。
しかしノアは気にした様子もなく、指で軽くつまめるような、小さな円盤型の魔導具を取り出した。
「これは、市販の魔力探知具。その人の持つ魔力を計測するものだ。これによると、君は一般人レベルの魔力」
円盤には目盛りがついており、それはごく微弱な魔力量を示していた。
一般人の中でも弱めの魔力と呼べるだろう。
この目盛りで高い位置まで行けば、魔導士レベルといったところだ。
ほら見ろ、とヴェルは言い掛けたが、ノアはそれを読んでいたかのように、すかさず、もう一つの探知具を取り出した。
市販のものと異なり、やや大ぶりな円盤型だった。こちらにもやはり目盛りがついている。
「そしてこっちは私が作った魔力探知具でね。これは、その人の持つ魔力の性質から『使ったことのある魔導具レベル』を検知する」
「……っ!」
咄嗟に立ち上がろうとして浮かしかけたヴェルの腰をノアが掴んで、優しく、しかし強制的に座らせた。さすが王族の付き人をしているだけあり、細腕からは想像もつかないほど力が強い。
苦い顔をするヴェルに、ノアは説明を続けた。
「一般人であれば、せいぜい着火具のレベルが出ないとおかしい。けれど君は……」
ノアが手にした探知具の目盛りが、ヴェルに近づいた途端一気に動いた。目盛りの針はビン、と最上位を示したところで止まってしまう。
「ほら。針が振り切れてしまった。つまり君は、過去に強大な魔道具を使ったことがある。戦場武器でもここまでのレベルはなかなか出ない」
「……壊れてるんじゃないか」
「残念、壊れてない。……いいかい? 一般的な魔導士レベルですら使えない魔導具を、君は使うことができた」
ノアはヴェルの腰を片手で抱き寄せたまま、耳元に吹き込むようにして言った。
「つまり君は、魔力を隠している」
ヴェルはぎゅう、と手のひらに爪の痕がつきそうなほど握りこむ。しかし、目盛りを見て、すぐにそれをぱっと離した。
自分がどれだけ捲し立てたところで、きっとノアを誤魔化すことは不可能だろう。
ああ、『今』か。とヴェルは思った。
諦めがヴェルの中に流れ込み、小さく溜め息を吐いた。
「——……半分正解。半分はずれ」
その言葉に、ノアは腰を抑えていた手を離した。ヴェルは続ける。
「今の俺が使える魔力は一般人レベル。それは間違いじゃない。でも」
どう伝えたものか、とヴェルは一瞬迷うが、そのまま言うことにした。
「あんたが言う強大な魔力っていうのは、なんていうかな……、後天的にくっつけられたものなんだ。俺自身のものじゃない。確かに昔は、高度な魔道具を扱えた。でも今は使えない」
ヴェルは苦く笑いながら、「こういう答えでいい?」とノアに問う。ノアはその秀麗な顔に、僅かな驚きと、信じられないものを見るかのような表情を浮かべた。
「後天的に……。似たような話を聞いたことがある。敵国ザディオス皇国では、魔力を人為的に増幅させる、悪魔のような人体実験がされているのだと……」
ヴェルは少しだけ、耳を塞ぎたい気持ちに駆られた。しかし、塞いだところで過去は変えられない。
ノアはヴェルを見つめた。
「魔力を増幅された者は、戦場における魔力補給の要だったとか……まさか君は……」
ヴェルの翡翠の瞳に、暗澹とした影が差す。力ない目で、ヴェルはこの二か月近くをかけて手入れをした綺麗な庭を眺めた。
「そう。俺はシュリスの人間じゃない。ザディオスの脱走兵だ」
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