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第四章
64.ぐだぐだ思考回路
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もぞもぞとベッドから出てきて辺りを見渡す。
多分、時間的にはまだお昼を過ぎた頃だと思う。
リークフリードさんを見送った後、何もする気が起きなくて、ベッドに戻ってふて寝してた。
二日酔いのせいで、頭が割れそうなくらい痛かったってのも原因の一つだけど……
用意していた水を木製のコップに注ぎ、一気に飲み干す。
ついでに、体調を戻すために、解毒魔法を自分に掛けておく。
前にお酒を飲んだ時に使ってみたら、コレが効いたんだよね~。
お酒も飲み過ぎれば毒になるから、そういう理由なのかもしれないけど……
これなら、いくら酔い潰れるくらい飲んでも、翌日動けないって事態にならないからいいなぁ……
小さく溜息を漏らし、誰もいない部屋を見渡す。
ここに居ても、ルイミヤはまだ帰って来ないだろう。
帰って来たところで、本当の恋人は別にいるみたいだから、戻ってきたところで意味ないはないんだろうけど……
「やっぱ、大人しく魔王のところに連れて行くためだったのかな……」
自分なりにルイミヤの行動を分析してみる。
俺が嫌々旅をしていたから、仕方なく恋人のフリをしたとか?
あ、俺のスキルにあった魅了のせいかも。
まぁ、どっちにしろ、ルイミヤが本当に愛していたのは彼女の方だったんだと思う。
ってか、これからの旅はどうするんだろ?
危険も伴う旅に、ルイミヤをこれ以上付き合わせるのは、ティアラローズさんにも悪いよな……
大切な恋人を置いて、俺なんかと危険な旅に出るなんて馬鹿みたいだし……
俺ひとりで魔王のところに行くのって、やっぱ無謀なのかな?
空になってしまったコップを眺め、残っていた水滴を床に落とす。
「俺、なんでこんな旅してんだろ……」
胸にぽっかり穴でも空いてしまったような、何とも言えない虚しさが募っていく。
リークフリードさんは……付いて来てくれたりするかな?
不意にさっき俺のことを心配そうに見つめてきた、真っ赤なルビーのような綺麗な赤い瞳を思い出してしまう。
「あり得ないか……。ルイミヤが一緒だから、来てくれてるだけだもんな……」
先程の愛おし気に見つめてくるリークフリードさんの目を思い出して、身体が熱くなる。
そういえば、昨日見た夢の人、リークフリードさんと同じ目の色だった気がする。
吐息交じりの切なげな声で、何度も名前を呼んでくれた。
って、俺、リークフリードさんに抱いて貰いたいって願望持ってたりする?
だからあんな夢見ちゃったわけ?
まぁ、それは否定できないかも。
昨日から俺が勘違いしてしまいそうなくらい優しいし……
絶対イイ身体してるだろうし……
あの体格をみると、当然アッチの方も期待できそうだよな。
なにより、聖騎士様だから体力も凄そうじゃん?
ルイミヤのこと、忘れさせてくれるくらい、めちゃくちゃに抱いてくれそうじゃん……。
まぁ、無理な話だけど……
リークフリードさんが俺のことを好きなんて、絶対にあり得ないことだろうし……
妄想と現実を一緒にしちゃダメだよな。
「はぁ……でも、本当にこれからどうすっかなぁ~……」
電車とかバスとか車はこの世界には存在しない。
馬車とかならあるだろうけど、俺が運転できるわけもない。
ってか、護衛もなしに旅なんてできるのかな?
あ、冒険者ギルドに行けば一緒に来てくれる人いるかも。
どれくらいのお金が要るのかわかんないけど、とりあえず旅は続けられるんじゃね?
「でも、魔王のところに行ってどうすんだろ……自分から死にに行くみたいなもん?それなら、このままバックれてもいいんじゃね?」
自嘲的な笑いがつい零れてしまう。
「でも、俺が行かなきゃ、みんなが困ることになるんだよな……」
明日からのことを考えているだけで、気持ちが沈んでくる。
ルイミヤのことは、自分なりに諦めたつもりだった。
だって、あんな綺麗な人、俺が敵うわけないじゃん……
それだったら、好きな人の幸せを願って、さっさと身を引くのがいい。
別に、失恋なんてこれが初めてってわけでもないし……
冷たい水で顔を洗い、泣いて赤くなってしまった目元を冷やす。
「今日でこの街は最後なんだし、昼飯は豪遊してやる!ついでに色々観光もしてやる!」
自分を慰めるように、思い付く楽しいことを全部口に出していく。
とりあえず、今は動こう。
馬車とか護衛してくれる人を探しに行って、ついでに観光もして、美味しい物を食べよう。
ルイミヤとリークフリードさんがどうするのかは、帰って来てから確認すればいい。
俺ひとりで旅をすることになっても、困らないように準備しておけばいい。
多分、時間的にはまだお昼を過ぎた頃だと思う。
リークフリードさんを見送った後、何もする気が起きなくて、ベッドに戻ってふて寝してた。
二日酔いのせいで、頭が割れそうなくらい痛かったってのも原因の一つだけど……
用意していた水を木製のコップに注ぎ、一気に飲み干す。
ついでに、体調を戻すために、解毒魔法を自分に掛けておく。
前にお酒を飲んだ時に使ってみたら、コレが効いたんだよね~。
お酒も飲み過ぎれば毒になるから、そういう理由なのかもしれないけど……
これなら、いくら酔い潰れるくらい飲んでも、翌日動けないって事態にならないからいいなぁ……
小さく溜息を漏らし、誰もいない部屋を見渡す。
ここに居ても、ルイミヤはまだ帰って来ないだろう。
帰って来たところで、本当の恋人は別にいるみたいだから、戻ってきたところで意味ないはないんだろうけど……
「やっぱ、大人しく魔王のところに連れて行くためだったのかな……」
自分なりにルイミヤの行動を分析してみる。
俺が嫌々旅をしていたから、仕方なく恋人のフリをしたとか?
あ、俺のスキルにあった魅了のせいかも。
まぁ、どっちにしろ、ルイミヤが本当に愛していたのは彼女の方だったんだと思う。
ってか、これからの旅はどうするんだろ?
危険も伴う旅に、ルイミヤをこれ以上付き合わせるのは、ティアラローズさんにも悪いよな……
大切な恋人を置いて、俺なんかと危険な旅に出るなんて馬鹿みたいだし……
俺ひとりで魔王のところに行くのって、やっぱ無謀なのかな?
空になってしまったコップを眺め、残っていた水滴を床に落とす。
「俺、なんでこんな旅してんだろ……」
胸にぽっかり穴でも空いてしまったような、何とも言えない虚しさが募っていく。
リークフリードさんは……付いて来てくれたりするかな?
不意にさっき俺のことを心配そうに見つめてきた、真っ赤なルビーのような綺麗な赤い瞳を思い出してしまう。
「あり得ないか……。ルイミヤが一緒だから、来てくれてるだけだもんな……」
先程の愛おし気に見つめてくるリークフリードさんの目を思い出して、身体が熱くなる。
そういえば、昨日見た夢の人、リークフリードさんと同じ目の色だった気がする。
吐息交じりの切なげな声で、何度も名前を呼んでくれた。
って、俺、リークフリードさんに抱いて貰いたいって願望持ってたりする?
だからあんな夢見ちゃったわけ?
まぁ、それは否定できないかも。
昨日から俺が勘違いしてしまいそうなくらい優しいし……
絶対イイ身体してるだろうし……
あの体格をみると、当然アッチの方も期待できそうだよな。
なにより、聖騎士様だから体力も凄そうじゃん?
ルイミヤのこと、忘れさせてくれるくらい、めちゃくちゃに抱いてくれそうじゃん……。
まぁ、無理な話だけど……
リークフリードさんが俺のことを好きなんて、絶対にあり得ないことだろうし……
妄想と現実を一緒にしちゃダメだよな。
「はぁ……でも、本当にこれからどうすっかなぁ~……」
電車とかバスとか車はこの世界には存在しない。
馬車とかならあるだろうけど、俺が運転できるわけもない。
ってか、護衛もなしに旅なんてできるのかな?
あ、冒険者ギルドに行けば一緒に来てくれる人いるかも。
どれくらいのお金が要るのかわかんないけど、とりあえず旅は続けられるんじゃね?
「でも、魔王のところに行ってどうすんだろ……自分から死にに行くみたいなもん?それなら、このままバックれてもいいんじゃね?」
自嘲的な笑いがつい零れてしまう。
「でも、俺が行かなきゃ、みんなが困ることになるんだよな……」
明日からのことを考えているだけで、気持ちが沈んでくる。
ルイミヤのことは、自分なりに諦めたつもりだった。
だって、あんな綺麗な人、俺が敵うわけないじゃん……
それだったら、好きな人の幸せを願って、さっさと身を引くのがいい。
別に、失恋なんてこれが初めてってわけでもないし……
冷たい水で顔を洗い、泣いて赤くなってしまった目元を冷やす。
「今日でこの街は最後なんだし、昼飯は豪遊してやる!ついでに色々観光もしてやる!」
自分を慰めるように、思い付く楽しいことを全部口に出していく。
とりあえず、今は動こう。
馬車とか護衛してくれる人を探しに行って、ついでに観光もして、美味しい物を食べよう。
ルイミヤとリークフリードさんがどうするのかは、帰って来てから確認すればいい。
俺ひとりで旅をすることになっても、困らないように準備しておけばいい。
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