9 / 11
9
しおりを挟む
ルリの様子がおかしい
うなされながら眠る日が増え、朝起きると日に日に生気が落ちている
羽根がボサボサになって傷んでいく姿が心配になり、医者に見せたところ、翼の根元から壊死していることがわかった
いつから…
何故言わない
元々あまり動かさないこともあり、気付くのが遅れてしまった
あの美しい羽が見る見る色褪せ、抜け落ち、見るも無惨な状態になっている
「ルリ、痛むのだろう?何故もっと早く言わなかった」
つい責めるような言い方をしてしまい、ルリを怯えさせてしまう
大切にしたいのに、どう扱えばいいのかがわからない
最初は、言われたから愛するフリをした
街の為、国に為なら利用するのも厭わなかった
命を助けられ、失うかもしれないことに恐怖した
はにかむように笑う顔を好ましいと思った
健気な姿に、心惹かれた
未来を見る度に生気が失われていくのは、本能で感じたが、止められない
国の為、街の為、皆の為、ルリを犠牲にしようとしている
「ルリ、何を見ている…」
未来を見たら、細やかなコトでも書いていた紙を今は何も書いていない
しかし、日に日にやつれる姿を見て、何かあるのはわかる
触れただけで壊れてしまいそうな傷だらけの小鳥を優しく抱きしめる
「ルリ、愛している。ずっと、そばに居て欲しい」
心からの思いを告げるも、ルリはただただ、静かに微笑み紙に文字を認める
『リューク様には、白銀の綺麗な狼族の方がお嫁に来られるんです。2人はお似合いで、すっごく幸せそうで、ボクはそれを見れるのが楽しみなんです。
だから、もう少しだけ待っててください』
声は、もう出なくなった
元々ちゃんと喋れなかったから気付かれずにいれる
片耳がもう聞こえない
まだ、もう片方あるから大丈夫
匂いがしなくなった
大好きな彼の香り、もっといっぱい覚えておけばよかった
味がしなくなった
舌が短くなってから僅かしか感じなかったけど、今は何も感じない
大丈夫、まだバレないから
あともう少し、もうちょっとだから…
今わかってることだけ、まとめておこう。
次に何が消えるかわからないから
戦争が始まるのは、来年の春頃
雪も溶けて、そろそろみんなが春のお祭りを始める頃
隣国はヒト族が多いって聞いていたし、この国を狙ってるって言ってた
でも、開戦される兆しはないって聞いてた
あと少し
その原因がもう少しでわかりそう
そしたら、この未来は変わるはず
それをリューク様に教えれば、大丈夫
今は、もう少しだけ待ってて…
貴方は、ボクが絶対に守るから
ボクの愛する人
久しぶりに違う夢を見た
一面花が咲き乱れ、風が気持ち良い
いつも連れて行って貰えるあの丘の上
黒い狼族の彼と白銀の狼族の彼女
2人はとてもお似合いで、幸せそうだ
彼女の腕の中には小さな命が大切そうに抱えられている
赤ちゃんだ…この未来の為にも、絶対に戦争なんて起こさせないから…
うなされながら眠る日が増え、朝起きると日に日に生気が落ちている
羽根がボサボサになって傷んでいく姿が心配になり、医者に見せたところ、翼の根元から壊死していることがわかった
いつから…
何故言わない
元々あまり動かさないこともあり、気付くのが遅れてしまった
あの美しい羽が見る見る色褪せ、抜け落ち、見るも無惨な状態になっている
「ルリ、痛むのだろう?何故もっと早く言わなかった」
つい責めるような言い方をしてしまい、ルリを怯えさせてしまう
大切にしたいのに、どう扱えばいいのかがわからない
最初は、言われたから愛するフリをした
街の為、国に為なら利用するのも厭わなかった
命を助けられ、失うかもしれないことに恐怖した
はにかむように笑う顔を好ましいと思った
健気な姿に、心惹かれた
未来を見る度に生気が失われていくのは、本能で感じたが、止められない
国の為、街の為、皆の為、ルリを犠牲にしようとしている
「ルリ、何を見ている…」
未来を見たら、細やかなコトでも書いていた紙を今は何も書いていない
しかし、日に日にやつれる姿を見て、何かあるのはわかる
触れただけで壊れてしまいそうな傷だらけの小鳥を優しく抱きしめる
「ルリ、愛している。ずっと、そばに居て欲しい」
心からの思いを告げるも、ルリはただただ、静かに微笑み紙に文字を認める
『リューク様には、白銀の綺麗な狼族の方がお嫁に来られるんです。2人はお似合いで、すっごく幸せそうで、ボクはそれを見れるのが楽しみなんです。
だから、もう少しだけ待っててください』
声は、もう出なくなった
元々ちゃんと喋れなかったから気付かれずにいれる
片耳がもう聞こえない
まだ、もう片方あるから大丈夫
匂いがしなくなった
大好きな彼の香り、もっといっぱい覚えておけばよかった
味がしなくなった
舌が短くなってから僅かしか感じなかったけど、今は何も感じない
大丈夫、まだバレないから
あともう少し、もうちょっとだから…
今わかってることだけ、まとめておこう。
次に何が消えるかわからないから
戦争が始まるのは、来年の春頃
雪も溶けて、そろそろみんなが春のお祭りを始める頃
隣国はヒト族が多いって聞いていたし、この国を狙ってるって言ってた
でも、開戦される兆しはないって聞いてた
あと少し
その原因がもう少しでわかりそう
そしたら、この未来は変わるはず
それをリューク様に教えれば、大丈夫
今は、もう少しだけ待ってて…
貴方は、ボクが絶対に守るから
ボクの愛する人
久しぶりに違う夢を見た
一面花が咲き乱れ、風が気持ち良い
いつも連れて行って貰えるあの丘の上
黒い狼族の彼と白銀の狼族の彼女
2人はとてもお似合いで、幸せそうだ
彼女の腕の中には小さな命が大切そうに抱えられている
赤ちゃんだ…この未来の為にも、絶対に戦争なんて起こさせないから…
31
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。




ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる