宝石のような果物

カントク

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宝石のような果物

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 とある女の子は、果物が大好きでした。

 その果物は一粒一粒が味わい深く、女の子はその果物の虜になってしまいました。
 
 その宝石のような種々の一粒一粒が、女の子に色々な物を齎しました。

 ある一粒は金銀財宝

 ある一粒は物凄い友人達

 ある一粒は優雅な暮らし

 ある一粒はバカンスの場所

 ある一粒は夢見心地

 女の子は女性となっても果物の虜です。

 誰もが憧れる果物を女性は独り占め。

 でもそんな女性もある一粒の果物は手に入りませんでした。

 味わうことは出来るのに食べることが出来ないのです。

 女性はどうしてもその一粒を食べたいのに食べられないのです。

 今まで通り他の一粒一粒を食べて暮らしても、満足感が得られなくなってしまいました。

 どうしたら食べられるのだろう。

 舌で味わうことは出来るのに、どうしても噛んでその中身を楽しむことが出来ません。

 女性は果物の虜のまま。

 食べることも出来ない果物の虜のまま。

 それでも果物をいっぱい食べられる今の暮らしが大好き。

 お母さん、僕がその果物を取ってきてあげるよ。

 果物の虜になっていた女性には、いつしか子供が傍にいました。

 女性は果物の虜であったため、子供の事をよく知りませんでした。

 それでも果物の虜であった女性は、食べることの出来ない果物の虜。

 子供に期待しました。

 そして子供が持ってきた七色に輝く一粒を食べて、深い眠りにつくのでした。

 女性は虜になった果物の本当の味は、眠りについてしまったのでわかりませんでした。
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