11 / 51
第一章
10.不安しかない旅路の始まり
しおりを挟む
聖女の旅立ちって聞くと、なんか盛大な凱旋パレードとか歓声とかあると思っていた。
ほら一応、国を挙げて異世界から聖女召喚っていう一大イベントをわざわざやったのに?
まぁ、そんな盛大に送り出されるのは、俺的にも気が引けるからしなくてもいいんだけど……
でも、実際はめちゃくちゃ静かで、むしろこっそり王城から出るって感じのモノだった。
まぁ、そりゃそうか。
聖女だからって、お供にこの国の第三王子と聖騎士団団長様が一緒だからって、出立を盛大に祝うのはおかしいよな。
しかも、今から向かうのは魔王城。
ここから馬車を使って大急ぎで行くにしても、最短で3ヶ月はかかるらしい。
ってか、馬車でももっとかかると思っていた。
車とか飛行機のないこの世界で、交通手段と言えば、馬車か徒歩くらいしかないしね。
まぁ、そうだよね。魔導列車とか空飛ぶ車とかあったら、なんかイメージ崩れるから嫌じゃん?
有り難いのは、ここローゼンベルク王国と魔王の住んでいる国、魔国は山脈を挟んでお隣さんらしい。
思っていたより近いことに驚いたけど、近年ではだいぶ道も整理されているから比較的に交流も頻繁にしていたんだって。
まぁ、どれだけ道を整備したりしても、この世界には魔物とか凶暴な野生動物はいるらしいから、旅に出る=危険ってことには変わりないけど。
で、最初は馬車に揺られてどんぶらこ~って、連れて行ってもらう予定だったのだけど、折角召喚された異世界なのになんか嫌じゃん!
このまますんなり(?)魔王のところに行くよりも、異世界を堪能したいし、できるだけ魔王に会うのは先送りにしたい。
ってことで、「この国を色々回りながら旅をして、魔国に行きたい!」って、我儘を言ってみた。
最初はルイミヤ殿下もリークフリードさんには怪訝な顔をされてしまったけど、俺自身の今の魔法を見てちょっと悩んだらしい。
安全に向かうなら馬車の方が断然良いはずだけど、今のまま魔王に会ってもなぁ~
「これ、本当に聖女?」って、魔王に確認されかねない。いや、むしろ、絶対される。
それくらいショボい魔法しか俺は使えないから……
なんか、自分で言っていて悲しくなってきた……
旅をしながら、日々練習すれば、魔国に入る頃には多少マシになっている、はず。多分。
「では参りましょうか、聖女マコト様」
どこか冷たい物言いのルイミヤ殿下に促され、歩みを進める。
な~んか、地毛の姿を見られてから態度が冷たいんだよな……
騎士王のコスプレしていた時は、本物の聖女様扱いみたいに、丁寧に扱ってくれていたのに、俺が本当に男だってわかってからは態度がこんな感じ。
乱雑なわけじゃないけど、興味が失せたみたいに冷たいんだよね……
ん~、俺のセイバーコス、本当に可愛いからなぁ~
初恋泥棒したのに、本当はこっちが本当の姿でした!ってのに、ハートブレイク?
なんかごめんなぁ~……ちゅ、可愛くてごめん♡ってやつ?
って、バカなことを考えているのには訳がある。
俺の前を仲良く話しながら歩く二人。
王子と騎士って立場らしいけど、リークフリードさんは元々、第三王子であられるルイミヤ殿下の専属騎士だったらしい。
ルイミヤ殿下の剣技指導とかもしていて、兄みたいに慕っているってロッ●ンマイヤーさんが教えてくれた。
つまり、この旅で部外者なのは俺一人。
この世界で知り合いなんて二人くらいしかいないのに、俺はひとりぼっち。
楽しくお喋りしながら歩いている二人の後ろを、はぐれないようにだけ気を付けながらとぼとぼと歩くのが俺の使命。
俺には会話なんて一切ない。
休憩に入るときとか、食事に入るとき、宿に泊まるとか、野宿とか……
本当に最低限の会話だけ。
俺、そんな嫌われることしたっけ……?
リークフリードさんの視線も冷たいしさぁ……
なんか、思っていた異世界の旅とは違うし、根暗なヲタクでもぼっちはツラい。
「……ですから、…………聞いていますか?」
「んブっ!?え?あ、な、なにが?」
俯いてとぼとぼと歩いていたせいで、全然前を見ていなかった。
そのせいで、リークフリードさんの強靭な胸板に顔面を強打してしまい、呆れられたような溜息をこっそりと付かれてしまう。
「あ、すみません。えっと、ちょっと……考え事をしていて……」
赤くなってしまった鼻をさすりながら謝罪すると、あからさまに呆れたような溜息を付かれてしまった。
「ですから、次の町に着きましたらすぐに宿を取りましょう。マコト様もそうですが、ルイミヤ殿下も連日の野宿でお疲れでしょうから。と申し上げただけです」
無表情のまま、俺を見下すというか身長が高いから、そうなっちゃうのは仕方がないことなんだろうけど、俺を見る目はやはり冷たい。
俺よりも多分、ルイミヤ殿下を休ませてあげたいだけだと思う。
はぁぁぁ……なんか、早くも帰りたくなってきた。
こんなことなら一人で旅した方が気楽でよかったかも……
旅なんてしたことないから、無事にたどり着ける自信はないけど……
ほら一応、国を挙げて異世界から聖女召喚っていう一大イベントをわざわざやったのに?
まぁ、そんな盛大に送り出されるのは、俺的にも気が引けるからしなくてもいいんだけど……
でも、実際はめちゃくちゃ静かで、むしろこっそり王城から出るって感じのモノだった。
まぁ、そりゃそうか。
聖女だからって、お供にこの国の第三王子と聖騎士団団長様が一緒だからって、出立を盛大に祝うのはおかしいよな。
しかも、今から向かうのは魔王城。
ここから馬車を使って大急ぎで行くにしても、最短で3ヶ月はかかるらしい。
ってか、馬車でももっとかかると思っていた。
車とか飛行機のないこの世界で、交通手段と言えば、馬車か徒歩くらいしかないしね。
まぁ、そうだよね。魔導列車とか空飛ぶ車とかあったら、なんかイメージ崩れるから嫌じゃん?
有り難いのは、ここローゼンベルク王国と魔王の住んでいる国、魔国は山脈を挟んでお隣さんらしい。
思っていたより近いことに驚いたけど、近年ではだいぶ道も整理されているから比較的に交流も頻繁にしていたんだって。
まぁ、どれだけ道を整備したりしても、この世界には魔物とか凶暴な野生動物はいるらしいから、旅に出る=危険ってことには変わりないけど。
で、最初は馬車に揺られてどんぶらこ~って、連れて行ってもらう予定だったのだけど、折角召喚された異世界なのになんか嫌じゃん!
このまますんなり(?)魔王のところに行くよりも、異世界を堪能したいし、できるだけ魔王に会うのは先送りにしたい。
ってことで、「この国を色々回りながら旅をして、魔国に行きたい!」って、我儘を言ってみた。
最初はルイミヤ殿下もリークフリードさんには怪訝な顔をされてしまったけど、俺自身の今の魔法を見てちょっと悩んだらしい。
安全に向かうなら馬車の方が断然良いはずだけど、今のまま魔王に会ってもなぁ~
「これ、本当に聖女?」って、魔王に確認されかねない。いや、むしろ、絶対される。
それくらいショボい魔法しか俺は使えないから……
なんか、自分で言っていて悲しくなってきた……
旅をしながら、日々練習すれば、魔国に入る頃には多少マシになっている、はず。多分。
「では参りましょうか、聖女マコト様」
どこか冷たい物言いのルイミヤ殿下に促され、歩みを進める。
な~んか、地毛の姿を見られてから態度が冷たいんだよな……
騎士王のコスプレしていた時は、本物の聖女様扱いみたいに、丁寧に扱ってくれていたのに、俺が本当に男だってわかってからは態度がこんな感じ。
乱雑なわけじゃないけど、興味が失せたみたいに冷たいんだよね……
ん~、俺のセイバーコス、本当に可愛いからなぁ~
初恋泥棒したのに、本当はこっちが本当の姿でした!ってのに、ハートブレイク?
なんかごめんなぁ~……ちゅ、可愛くてごめん♡ってやつ?
って、バカなことを考えているのには訳がある。
俺の前を仲良く話しながら歩く二人。
王子と騎士って立場らしいけど、リークフリードさんは元々、第三王子であられるルイミヤ殿下の専属騎士だったらしい。
ルイミヤ殿下の剣技指導とかもしていて、兄みたいに慕っているってロッ●ンマイヤーさんが教えてくれた。
つまり、この旅で部外者なのは俺一人。
この世界で知り合いなんて二人くらいしかいないのに、俺はひとりぼっち。
楽しくお喋りしながら歩いている二人の後ろを、はぐれないようにだけ気を付けながらとぼとぼと歩くのが俺の使命。
俺には会話なんて一切ない。
休憩に入るときとか、食事に入るとき、宿に泊まるとか、野宿とか……
本当に最低限の会話だけ。
俺、そんな嫌われることしたっけ……?
リークフリードさんの視線も冷たいしさぁ……
なんか、思っていた異世界の旅とは違うし、根暗なヲタクでもぼっちはツラい。
「……ですから、…………聞いていますか?」
「んブっ!?え?あ、な、なにが?」
俯いてとぼとぼと歩いていたせいで、全然前を見ていなかった。
そのせいで、リークフリードさんの強靭な胸板に顔面を強打してしまい、呆れられたような溜息をこっそりと付かれてしまう。
「あ、すみません。えっと、ちょっと……考え事をしていて……」
赤くなってしまった鼻をさすりながら謝罪すると、あからさまに呆れたような溜息を付かれてしまった。
「ですから、次の町に着きましたらすぐに宿を取りましょう。マコト様もそうですが、ルイミヤ殿下も連日の野宿でお疲れでしょうから。と申し上げただけです」
無表情のまま、俺を見下すというか身長が高いから、そうなっちゃうのは仕方がないことなんだろうけど、俺を見る目はやはり冷たい。
俺よりも多分、ルイミヤ殿下を休ませてあげたいだけだと思う。
はぁぁぁ……なんか、早くも帰りたくなってきた。
こんなことなら一人で旅した方が気楽でよかったかも……
旅なんてしたことないから、無事にたどり着ける自信はないけど……
169
お気に入りに追加
291
あなたにおすすめの小説
アダルトショップでオナホになった俺
ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。
覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。
バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。
※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)
てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。
言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち―――
大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡)
20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる