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司馬とは、すぐに連絡が付いて会うことになった
なんか、あの現場に司馬も居たらしく、ずっと心配してくれてたらしい

夜の公園でベンチに座り、先程買った缶コーヒーをチビチビ飲む

「竹内、本当にもう大丈夫なのか?櫻井さくらいさんもあの時は大変だったな…」

「司馬、ありがとう。あの時のこと、オレちゃんとわかってないんだけど、救急車とか手配してくれたの司馬何だって?オレが入院してる時もヘルプとか色々店に回してくれたの、本当に感謝してる」
司馬の向かいに立ち、頭を上げてお礼を言う
安心したのか、ふわりと穏やかな笑みを浮かべ、頭を撫でてくる司馬に安堵する

「あと、この前はオレに告白してくれてありがとう。司馬からの気持ち、すっごく嬉しかった…
でも、ごめん。オレ…、わかんないけどもう誰かを好きになりたくないみたいなんだ。
誰とも付き合ったことないはずなのに、意味わかんないけど、もう、誰も好きになりたくない…」

顔を上げることが出来ず、司馬の顔を見ることができない
でも、気持ちを偽ることが出来ず、出来るだけ正直に思ったことを口にした

「付き合ったことないって…、櫻井さくらいさんはどうしたんだよ」
泣きそうな困った顔をしながら顔を上げ、司馬の横に座り直す
「やっぱり…司馬もオレが櫻井さくらいさんと付き合ってたって知ってるんだ…
オレ、憶えてないんだ…。名前も仕事も、こないだの出張のことも、ちゃんと覚えてるのに、櫻井さくらいさんとの関係だけ、全然覚えてないんだ…」
司馬が微かに息を飲むのが聞こえるも、気にしないようにして話を続ける

「部屋にもあの人と付き合ってたってわかるのがあったけど、オレじゃない誰かの間違いじゃないかって…
他人事にしか思えなくて…
あの日も、退職しようと思って本社に行ったはずなのに、なんで退職までしようと思ったのか思い出せない
オレ…、この仕事は好きだし、誇りに思ってるのにさ…
でも、今の部屋に居るのも、あの人に会うのも、ずっと苦しいんだ…」


落ち着いて、今思っていることを告白する
司馬はそんなオレの話をただ静かに聞いてくれていた


「仕事、落ち着いたら改めて退職について進めようと思う
ここじゃない何処かに引っ越して、一からやり直そうって…
だから、司馬の気持ちは嬉しかったけど、ごめんなさい。オレを好きになってくれてありがとう」
座ったまま司馬に向き合い、頭を下げる

司馬は何も言わなかったけど、その目は少し寂しそうだった

「わかった。ちゃんと返事をくれてありがとうな。
でも、俺がお前を想っているのは変わらないから…
櫻井さくらいさんのことを忘れるくらい、お前も苦しかったんだから、無理だけはするなよ」
缶コーヒーを一気に飲み干し、ゴミ箱に捨てるとそのまま軽く手を振って去って行ってしまった

「ごめん、ありがとう」
そんな彼の後ろ姿に小さく呟き、1人ベンチに座ってゆっくり残っていたコーヒーを飲み干した
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