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第一章
F03.気付かされたもの
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工房裏にある借家に戻ったフェリクスは、閉めた玄関扉にその背を預け口元を手で覆った。
自分でも分かるほど、顔が熱い。
外で浴びた西日のせいではないことは、彼自身も理解していた。
「いや、待て。確定するのはまだ早い。よく考えろ。欲求不満から生じた一時の気の迷いの可能性だって捨てきれないだろう……」
自分で言っておきながら無駄な足掻きに聞こえたフェリクスはため息を吐き、扉に寄りかかったまま、ずるずるとしゃがみ込む。
(抱きしめたい衝動にかられてお師匠様の手を握るなど、不埒者と罵られても弁明出来ないぞ……)
ほんの一刻前まで予想もしてなかった事態に、フェリクスは低い声でうなりながら頭を抱えた。
フェリクスにとって、ジゼル・エランという師匠はなかなか不思議な存在である。
今までのフェリクスであれば、面倒なことにならないように、師弟としての適切な距離を保っていただろう。
一緒に料理を作って夕食を共にするなど、億劫にしか思えなかったはずだ。
だが、実際は顔も見せない女性なのに、一緒にいて居心地が良い。
師匠が作る料理はフェリクス好みで、食事が楽しいという感覚も分かるようになった。
実家や騎士団寮の身体を動かす騎士のために作られた大量の塩辛い料理はどうにも口に合わなかったので、食べること自体が修行、いや苦行だったのだ。
美味しいと思える料理を自分でも作れるようになるのも、思ったより楽しかった。
魔術しか興味がなく、出来ることといえば騎士として叩き込まれたもののみだったフェリクスにとって、料理作りは良い気分転換になる。
ジゼルの教え方が丁寧で分かりやすいこともあるだろう。
剣術や体術をフェリクスに叩き込んだ祖父は、『なんだ、その腑抜けな構えは! どうすれば良い? たわけめ! そんなことも分からんのか! 見て盗め! 身体で覚えろ!』と威圧的に指摘してはくるものの、具体的な改善法は教えてくれなかった。
ジゼルは「あぁ。面が多い方が味が染み込みやすいからね。こう、乱切りにするんだよ」と理由も手本も示してくれる。それは、普段の修行からもそうだ。
分からなければ、別の角度からたとえを出して何度でも教えてくれる。
「何で分からないの?」とも言われない。
それどころか「フェリクスは、飲み込みがかなり早い方だよ」と褒めてまでくれるのだ。
そんなジゼルの教えは余計な反発心を抱くことなく、すんなりと胸に落ちてくる。
(失いがたい人だ)
これは異性に対する好意ではなく、人に対する好意だ。
師として敬うに値する人物に出会えたことに、少々浮かれているかもしれない。
そして、フェリクス自身今まで知らなかったことだが、どうやら『これは』と思った相手には尽くしたくなる性質を持っていたようだ。
だが、自立した成人女性である師匠は、職もあれば家事も手慣れている。
弟子をこき使う人でもないので、フェリクスに出来ることは案外少ない。
だからこそ、逆に何かをしてあげたい気持ちが沸き上がるのだ。
「夕飯の裾分けをしたら、喜んでくださるだろうか……」
出かける予定だと言っていたジゼルを思い出し、フェリクスはぽつりとつぶやいた。
夕飯ならどうせ自分の分も作るのだし、作り過ぎてしまったと言えばそれほど負担にも思われずに受け取ってもらえるだろう。
もし夕飯に食べられずとも、翌日の昼食にしてもらえば良いのだ。
そうと決まれば、とフェリクスは準備をしだす。
(どうせなら、漁港で美味い魚を手に入れたい。前回は乗り合い馬車で行ったが、あれなら走って行ける距離だな)
普通の街の人間なら馬車に乗る道のりも、騎士として鍛え走り慣れていたフェリクスにとっては余裕の距離だ。
節約すればその分、良質な魚介を手に入れられる。
ジゼルに喜んでもらうため、そこを惜しむつもりはない。
「よし。行くか」
買い物かごを携えたフェリクスは、人をはねないように気をつけながら、裏路地を馬車と遜色ない速度で駆け出した。
魚市場で魚や貝などを購入してきたフェリクスは、さっぱりと汗を流してから調理に取りかかった。
山手の住宅街から海側の魚市場まで、走って往復してきた疲れはまったく見えない。
師匠に喜んでもらう想像をしながら、うきうきと前掛を着けている。
作るのは、魚屋のおかみに作り方を教わった海鮮白葡萄酒煮だ。
港に近いだけあって、ジゼルとの夕食作りでも魚料理はよく作る。
うろこや内蔵の処理もフェリクスは習得済みだ。
手際良く下処理や下味を済ませ、魚を丸ごと焼き、焼き色をつけていく。
おかみがくれた調理法を書いた紙は、販促のために用意しているだけあって初見でも作りやすいように工夫されていた。
煮る時に魚や貝に煮汁を回し掛ける、などの注意点も書かれているので、初見の調理でもまごつくことはない。
出来上がった白葡萄酒煮は、丸ごと焼いて煮た魚に、周りの貝もいい感じに口を開いて美味しそうな湯気を漂わせている。
散らした色とりどり野菜も食欲を引き出してくれそうだ。
「うん。なかなか美味く出来たな」
味見をしたフェリクスは、その端整な顔をほころばせた。
なにげに口が肥えているジゼルに、下手なものは渡せない。
しかし、これならば大丈夫だろう。
ジゼルから譲り受けた調理物が腐らない保存容器型魔導具に白葡萄酒煮を移し入れ、調理器具を洗っていく。
調理台を台拭きで綺麗にして顔を上げると、壁の時計が視界に映った。
もう夕刻に差し掛かる時間だ。
フェリクスは工房がある方向の窓に目を向けた。
まだ、ジゼルが帰宅した気配はない。
いくら治安の良いムエットでも、夜間の女性の一人歩きは危険だ。
それに、ダニエル某とやらがうろついているかもしれない。
まだジゼルに接触はしていないようだが、何が目的で周辺に出没しているか分かったものではなかった。
(遅くなるようなら、迎えに行った方が良いだろうか。……どこへ行くか、聞いておけば良かったな)
フェリクスは顔をしかめた。
今日を休日にするにあたっては、私的な用事があるとしか聞いていなかった。
ジゼルの行動を縛るつもりはないが、弟子として行き先を聞く権利があるのではないだろうか。
いや、あるはずだ。
次は念のため行き先と同行者を聞いておこう。
もちろん、帰りの時間もだ。
他人が聞けば首を横に振る内容だが、祖父の条件を達成するために真っ当な人間関係を疎かにしてきたフェリクスはそれに気づかない。
やきもきしながら工房の方をうかがっていると、待ち人が近づいてくる気配がした。
フェリクスは保存容器を入れた買い物かごを持ち、いそいそと立ち上がる。
フェリクスが住む借家からジゼルの工房へは、路地を回ってすぐだ。
ちょうど良い瞬間を狙って、工房へ続く角を曲がる。
夕陽に照らされた人影が、工房の敷地に入ろうとしているところだった。
声をかけようとしたフェリクスは、はっと息を呑んだ。
そこに居たのは、二十代後半に見える女性だった。
あの特徴的なローブを着ていなくとも、慣れた気配を間違えることはない。
上品なベージュのワンピースや綺麗に編み込まれた黒髪は、大人の落ち着きを感じさせる。
大人しそうな顔立ちであるが、実は結構気が強いことはフェリクスも承知していた。
しかし、フェリクスは初めて見た師匠の素顔に驚いたわけではない。
その気が強いはずのジゼルが、泣きながら帰ってきたことに衝撃を受けたのだ。
次の瞬間、腹の底から沸き上がって来たのは、荒れ狂うような怒りだった。
(誰がお師匠様を泣かした!!)
犯人が判明次第切り捨てそうな殺気をまとって、フェリクスは足を踏み出す。
「お師匠様?」
声をかけると、ジゼルの肩がびくっと震えた。
怯えるジゼルにダダ漏れだった殺気を抑え、大股で近づく。
確信はしているが、念のため尋ねた。
「お師匠様、ですよね?」
「そ、そうだけど、フェリクス、どうしたの?」
ジゼルが答えてから、はっとして頭を手で押さえた。
ローブを着ていないことに気づいたのだろう。
いつになくあたふたと手を動かして、ジゼルが言う。
「正真正銘、私がジゼル・エランだよ。えーと、声で分かるよね?」
いつもはフードで見えない分、涙目の上目遣いは破壊力が大きい。
思わず表情が崩れそうになったのをぐっと堪えて、うなずいた。
「はい。お師匠様の声と気配ですから、分かります」
これほど近ければ、間違いようはない。
「それで、どうしたの? 今日はお休みだって前から言ってあったでしょう?」
暢気に尋ねてくるジゼルに、フェリクスの眉間にしわが寄る。
即、涙の理由を問い質したいところだが、まずは建前の方から済ませる。
「魚屋のおかみさんに教わった海鮮の白葡萄酒煮を作ってみたのですが、思ったより美味しく大量に作れたものですから、お裾分けにと思いまして」
フェリクスは買い物かごを掲げ、間髪入れずに続けた。
「それより、お師匠様の方こそ、どうなされたのですか?」
怯えさせないように、と抑えたが、どうしても尋ねる声が低くなる。
ジゼルの全身を見回すが、衣服に乱れはない。
だが、それで不埒な真似をされなかったと断ずるのは早計だ。
慎重に聞き取り、注意深く反応を視る必要がある。
じっと見つめて様子を見るが、ジゼルはきょとんとした顔をしている。
何を言われているのか、分からないという顔だ。
(これは、心配をかけまいとしている演技か……触れられたくないか)
フェリクスには判断がつかない。
数瞬考えて、あえて踏み込む決断をする。
「目が赤いです」
フェリクスが指摘すると、途端にジゼルの顔が熟れたりんごのように赤く染まった。
予想外の反応にフェリクスが硬直しているうちに、その顔は伏せられ隠されてしまった。
「な、なんでもないから、大丈夫!」
「なんでもないようには見えません」
誤魔化そうとするジゼルに、わずかながら腹立たしさを覚える。
ジゼルの顔を隠す手を掴み、その手首の細さと、たいして力を入れてもいないのにあっさりと顔から引き剥がせたことに、フェリクスはごくりと喉を鳴らした。
このように華奢でか弱い女性一人、普通の男でも手込めにするのは容易いのではないか。
自身の想像が更に怒りを煽る。
フェリクスは歯ぎしりしたい衝動を堪えて、ジゼルの顔をのぞき込んだ。
「誰です? お師匠様を泣かせたのは。あのダニエルとかいう男ですか?」
そうであったなら、楽に殺してやるつもりはない。
この世に生まれて来たことを後悔させてやる。
「ちが、違うの。ダニエルは関係ない」
ジゼルは顔を青ざめさせて否定の言葉を口にした。
それが妙にしゃくに障る。
「別れた男をかばい立てするのですか?」
「いや、本当に違うから。ダニエルのせいじゃないから!」
じぃぃっとジゼルの反応をみる。
どうやら、あの男ではないというのは本当らしい。
騎士時代に犯人の尋問は何度も経験している。
これが演技なら、たいした役者ぶりだ。
「嘘ではなさそうですね。では、どうして泣いてらっしゃったのです?」
「そ、それは……」
気丈なジゼルが人目をはばからず泣くほどだ。
余程のことがあったのだろう。
敬愛する師匠の緊急事態とあらば、弟子として出来うる限りのことをしたい。
しかし、ジゼルは目をそらし、誤魔化すように言う。
「本当にね。何でもないの。フェリクスが心配するようなことは、一切なかったから。大丈夫だから」
「私には話せないことですか。私は、信用に値しないと」
「そういう話ではなくて……とてもくだらないことだから」
今にも泣き出しそうな顔をして、ジゼルがうつむく。
(まだ弟子になって日が浅いとはいえ、これほど頑なに拒まれるとは……)
師匠の信頼を得られていない己の未熟さに、腸が煮えくり返る。
無意識のうちに殺気が漏れていたらしく、ジゼルが子鹿のようにぷるぷると震えていた。
フェリクスはしまったと殺気を引っ込めた。
(これだから自分は未熟者なんだ……。場所を変えて、落ち着いて話を聞こう。何より、お師匠様の泣き顔を他の誰かに見せるわけにはいかない)
「ともかく、中に入りましょう。外でする話でもありませんでしたね」
ジゼルの手首を離し、さりげなく肩を抱いて工房の中に誘導する。
食堂の椅子にジゼルを座らせ、一言断ってフェリクスは台所へ入った。
白葡萄酒煮が入った保存容器を作業台の上に置き、戸棚を開く。
座学の合間に紅茶を淹れるのはフェリクスの役目なので、どこに何があるかは把握している。
どうせならば気分が落ち着く香草茶を淹れたいが、まだ適切な香草選びは教わっていなかった。
下手に選んで出すくらいならば、ジゼルが好きな紅茶の茶葉を選んだ方が良いだろう。
今の自分に出来る限り、美味しく抽出されるように丁寧に淹れる。
その紅茶を持って、食堂へ戻ってジゼルに差し出した。
「美味しい」
紅茶を一口飲んだジゼルの顔がほころぶ。
ずっと固い表情か泣きそうな顔だったので、緊張を和らげる手助けが出来たことにフェリクスはほっと息を吐いた。
「お師匠様の慰めになったようで、良かったです」
ジゼルの座る椅子の横に片膝をつき目線を合わせ、安心させるように柔らかく微笑む。
すると、ジゼルは意を決したように一つうなずいて、手元の鞄から一枚のザラ紙を取り出した。
差し出されたそれを反射的に受け取り、フェリクスは首を傾げた。
「これは?」
「あのね。泣いてた理由って本当にくだらないんだけどね。今日はこのお芝居を観に行ってたの。帰り道で劇のことを思い出して、思わず涙が出ちゃっただけなんだ」
渡されたチラシをよく見ると、年頃の男女が対極から手を伸ばし合っている絵姿が描かれていた。
添えられたあらすじによれば、悲劇らしい。
(悲劇とはいえ、芝居を観て泣くものなのか? 思い出して泣くほど?)
武骨な家で芝居のような娯楽とは無縁に生きてきたフェリクスには、ジゼルの感覚がよく分からない。
「本当に、この芝居を思い出しただけなのですね? 誰かに危害を加えられたのではなく?」
「エルミーヌに聞いてくれても良いよ。観終わった後からずっと泣いてたって証言してくれるから」
「お師匠様が薬を納品している薬問屋の方でしたね。そうですか……芝居を……」
ここまで言うならば、誤魔化しなどではなく本当のことだろう。
理解出来ないからといって否定するほど、馬鹿ではないつもりだ。
(そういえば、以前にも歌劇と刺繍が趣味とおっしゃっていたな……)
趣味というものがよく分かっていなかったフェリクスは聞き流していたが、ジゼルという女性を理解するのに彼女の『趣味』は大きな意味を持つかも知れない。
フェリクスがぼんやりとそんなことを考えていると、ジゼルが済まなさそうな顔をして言った。
「心配かけてごめんなさい。本当に、こんな馬鹿みたいなことで……」
フェリクスが黙ってしまったので、怒っていると勘違いさせてしまったようだ。
何でもないと言うジゼルから無理に聞き出したのはフェリクスの方である。
「いえ。こちらも早とちりをしてしまい、申し訳ございません。ところで、この芝居はそんなに良かったのですか?」
後半の話のつなぎに何気なくしたつもりの質問を聞いた途端、しょんぼりしていたジゼルが目を輝かせた。
「えぇ。私は悲劇はそんなに好きじゃないのに、今回の公演は悲しさともどかしさの中に美学と主人公たちの純真な愛が光っていて、すっごく良かったの! ご贔屓の演技や歌も素晴らしかった!! 本当に最高だったよ!!!」
一息で語られた言葉の中に聞き慣れない言葉があり、フェリクスは聞き返した。
「ごひいき、とは?」
「あぁ。自分が熱心に応援している歌劇団の俳優さんのことをそう呼ぶの。私のご贔屓はそのチラシにも大きく描かれているけど、主役を演じたのよ。ご贔屓が歌う切ない恋歌に胸を締め付けられたわぁ」
恋する乙女のような表情を浮かべて、ジゼルが言う。
フェリクスには、一度として向けたことのない顔だ。
その事実に、無性にいらっとする。
フェリクスは舌打ちを堪えて、手元のチラシに目線を落とした。
(この男がお師匠様が贔屓にしている俳優、か……)
一色刷りのチラシで色味は分からないが、爽やかそうな青年である。
「へぇ。そうですか」
うっかり内心がにじみ出て、冷たい相づちが口をついた。
「あ、ごめんね。フェリクスは歌劇に興味ないよね」
落ち着きを取り戻したジゼルが、すまなさそうに言う。
「いえ、少々……興味が湧いてきました」
ジゼルが熱中するほどの男だ。
気にならないわけがない。
相手は俳優であり、観客の一人であるジゼルと恋仲になるとは、現実的に考えにくい。
それでも、ジゼルが他の男に夢中なのは面白くなかった。
(面白くない? 私は今、何を考えた? これではまるでお師匠様が贔屓にしている俳優に嫉妬しているような……)
フェリクスが己の思考と心理に驚き戸惑っていると、ジゼルに次の公演の観劇を勧められた。
「その次の公演というのは……お師匠様のご贔屓は出るのですか?」
すっと目を細めて、フェリクスは尋ねる。
「う、うん? 出るけど? 行きたいなら、フェリクスの分も券をとるよ?」
「では、次の公演はぜひご一緒させてください」
フェリクスはジゼルの手をとり、ぎゅっと握った。
驚き見開かれた焦げ茶の瞳が、フェリクスを映す。
そのことに満足感と焦燥感の両方を覚えた。
(私は……やはり……)
「フェリクス?」
ジゼルが怪訝そうにフェリクスの名を呼んだ。
不埒な衝動に駆られそうになり、温かな手を放して立ち上がった。
「すみません。私も考えたいことが出来たので、今日のところはこれで失礼します。白葡萄酒煮は温めて召し上がってください」
「あぁ、うん。ありがとう」
首を傾げるジゼルの見送りを背に、フェリクスは早歩きで自身の借家へ向かった。
だんだんと暗くなっていく玄関で、フェリクスは悶々と自分の気持ちに向き合う。
今までの身体だけの関係であった未亡人たちに、こんな情動を抱いたことはない。
嫉妬など、初めての経験だ。
相手が俳優だろうが何だろうが、他の男にあんな熱のこもった目を向けないで欲しい。
自分だけを見て欲しい。
この腕の中に閉じこめたい。
そして……その柔らかな身体を貪り……。
「くそっ。最低な自覚の仕方だな」
フェリクスは、正直な自分の反応に、ジゼルに向けている感情の正体を認めざるを得なかった。
自分でも分かるほど、顔が熱い。
外で浴びた西日のせいではないことは、彼自身も理解していた。
「いや、待て。確定するのはまだ早い。よく考えろ。欲求不満から生じた一時の気の迷いの可能性だって捨てきれないだろう……」
自分で言っておきながら無駄な足掻きに聞こえたフェリクスはため息を吐き、扉に寄りかかったまま、ずるずるとしゃがみ込む。
(抱きしめたい衝動にかられてお師匠様の手を握るなど、不埒者と罵られても弁明出来ないぞ……)
ほんの一刻前まで予想もしてなかった事態に、フェリクスは低い声でうなりながら頭を抱えた。
フェリクスにとって、ジゼル・エランという師匠はなかなか不思議な存在である。
今までのフェリクスであれば、面倒なことにならないように、師弟としての適切な距離を保っていただろう。
一緒に料理を作って夕食を共にするなど、億劫にしか思えなかったはずだ。
だが、実際は顔も見せない女性なのに、一緒にいて居心地が良い。
師匠が作る料理はフェリクス好みで、食事が楽しいという感覚も分かるようになった。
実家や騎士団寮の身体を動かす騎士のために作られた大量の塩辛い料理はどうにも口に合わなかったので、食べること自体が修行、いや苦行だったのだ。
美味しいと思える料理を自分でも作れるようになるのも、思ったより楽しかった。
魔術しか興味がなく、出来ることといえば騎士として叩き込まれたもののみだったフェリクスにとって、料理作りは良い気分転換になる。
ジゼルの教え方が丁寧で分かりやすいこともあるだろう。
剣術や体術をフェリクスに叩き込んだ祖父は、『なんだ、その腑抜けな構えは! どうすれば良い? たわけめ! そんなことも分からんのか! 見て盗め! 身体で覚えろ!』と威圧的に指摘してはくるものの、具体的な改善法は教えてくれなかった。
ジゼルは「あぁ。面が多い方が味が染み込みやすいからね。こう、乱切りにするんだよ」と理由も手本も示してくれる。それは、普段の修行からもそうだ。
分からなければ、別の角度からたとえを出して何度でも教えてくれる。
「何で分からないの?」とも言われない。
それどころか「フェリクスは、飲み込みがかなり早い方だよ」と褒めてまでくれるのだ。
そんなジゼルの教えは余計な反発心を抱くことなく、すんなりと胸に落ちてくる。
(失いがたい人だ)
これは異性に対する好意ではなく、人に対する好意だ。
師として敬うに値する人物に出会えたことに、少々浮かれているかもしれない。
そして、フェリクス自身今まで知らなかったことだが、どうやら『これは』と思った相手には尽くしたくなる性質を持っていたようだ。
だが、自立した成人女性である師匠は、職もあれば家事も手慣れている。
弟子をこき使う人でもないので、フェリクスに出来ることは案外少ない。
だからこそ、逆に何かをしてあげたい気持ちが沸き上がるのだ。
「夕飯の裾分けをしたら、喜んでくださるだろうか……」
出かける予定だと言っていたジゼルを思い出し、フェリクスはぽつりとつぶやいた。
夕飯ならどうせ自分の分も作るのだし、作り過ぎてしまったと言えばそれほど負担にも思われずに受け取ってもらえるだろう。
もし夕飯に食べられずとも、翌日の昼食にしてもらえば良いのだ。
そうと決まれば、とフェリクスは準備をしだす。
(どうせなら、漁港で美味い魚を手に入れたい。前回は乗り合い馬車で行ったが、あれなら走って行ける距離だな)
普通の街の人間なら馬車に乗る道のりも、騎士として鍛え走り慣れていたフェリクスにとっては余裕の距離だ。
節約すればその分、良質な魚介を手に入れられる。
ジゼルに喜んでもらうため、そこを惜しむつもりはない。
「よし。行くか」
買い物かごを携えたフェリクスは、人をはねないように気をつけながら、裏路地を馬車と遜色ない速度で駆け出した。
魚市場で魚や貝などを購入してきたフェリクスは、さっぱりと汗を流してから調理に取りかかった。
山手の住宅街から海側の魚市場まで、走って往復してきた疲れはまったく見えない。
師匠に喜んでもらう想像をしながら、うきうきと前掛を着けている。
作るのは、魚屋のおかみに作り方を教わった海鮮白葡萄酒煮だ。
港に近いだけあって、ジゼルとの夕食作りでも魚料理はよく作る。
うろこや内蔵の処理もフェリクスは習得済みだ。
手際良く下処理や下味を済ませ、魚を丸ごと焼き、焼き色をつけていく。
おかみがくれた調理法を書いた紙は、販促のために用意しているだけあって初見でも作りやすいように工夫されていた。
煮る時に魚や貝に煮汁を回し掛ける、などの注意点も書かれているので、初見の調理でもまごつくことはない。
出来上がった白葡萄酒煮は、丸ごと焼いて煮た魚に、周りの貝もいい感じに口を開いて美味しそうな湯気を漂わせている。
散らした色とりどり野菜も食欲を引き出してくれそうだ。
「うん。なかなか美味く出来たな」
味見をしたフェリクスは、その端整な顔をほころばせた。
なにげに口が肥えているジゼルに、下手なものは渡せない。
しかし、これならば大丈夫だろう。
ジゼルから譲り受けた調理物が腐らない保存容器型魔導具に白葡萄酒煮を移し入れ、調理器具を洗っていく。
調理台を台拭きで綺麗にして顔を上げると、壁の時計が視界に映った。
もう夕刻に差し掛かる時間だ。
フェリクスは工房がある方向の窓に目を向けた。
まだ、ジゼルが帰宅した気配はない。
いくら治安の良いムエットでも、夜間の女性の一人歩きは危険だ。
それに、ダニエル某とやらがうろついているかもしれない。
まだジゼルに接触はしていないようだが、何が目的で周辺に出没しているか分かったものではなかった。
(遅くなるようなら、迎えに行った方が良いだろうか。……どこへ行くか、聞いておけば良かったな)
フェリクスは顔をしかめた。
今日を休日にするにあたっては、私的な用事があるとしか聞いていなかった。
ジゼルの行動を縛るつもりはないが、弟子として行き先を聞く権利があるのではないだろうか。
いや、あるはずだ。
次は念のため行き先と同行者を聞いておこう。
もちろん、帰りの時間もだ。
他人が聞けば首を横に振る内容だが、祖父の条件を達成するために真っ当な人間関係を疎かにしてきたフェリクスはそれに気づかない。
やきもきしながら工房の方をうかがっていると、待ち人が近づいてくる気配がした。
フェリクスは保存容器を入れた買い物かごを持ち、いそいそと立ち上がる。
フェリクスが住む借家からジゼルの工房へは、路地を回ってすぐだ。
ちょうど良い瞬間を狙って、工房へ続く角を曲がる。
夕陽に照らされた人影が、工房の敷地に入ろうとしているところだった。
声をかけようとしたフェリクスは、はっと息を呑んだ。
そこに居たのは、二十代後半に見える女性だった。
あの特徴的なローブを着ていなくとも、慣れた気配を間違えることはない。
上品なベージュのワンピースや綺麗に編み込まれた黒髪は、大人の落ち着きを感じさせる。
大人しそうな顔立ちであるが、実は結構気が強いことはフェリクスも承知していた。
しかし、フェリクスは初めて見た師匠の素顔に驚いたわけではない。
その気が強いはずのジゼルが、泣きながら帰ってきたことに衝撃を受けたのだ。
次の瞬間、腹の底から沸き上がって来たのは、荒れ狂うような怒りだった。
(誰がお師匠様を泣かした!!)
犯人が判明次第切り捨てそうな殺気をまとって、フェリクスは足を踏み出す。
「お師匠様?」
声をかけると、ジゼルの肩がびくっと震えた。
怯えるジゼルにダダ漏れだった殺気を抑え、大股で近づく。
確信はしているが、念のため尋ねた。
「お師匠様、ですよね?」
「そ、そうだけど、フェリクス、どうしたの?」
ジゼルが答えてから、はっとして頭を手で押さえた。
ローブを着ていないことに気づいたのだろう。
いつになくあたふたと手を動かして、ジゼルが言う。
「正真正銘、私がジゼル・エランだよ。えーと、声で分かるよね?」
いつもはフードで見えない分、涙目の上目遣いは破壊力が大きい。
思わず表情が崩れそうになったのをぐっと堪えて、うなずいた。
「はい。お師匠様の声と気配ですから、分かります」
これほど近ければ、間違いようはない。
「それで、どうしたの? 今日はお休みだって前から言ってあったでしょう?」
暢気に尋ねてくるジゼルに、フェリクスの眉間にしわが寄る。
即、涙の理由を問い質したいところだが、まずは建前の方から済ませる。
「魚屋のおかみさんに教わった海鮮の白葡萄酒煮を作ってみたのですが、思ったより美味しく大量に作れたものですから、お裾分けにと思いまして」
フェリクスは買い物かごを掲げ、間髪入れずに続けた。
「それより、お師匠様の方こそ、どうなされたのですか?」
怯えさせないように、と抑えたが、どうしても尋ねる声が低くなる。
ジゼルの全身を見回すが、衣服に乱れはない。
だが、それで不埒な真似をされなかったと断ずるのは早計だ。
慎重に聞き取り、注意深く反応を視る必要がある。
じっと見つめて様子を見るが、ジゼルはきょとんとした顔をしている。
何を言われているのか、分からないという顔だ。
(これは、心配をかけまいとしている演技か……触れられたくないか)
フェリクスには判断がつかない。
数瞬考えて、あえて踏み込む決断をする。
「目が赤いです」
フェリクスが指摘すると、途端にジゼルの顔が熟れたりんごのように赤く染まった。
予想外の反応にフェリクスが硬直しているうちに、その顔は伏せられ隠されてしまった。
「な、なんでもないから、大丈夫!」
「なんでもないようには見えません」
誤魔化そうとするジゼルに、わずかながら腹立たしさを覚える。
ジゼルの顔を隠す手を掴み、その手首の細さと、たいして力を入れてもいないのにあっさりと顔から引き剥がせたことに、フェリクスはごくりと喉を鳴らした。
このように華奢でか弱い女性一人、普通の男でも手込めにするのは容易いのではないか。
自身の想像が更に怒りを煽る。
フェリクスは歯ぎしりしたい衝動を堪えて、ジゼルの顔をのぞき込んだ。
「誰です? お師匠様を泣かせたのは。あのダニエルとかいう男ですか?」
そうであったなら、楽に殺してやるつもりはない。
この世に生まれて来たことを後悔させてやる。
「ちが、違うの。ダニエルは関係ない」
ジゼルは顔を青ざめさせて否定の言葉を口にした。
それが妙にしゃくに障る。
「別れた男をかばい立てするのですか?」
「いや、本当に違うから。ダニエルのせいじゃないから!」
じぃぃっとジゼルの反応をみる。
どうやら、あの男ではないというのは本当らしい。
騎士時代に犯人の尋問は何度も経験している。
これが演技なら、たいした役者ぶりだ。
「嘘ではなさそうですね。では、どうして泣いてらっしゃったのです?」
「そ、それは……」
気丈なジゼルが人目をはばからず泣くほどだ。
余程のことがあったのだろう。
敬愛する師匠の緊急事態とあらば、弟子として出来うる限りのことをしたい。
しかし、ジゼルは目をそらし、誤魔化すように言う。
「本当にね。何でもないの。フェリクスが心配するようなことは、一切なかったから。大丈夫だから」
「私には話せないことですか。私は、信用に値しないと」
「そういう話ではなくて……とてもくだらないことだから」
今にも泣き出しそうな顔をして、ジゼルがうつむく。
(まだ弟子になって日が浅いとはいえ、これほど頑なに拒まれるとは……)
師匠の信頼を得られていない己の未熟さに、腸が煮えくり返る。
無意識のうちに殺気が漏れていたらしく、ジゼルが子鹿のようにぷるぷると震えていた。
フェリクスはしまったと殺気を引っ込めた。
(これだから自分は未熟者なんだ……。場所を変えて、落ち着いて話を聞こう。何より、お師匠様の泣き顔を他の誰かに見せるわけにはいかない)
「ともかく、中に入りましょう。外でする話でもありませんでしたね」
ジゼルの手首を離し、さりげなく肩を抱いて工房の中に誘導する。
食堂の椅子にジゼルを座らせ、一言断ってフェリクスは台所へ入った。
白葡萄酒煮が入った保存容器を作業台の上に置き、戸棚を開く。
座学の合間に紅茶を淹れるのはフェリクスの役目なので、どこに何があるかは把握している。
どうせならば気分が落ち着く香草茶を淹れたいが、まだ適切な香草選びは教わっていなかった。
下手に選んで出すくらいならば、ジゼルが好きな紅茶の茶葉を選んだ方が良いだろう。
今の自分に出来る限り、美味しく抽出されるように丁寧に淹れる。
その紅茶を持って、食堂へ戻ってジゼルに差し出した。
「美味しい」
紅茶を一口飲んだジゼルの顔がほころぶ。
ずっと固い表情か泣きそうな顔だったので、緊張を和らげる手助けが出来たことにフェリクスはほっと息を吐いた。
「お師匠様の慰めになったようで、良かったです」
ジゼルの座る椅子の横に片膝をつき目線を合わせ、安心させるように柔らかく微笑む。
すると、ジゼルは意を決したように一つうなずいて、手元の鞄から一枚のザラ紙を取り出した。
差し出されたそれを反射的に受け取り、フェリクスは首を傾げた。
「これは?」
「あのね。泣いてた理由って本当にくだらないんだけどね。今日はこのお芝居を観に行ってたの。帰り道で劇のことを思い出して、思わず涙が出ちゃっただけなんだ」
渡されたチラシをよく見ると、年頃の男女が対極から手を伸ばし合っている絵姿が描かれていた。
添えられたあらすじによれば、悲劇らしい。
(悲劇とはいえ、芝居を観て泣くものなのか? 思い出して泣くほど?)
武骨な家で芝居のような娯楽とは無縁に生きてきたフェリクスには、ジゼルの感覚がよく分からない。
「本当に、この芝居を思い出しただけなのですね? 誰かに危害を加えられたのではなく?」
「エルミーヌに聞いてくれても良いよ。観終わった後からずっと泣いてたって証言してくれるから」
「お師匠様が薬を納品している薬問屋の方でしたね。そうですか……芝居を……」
ここまで言うならば、誤魔化しなどではなく本当のことだろう。
理解出来ないからといって否定するほど、馬鹿ではないつもりだ。
(そういえば、以前にも歌劇と刺繍が趣味とおっしゃっていたな……)
趣味というものがよく分かっていなかったフェリクスは聞き流していたが、ジゼルという女性を理解するのに彼女の『趣味』は大きな意味を持つかも知れない。
フェリクスがぼんやりとそんなことを考えていると、ジゼルが済まなさそうな顔をして言った。
「心配かけてごめんなさい。本当に、こんな馬鹿みたいなことで……」
フェリクスが黙ってしまったので、怒っていると勘違いさせてしまったようだ。
何でもないと言うジゼルから無理に聞き出したのはフェリクスの方である。
「いえ。こちらも早とちりをしてしまい、申し訳ございません。ところで、この芝居はそんなに良かったのですか?」
後半の話のつなぎに何気なくしたつもりの質問を聞いた途端、しょんぼりしていたジゼルが目を輝かせた。
「えぇ。私は悲劇はそんなに好きじゃないのに、今回の公演は悲しさともどかしさの中に美学と主人公たちの純真な愛が光っていて、すっごく良かったの! ご贔屓の演技や歌も素晴らしかった!! 本当に最高だったよ!!!」
一息で語られた言葉の中に聞き慣れない言葉があり、フェリクスは聞き返した。
「ごひいき、とは?」
「あぁ。自分が熱心に応援している歌劇団の俳優さんのことをそう呼ぶの。私のご贔屓はそのチラシにも大きく描かれているけど、主役を演じたのよ。ご贔屓が歌う切ない恋歌に胸を締め付けられたわぁ」
恋する乙女のような表情を浮かべて、ジゼルが言う。
フェリクスには、一度として向けたことのない顔だ。
その事実に、無性にいらっとする。
フェリクスは舌打ちを堪えて、手元のチラシに目線を落とした。
(この男がお師匠様が贔屓にしている俳優、か……)
一色刷りのチラシで色味は分からないが、爽やかそうな青年である。
「へぇ。そうですか」
うっかり内心がにじみ出て、冷たい相づちが口をついた。
「あ、ごめんね。フェリクスは歌劇に興味ないよね」
落ち着きを取り戻したジゼルが、すまなさそうに言う。
「いえ、少々……興味が湧いてきました」
ジゼルが熱中するほどの男だ。
気にならないわけがない。
相手は俳優であり、観客の一人であるジゼルと恋仲になるとは、現実的に考えにくい。
それでも、ジゼルが他の男に夢中なのは面白くなかった。
(面白くない? 私は今、何を考えた? これではまるでお師匠様が贔屓にしている俳優に嫉妬しているような……)
フェリクスが己の思考と心理に驚き戸惑っていると、ジゼルに次の公演の観劇を勧められた。
「その次の公演というのは……お師匠様のご贔屓は出るのですか?」
すっと目を細めて、フェリクスは尋ねる。
「う、うん? 出るけど? 行きたいなら、フェリクスの分も券をとるよ?」
「では、次の公演はぜひご一緒させてください」
フェリクスはジゼルの手をとり、ぎゅっと握った。
驚き見開かれた焦げ茶の瞳が、フェリクスを映す。
そのことに満足感と焦燥感の両方を覚えた。
(私は……やはり……)
「フェリクス?」
ジゼルが怪訝そうにフェリクスの名を呼んだ。
不埒な衝動に駆られそうになり、温かな手を放して立ち上がった。
「すみません。私も考えたいことが出来たので、今日のところはこれで失礼します。白葡萄酒煮は温めて召し上がってください」
「あぁ、うん。ありがとう」
首を傾げるジゼルの見送りを背に、フェリクスは早歩きで自身の借家へ向かった。
だんだんと暗くなっていく玄関で、フェリクスは悶々と自分の気持ちに向き合う。
今までの身体だけの関係であった未亡人たちに、こんな情動を抱いたことはない。
嫉妬など、初めての経験だ。
相手が俳優だろうが何だろうが、他の男にあんな熱のこもった目を向けないで欲しい。
自分だけを見て欲しい。
この腕の中に閉じこめたい。
そして……その柔らかな身体を貪り……。
「くそっ。最低な自覚の仕方だな」
フェリクスは、正直な自分の反応に、ジゼルに向けている感情の正体を認めざるを得なかった。
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