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おまけ

初めてのイタズラ(ハロウィンネタ)

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「とりっく おあ とりーと?」
洗濯物を畳んでいた手を止め、テレビから流れてきたニュースを見て、そういえば今日はハロウィンなんだと気付く

今までの生活がイベント事とは縁遠いものだったから、気にしたことがなかった

テレビの向こうでは、ドラキュラやゾンビ、可愛いナースなどの仮装をして楽しんでいる人達の姿が映し出されており、ついつい魅入ってしまう

「士郎さん、これやったら喜んでくれるかな?」
いつも僕が喜ぶことばかりしてくれる彼に、ちょっとした悪戯心と興味が湧き、珍しくワクワクしてくる

時計の時間を確認すると、まだ時間は早く、今からなら簡単な衣装なら準備出来るのでは?と思い立った


「よし!今日は士郎さんを驚かせるぞ!イタズラもして、ビックリさせよう」
拳を天井に向けて上げ、気合を入れる

まずは、どんな衣装にするのかを決めなきゃ!



自分用のクローゼットを開き、ベースに出来そうな服を探してみる
ほとんど全部、士郎さんに買って貰ったばかりで、ハロウィンの為だからと汚したり破いたりするのは躊躇われる

「んぅ~……どうしよう…。みんな、どうやってるんだろ…」
良い案が思い浮かばず、クローゼットの前をクルクルとハチのように歩き回っているといいコトを思い付き、満面の笑みを浮かべる

「これなら服を汚さないよね!それに、追加で買うのもちょっとで済むし、作るのも簡単なはず!」

士郎さんが帰ってくるまであと4時間
それまでに夕飯の準備とハロウィンの準備をするべく、買い物に行くことにした







「これでヨシ!あとは、士郎さんが帰って来るのを待つだけ♪」
部屋には買い物時に見つけたハロウィングッズを少しだけ飾った

最近少しずつ自分で買い物に行くようになり、100均にある可愛い小物に興味があった

夕飯も、今日はちょっとだけハロウィンっぽくしてみた
カボチャのチーズ焼きやウィンナーにパイ生地を巻いて、ミイラっぽくしたモノ、オムライスにはケチャップとカボチャの皮でジャックオランタン風するなど、今までやったこともない楽しいことにワクワクした


「士郎さん、喜んでくれるかな?」
準備万端で、あとは彼が帰って来てくれるのを待つだけだった
いつもだったらそろそろだけど、今日は時間になっても帰って来てくれなかった


「士郎さん、どうしたんだろ…」
リビングのソファーの端っこに膝を抱えて座り、まだ帰って来ない彼を待つ
首輪に付いたベルを弄り、自分の格好を見て溜息が漏れる

スマホを見ても、連絡がない
いつもだったら、遅くなる時は必ず連絡をしてくれるはずなのに…


テレビから流れてくるニュースの声だけが室内に響く
夜には大人たちも仮装を楽しんでいる様子が映し出され、ちょっと際どい衣装を着た綺麗な人まで映し出されている

「士郎さん…、寂しいよ…」

ポツリとつい出てしまった本音に、ひとりぼっちなのを余計に自覚させられる




ガチャッ
「ただいま、雪兎、遅くなって悪い!電車が遅延してたうえに、近所の仮装した子どもたちに捕まって、お菓子をねだられてた…
連絡も入れれてなくてごめんな」
玄関の扉が開く音と共に慌てて帰ってきた士郎さんの声が聞こえる
盛大な溜息を吐きながら、遅くなった理由を呟いていた

「おかえりなさいっ!」
寂しかったこともあり、帰って来てくれた嬉しさのあまり、自分の格好も忘れて彼の胸に飛び付くように抱き着く

「ただいま、ゆき…」
僕の姿を見て目を見開いて彼が驚いているのがわかる

今日頑張って作った羊のコスプレ衣装

元々持っていたお尻まで隠れる大き目の白いふわふわのプードルファーの服に、ちょこんとフェルト生地で付け足した尻尾

ズボンはいい物が見つからなかったから、服が大きかったこともあり何も履かずに白い生脚を晒している

同じくフェルトで作った耳とツノをカチューシャで着け、赤色の首輪にはクリスマス用の音の鳴らないベルが付いている

たったそれだけの簡単な仮装


最初はテンションが上がっており、完璧だと喜んでいたが、自分の服装を思い出し、みるみる顔が熱くなっていく

「ぁ…え、えっと…あの…と、とりっく おあ 士郎さん?」
喜んで貰えるかも?と思い付いた恥ずかしいセリフ
言ってて恥ずかしくなり、つい語尾が小さくなって俯いてしまう




なかなか答えが聞こえてこず、おずおずと顔を上げると、士郎さんが顔を真っ赤にして口許を抑えて震えていた
「お、俺の嫁が可愛すぎる…」

喜んでいるのがわかり、小首を傾げながら再度聞いてみる

 「士郎さん、とりっく おあ しろーさん?
ひつじな僕はお好みじゃない?」

勢い良く抱き締められ、頭を優しく撫でられる
「雪兎可愛い過ぎる!イタズラか俺って、お菓子よりも俺でいいの?」
軽々と抱き上げられ、そのままリビングに連れて行かれる

「お菓子より、士郎さんの方が僕にはご褒美だから。ご飯のあと、いっぱい士郎さんをちょうだい?」
頬に軽くキスをすると、それ以上に沢山のキスを返してくれた



悪戯も色々考えてたのに、僕の方がいっぱい悪戯されてしまって、翌朝は起き上がることが出来なかった
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