【完結】野良猫Subは誰にも懐かない

ゆあ

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人気のない静かな廊下を進み、カードキーに書かれた番号の部屋へと向かった

颯斗ハヤトと来た時の部屋と同じ作りの部屋
広いベッドのある部屋とは別に、もう一室リビングと言える部屋がある

静か過ぎる部屋に、オレの心臓の音が聞こえるんじゃないかと不安になる


「へぇ~、良い部屋取ってんな。
お前、あのお坊ちゃんにそんなに気に入られてんのか?」
オレの腕を引っ張り、そのままベッドに頭を押し付けられる

「久々に調教してやるよ。 Crawl四つん這いになれ
颯斗ハヤト以外の命令コマンドを聞きたくない気持ちはあるものの、大人しくベッドに両手を付いて四つん這いになる

「あの一条グループの御曹司が…誰にでも脚を開く、淫乱なSubでしかない凪に御執心なんてな…」
クックックッと喉で笑いながらオレの頬を舐められ、ゾワッと身の毛がよだつ

 Strip服を脱げ Butter up媚びろ Present晒せ Present見せろ Present差し出せ
幾つもの命令コマンドを上から一気に言われ、吐きそうになる

嫌なのに、聞きたくないのに
心は、頭では、拒絶してるのに、Subの本能がDomの命令は絶対だと言うように、無意識に服を脱ごうとしてしまう

必死に服の裾を握り締めて脱ぐのを拒んでいると、なかなか命令通り脱がないことに焦れたのか、ニヤニヤ獲物を狩る肉食獣のような目でオレを見て、服に手が差し込まれる

「いやっ!や、め…」
どうにか拒絶しようとした瞬間、首根っこを掴まれベッドに押し付けられてしまう
その時、首に巻かれたカラーが見えたのか、隼人はやとさんの表情から一気に笑みが消え、グレアが吹き出し
「オイッ!クズ!!これはなんだ?」

颯斗ハヤトに貰ったカラー
松葉色のようなくすんだ黄緑の革にシルバーの金具の付いた、世界で一つだけの、オレだけのカラー

いきなり首輪と首の間に指を引っ掛けられ、爪が引っ掛かったのか痛みが生じる
そのまま首輪を引っ張られているせいで、喉が詰まり呼吸できない
「ィっ……」

Domのグレアをまともに浴びてしまい、恐怖でガタガタと身体が震えてしまうものの、なんとか口角を上げて笑みを作り

「オレが、…颯斗ハヤトのモノだって、証ですよ」

「このクズSubがっ!!!」

隼人はやとさんの怒声と同時に腕を振り被られ、殴られると思いギュッと目を閉じ、頭を守るように腕で覆う
しかし、なかなか痛みは来ないことに疑問を覚え、ゆっくり腕を退けて隼人はやとさんを見あげると…

「いっ!?なんでアンタがここに居るんだ!」
颯斗ハヤトが彼の腕を捻り上げて拘束していた


「晴臣さん、大丈夫?ごめんなさい、危険な役を押し付けてしまって…
瀬名さん、覚悟は出来てますよね」

颯斗ハヤトの姿を見て、やっと強張っていた身体から力が抜け、ホッと息を吐く
気付けば、周りには数人の男性の姿があり、どの男性も怒りからグレアが放たれている

「なんなんだ!オイッ!クズ!お前、俺を嵌めやがったな!コイツらはなんなんだよ!」
服装を直し、周りにいた男性に取り押さえられながらも、暴れて喚き散らす隼人はやとさんを軽蔑した目で見下す

「わかりませんか?貴方が、オレ以外のSubにしたこと…
オレが居なくなってから、オレ以外の人にも色々やってたんだろ…?
この人たちは、その可哀想なSubたちのパートナーだよ」
怒りから拳を握り締めている男たちを見て、隼人はやとさんの顔が青ざめていく

「無理矢理Playを強要し、動画を撮ってそれを使って脅していたようですね。『動画を消して欲しければ…』と、脅すくせに、その都度新しい動画を撮って違法サイトに上げて…
Sub Dropに堕ちてしまった可哀想なSubもたくさん居たみたいですね…
ねぇ、パートナーがいるSubに手を出したらどうなるか知ってますか?」
いつの間にか颯斗ハヤトがオレを大切そうに後ろから抱きしめてくれ、隼人はやとさんに冷たく言い放っている

オレ自身でも調べていたから知っている悪事
1年くらい前から、また増えているレイプに近いPlay動画…
調べていくと、隼人はやとさんに繋がっていた

オレの場合は、パートナーだと信じていたから、合意ということにされるかもしれないが、他の人たちは違う
人権を踏み躙られるような行為に、泣き叫びながらパートナーの名前を呼んでいる可哀想な映像が大半だった…
観ているこっちが泣きたくなる程、胸糞悪い映像…


3人のDomに殴られている隼人はやとさんから顔を背けるように颯斗ハヤトに抱き付く
震えているのがバレてしまっているせいで、頭を何度も優しく撫でられ、顔中にキスをして落ち着かせてくれる

「瀬名さん、この事は父と貴方の現在パートナーになっているご家族にも伝えています。
動画を上げているサイトの運営も、犯罪の温床になっていたので近々検挙されるでしょうね。
もうすぐ警察も来られるので、詳しくは警察の方々に言ってください」


後ろで何か叫んでいる声が聞こえるものの、これ以上グレアが渦巻く部屋に居たくなくて、颯斗ハヤトの服にしがみ付き
「晴臣さん、ごめんね。無理させて…
皆さん、後はよろしくお願いします。俺はパートナーと別の部屋に居ますので…
警察には俺が対応するので、それまでは殺さない程度に好きにしてくださって結構ですよ」

颯斗ハヤトに匿うように連れられ、あの人がいる部屋から逃げるように出た
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