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第二章
22.日々の練習
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晴れている日は、できるだけ旅を進める。
でも、旅をするってことは、当然天気が悪かったり、急変したりすることだってある。
そんな時は、できるだけ雨風を凌げる安全な場所に拠点を作って、ゆっくり過ごすようにしていた。
別に、急ぎの旅ってわけじゃないしね。
いや、魔王からの期限があるのはわかってるんだよ?でも、どれだけ急いだって徒歩での旅だからさ……
限界ってあるじゃん?それに、期限まではまだまだ時間もあることだしね。
『アスペンデール』の町を出て10日目。
今日は朝から生憎の雨模様ってことで、今は雨をしのぐのにちょうどいい廃小屋でお世話になっている。
昨日の夕暮れ時、そろそろ野営する場所を決めなきゃいけないって時に、偶然、俺が見つけたんだよね。
こんな森が鬱蒼とした場所に?って、最初は警戒していたんだけど、リークフリードさんが先行して中を確認してくれたんだ。
古びた木造の小屋だけど、中は思っていたよりも綺麗で、一晩くらい過ごすなら大丈夫だろうって……
多分、木こりか元々この森に棲んでいた猟師の小屋だったんじゃないかな?
壊れていたけど、ベッドとか小さなかまどがあったから、ここで生活していた人が居たんだと思う。
まぁ、この荒廃具合を見ると、出て行ってからかなりの時間が経っているみたいだったけどね。
廃小屋だったけど、連日屋根もない野宿ばかりの生活だったから、昨晩は久々にゆっくり寝ることができた。
ただ、リークフリードさんが扉の近くで眠っているのに、ルイミヤが構って欲しそうにしてきた。
そこは流石に我慢してもらった。
寝ているとはいえ、人がいるのに盛るなよ!
仕切りもないから起きたら丸見えじゃん!?
やっぱり王族だからそういうところは気にしないのか?
え?見られてもいい系?それは……ちょっと遠慮したい。
さすがの俺でも、羞恥心はあるから……
だから、次の町の宿屋に着いた時には、たっぷりご奉仕させていただくことで納得してもらいましたよ。
俺の我が儘なのか?って、色々ツッコミたいけど、王子様相手だもんね。
はいはい。俺なんかのご奉仕で喜んでいただけるならやりますよ。
まぁ、俺も気持ち良いことは好きだからね。
ルイミヤの、王族級にデッカイし、結構優しく抱いてくれるんだよな~。
ん~、年下は範囲外だったんだけど、ルイミヤなら結構イイかも?
ってか、あの顔でおねだりされたら断りたくても断れないんだよな……
「マコ、疲れてないか?」
馬鹿なことばっかり考えている俺なのに、ルイミヤは優しく微笑みながら声を掛けてくれる。
俺は朝からルイミヤに見て貰いながら魔法の練習をしている。
なんか、最初の時よりもちょっとだけ、できるようになった気がするんだよなぁ~。
「あ、ごめん。うん、平気だ。ってか、なんか前よりもちょっと出来るようになっている気がする」
手をグーパーグーパーと開いたり閉じたりを繰り返し、さっき出来た魔法が嬉しくてテンションが上がってしまう。
「あぁ、マコの成長は著しいな。明かりを灯す魔法も昨晩よりも長くできるようになっている」
そう、なんかちょっとだけ成長できていると俺自身も思うんだよね。
「光よ」
再度呪文を詠唱したところ、俺の手のひらにはクルミサイズの光りの球が出来上がり、ふよふよと浮かんでいる。
ロウソクよりもちょっと明るいくらいの灯火が、1分くらい浮遊した後、パチンッとシャボン玉でも割れたような微かな音を立てて、光の球は消滅してしまった。
それでも、今までのことを考えると成長できていることが実感できて、嬉しさからついルイミヤに抱き着いてしまう。
「やったぁ!ルイ!これ、成功だよな!俺、成長しているよな」
そんな俺を慈愛のこもった目で見つめ、優しく頭を撫でてくれる。
俺の方が年上のハズなのに、ルイミヤの方が落ち着いているし、なによりも王族の貫禄のせいか、年下には見えない。
そういえば、ルイミヤの歳をやっと聞くことができたんだよな。
一国の王子様、しかも未成年に手を出したんじゃないかってドキドキしていたんだけど、歳を聞いたら笑いながら「19歳」だと教えてくれた。
むしろ、俺のことは年下だと思っていたらしく、ルイミヤ自身も未成年に手を出してしまったんじゃないかって、ドキドキしていたらしい。
この世界では、17歳で成人らしいけど、おい。待て。俺のこと成人していないと思っていたのか?ってちょっとイラっとした。
でも、そうだよな……。
こんな小さな魔法一つで、こんなにはしゃいでいる俺は年上に見えないよな……
……決して、この童顔が理由じゃないって思っているけど、違うよな?
そんなことを思っていると、ルイミヤが愛し気な目で俺を見つめ、頬に触れてくる。
キスでもされそうな雰囲気に、つい流されそうになるもリークフリードさんが居るのを思い出して冷静になる。
少しだけルイミヤから離れ、頬をポリポリと人差し指で掻きながら、はにかんだ笑みを浮かべてお礼を言う。
「きょ、今日は……疲れたから、ここまでにしとく。いつも付き合ってくれてサンキューな」
ルイミヤはこんな感じだから、俺がもっとちゃんとしなきゃなんだけど……
あの日から、ルイミヤが優しくしてくれることが嬉しくて、つい甘えてしまっている。
「あ、そういや、俺のスキルにあるアイテムボックスとマジックバックってどう違うんだ?」
不意に思い出したスキルの存在。
旅に必要なものは、王様に貰った小さなポーチ型のマジックバックに入れていたので、今まで存在を忘れていた。
「そうだな。マコのスキルであるアイテムボックスは我々のモノとは少し異なると文献にあったから、その辺りは説明しておこう」
でも、旅をするってことは、当然天気が悪かったり、急変したりすることだってある。
そんな時は、できるだけ雨風を凌げる安全な場所に拠点を作って、ゆっくり過ごすようにしていた。
別に、急ぎの旅ってわけじゃないしね。
いや、魔王からの期限があるのはわかってるんだよ?でも、どれだけ急いだって徒歩での旅だからさ……
限界ってあるじゃん?それに、期限まではまだまだ時間もあることだしね。
『アスペンデール』の町を出て10日目。
今日は朝から生憎の雨模様ってことで、今は雨をしのぐのにちょうどいい廃小屋でお世話になっている。
昨日の夕暮れ時、そろそろ野営する場所を決めなきゃいけないって時に、偶然、俺が見つけたんだよね。
こんな森が鬱蒼とした場所に?って、最初は警戒していたんだけど、リークフリードさんが先行して中を確認してくれたんだ。
古びた木造の小屋だけど、中は思っていたよりも綺麗で、一晩くらい過ごすなら大丈夫だろうって……
多分、木こりか元々この森に棲んでいた猟師の小屋だったんじゃないかな?
壊れていたけど、ベッドとか小さなかまどがあったから、ここで生活していた人が居たんだと思う。
まぁ、この荒廃具合を見ると、出て行ってからかなりの時間が経っているみたいだったけどね。
廃小屋だったけど、連日屋根もない野宿ばかりの生活だったから、昨晩は久々にゆっくり寝ることができた。
ただ、リークフリードさんが扉の近くで眠っているのに、ルイミヤが構って欲しそうにしてきた。
そこは流石に我慢してもらった。
寝ているとはいえ、人がいるのに盛るなよ!
仕切りもないから起きたら丸見えじゃん!?
やっぱり王族だからそういうところは気にしないのか?
え?見られてもいい系?それは……ちょっと遠慮したい。
さすがの俺でも、羞恥心はあるから……
だから、次の町の宿屋に着いた時には、たっぷりご奉仕させていただくことで納得してもらいましたよ。
俺の我が儘なのか?って、色々ツッコミたいけど、王子様相手だもんね。
はいはい。俺なんかのご奉仕で喜んでいただけるならやりますよ。
まぁ、俺も気持ち良いことは好きだからね。
ルイミヤの、王族級にデッカイし、結構優しく抱いてくれるんだよな~。
ん~、年下は範囲外だったんだけど、ルイミヤなら結構イイかも?
ってか、あの顔でおねだりされたら断りたくても断れないんだよな……
「マコ、疲れてないか?」
馬鹿なことばっかり考えている俺なのに、ルイミヤは優しく微笑みながら声を掛けてくれる。
俺は朝からルイミヤに見て貰いながら魔法の練習をしている。
なんか、最初の時よりもちょっとだけ、できるようになった気がするんだよなぁ~。
「あ、ごめん。うん、平気だ。ってか、なんか前よりもちょっと出来るようになっている気がする」
手をグーパーグーパーと開いたり閉じたりを繰り返し、さっき出来た魔法が嬉しくてテンションが上がってしまう。
「あぁ、マコの成長は著しいな。明かりを灯す魔法も昨晩よりも長くできるようになっている」
そう、なんかちょっとだけ成長できていると俺自身も思うんだよね。
「光よ」
再度呪文を詠唱したところ、俺の手のひらにはクルミサイズの光りの球が出来上がり、ふよふよと浮かんでいる。
ロウソクよりもちょっと明るいくらいの灯火が、1分くらい浮遊した後、パチンッとシャボン玉でも割れたような微かな音を立てて、光の球は消滅してしまった。
それでも、今までのことを考えると成長できていることが実感できて、嬉しさからついルイミヤに抱き着いてしまう。
「やったぁ!ルイ!これ、成功だよな!俺、成長しているよな」
そんな俺を慈愛のこもった目で見つめ、優しく頭を撫でてくれる。
俺の方が年上のハズなのに、ルイミヤの方が落ち着いているし、なによりも王族の貫禄のせいか、年下には見えない。
そういえば、ルイミヤの歳をやっと聞くことができたんだよな。
一国の王子様、しかも未成年に手を出したんじゃないかってドキドキしていたんだけど、歳を聞いたら笑いながら「19歳」だと教えてくれた。
むしろ、俺のことは年下だと思っていたらしく、ルイミヤ自身も未成年に手を出してしまったんじゃないかって、ドキドキしていたらしい。
この世界では、17歳で成人らしいけど、おい。待て。俺のこと成人していないと思っていたのか?ってちょっとイラっとした。
でも、そうだよな……。
こんな小さな魔法一つで、こんなにはしゃいでいる俺は年上に見えないよな……
……決して、この童顔が理由じゃないって思っているけど、違うよな?
そんなことを思っていると、ルイミヤが愛し気な目で俺を見つめ、頬に触れてくる。
キスでもされそうな雰囲気に、つい流されそうになるもリークフリードさんが居るのを思い出して冷静になる。
少しだけルイミヤから離れ、頬をポリポリと人差し指で掻きながら、はにかんだ笑みを浮かべてお礼を言う。
「きょ、今日は……疲れたから、ここまでにしとく。いつも付き合ってくれてサンキューな」
ルイミヤはこんな感じだから、俺がもっとちゃんとしなきゃなんだけど……
あの日から、ルイミヤが優しくしてくれることが嬉しくて、つい甘えてしまっている。
「あ、そういや、俺のスキルにあるアイテムボックスとマジックバックってどう違うんだ?」
不意に思い出したスキルの存在。
旅に必要なものは、王様に貰った小さなポーチ型のマジックバックに入れていたので、今まで存在を忘れていた。
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