男ですが聖女として召喚されたら、年下第3王子と年上の聖騎士様に迫られてます。

こうらい ゆあ

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第三章

39.買い物デート

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 午後からは予定通り、俺とルイミヤは二人で買い出しという名のデートに出掛けた。

 街全体に広がる石畳の道。
 他の町と違って、整備が行き届いているのか、ちゃんと舗装されている道が多く、時々馬車なんかも通っている。
 この世界での都会ってこんな感じなのか?って、しみじみと思ってしまった。

 昨日、街に入るときにも見たけど、ぐるりと街を囲むように作られた堅固な城壁と大きな門は結構見ごたえのあるものだった。
 魔獣や敵からの侵入を防ぐのに一躍かってそうなくらい大きくてしっかりした城壁。
 見張りの人もいるのか、小さく塀の上を歩いているっぽい人影も見える。

 街の中央には広場があって、そこを中心に放射線状に街が広がっている。
 市場や屋台街が広がっている西側、宿屋や市街地のある南側。
 教会などがある北側、東側はお金持ちが沢山いる区画になっているようだった。
 それぞれの区画よって場所が定められているから、覚えるのは結構簡単だ。
 買い物をするなら西側を中心に回ればいいだけだし、宿屋に戻るのは東側に近い宿屋の方に行けばいい。

 そんな感じで、俺たちは今、市場が多くある場所をゆっくりと散策している。
 この旅で必要な香辛料や新しい着替え、あと野菜を中心とした食材を色々と物色していく。

 気になる店を見つけては、ついつい気になってフラフラと吸い寄せられていく俺を、迷子にならないようにしっかりルイミヤが手を繋いでいてくれる。
「こんなに活気がある街、初めてかも」
 今まで寄った町や村は、こんなに大きくなかった。
 確かに、食材を売っている店は多少あったけど、店の数が圧倒的に多い。
 今歩いてきた道だけでも何店舗あるんだ?って言いたくなるし、他の大通りにはもっと沢山の店がある。

 一つ一つを確認していたら、それだけで何日もかかってしまいそうなくらいだ。
 でも、どの店も活気づいているし、通りには沢山の人であふれかえっている。
 本当に、この街がいい街なんだって思えてくる。

「この街は冒険者にとっても拠点にしやすい場所だからな。他の街に比べて、人が多いんだ」
 俺の隣で微笑みながら街を案内してくれるルイミヤ。
 ルイミヤもリークフリードさんも、何度も来たことがあるって言っていたから、前に言ってた遠征の時とかに来ていたのかもしれない。
 ルイミヤ、王族なのに本当に偉いよな。

 多分、王子様ってのはバレないようにしているんだろうけど、内面から滲み出る高貴さは隠せてないと思う。
 王族じゃなくても、どこかの貴族だって思われてそうだよな……
 ホント、今日はリークフリードさんが一緒じゃなくて大丈夫なのか?って、心配になってしまう。
 最悪、俺が囮になってルイミヤを逃がすことにしよう。
 多少怪我しても、俺なら自分で治癒できるし……

 いくつか気になる店を見つけては、ルイミヤの手を引いて入っていく。
 トマトみたいな野菜だったり、辛いレモンだったり、シャキシャキ食感が楽しいキャベツみたいな野菜だったり……
 手頃でルイミヤも好きだって言った食材はどんどん買って、俺のマジックバックに入れていく。

 出店に並ぶ物珍しいものには、ついつい目を取られ、魔法道具だとつい色々聞きたくなるからなかなか買い物が終わらない。
 ルイミヤも魔法道具には興味津々だったから同罪だと思う。

 いくつかの店を回ったあと、お腹がきゅぅぅぅっと虚しい声を上げた。
 結構大きな音でなったせいで、隣を通ったお姉さんや串焼きを焼いているおじさんがニッコリと笑みを浮かべているのが恥ずかしい。
 確かに、あの屋台からめちゃくちゃ美味しそうな匂いがしたけどさ!
 でも、今鳴らなくてもいいだろ!
 俺、そんなに食い意地張ってるわけじゃないし……
 いや、確かに、ずっと歩き回っていたから小腹は空いてきたけど、でも、そんな……

 肉の焼ける匂いや、香辛料の香り、美味しそうなスープの匂いが食欲を刺激する。

 キュルキュルキュルキュル

 独特の腹の虫の音に、恥ずかしくて仕方ない。
 自分の顔が真っ赤になっているのが、鏡を見なくてもわかってしまう。
 自身の腹の音を少しでも和らげようと、のの字を描くように撫でていると、俺を見てクスクスと笑うルイミヤの声が聞こえてきた。
「フフッ、すまない。マコも小腹が空いているなら、いいところに行こうか」

 ルイミヤに聞かれたのは恥ずかしいけど、いいところがあるっていうのは、すっごく気になる。
 だって、王族のルイミヤが気に入っているものなんて、絶対美味しいじゃん!

 俺は何度もうんうん。と頷き、ルイミヤに誘われるまま、中央の広場の近くにまで歩いて行った。
 そこには香辛料の美味しそうな匂いや肉の焼ける香り、甘い果物の匂いで溢れていた。
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