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第一章
3.王様謁見
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鑑定が終わったあと、やっと王様の謁見の準備が整ったということで、大広間に案内された。
煌びやかな大広間には、しっかり磨き上げられた大理石みたいな真っ白な石で作られた床が広がっている。
それに、何階建て?って、言いたくなるくらい高い天井には、どうやって発光しているのかわからない豪華なシャンデリア。
柱には、何やら家紋らしいものが描かれた垂れ幕が下がっている。
俺がいるのは、深紅のような落ち着いた赤が美しいビロードの絨毯の上だ。
アニメとかの見様見真似で片膝を床についているものの、つい辺りをキョロキョロと見てしまう。
部屋の一番奥、俺がいる位置より少し上がった檀上の上には、豪奢な玉座がある。
玉座にちょこんと座っているのは多分この国の王様なのだろう。
横には宰相様っぽいインテリ眼鏡なイケメンが控えているし……
「おぉ!まさしく其方が聖女であるな!」
スラッとした、長身イケメンの宰相様と違い、王様はなんというか、丸くて可愛い。
なんか、絵本で見たことがあるような小さな王様って感じ。
そんな王様が嬉しそうに短い手を広げて歓迎してくれているのを、「コホンッ」と隣の宰相様がたしなめている。
王様ってば、ビクッて肩を震わせておどおどした顔で宰相様のこと見上げたりして、怒ってないかを確認している。
うん。これは宰相攻め、王様受けかな……
と、どうでも良いことを考えながら、まだ受け入れられない現実に気のない返事をしてしまった。
「はぁ……、え~とぉ、聖女と言われましても……」
某騎士王の恰好のまま片膝をついて頭を下げて様子を見ていたが、誤解があっては困ると思い、おずおずと立ち上がり
「あの、こんな格好をしていて恐縮なのですが、俺は男ですので聖女ではないです」
今は、見た目的には可愛い女性のワンピースを着ているが、声はれっきとした男のモノだ。
「これは、あの……趣味のコスプレをしているだけで、本当に召喚したかったと思われる聖女はまだあっちの世界にいるんですよ」
相方兼彼女であるマキを助けるために手を伸ばしたものの、アイツのせいで、逆に俺がこちらの世界に召喚されてしまった経由を簡単に説明する。
「と、言うわけで、アナタ方が召喚しようとしていた聖女様と俺は別人なんです。大変申し訳ないんですが……あの、帰り方とかって……」
「…………」
大広間には王様だけじゃなく、貴族の人も大勢いるはずなのに、誰一人として一言も言葉を発しない。
まぁ、そりゃそうだよな。
頑張って召喚して、やっと成功したと思ったのに、出てきたのは全く関係のない一般人な俺(見た目現在女子)なわけだし……
送り返そうにも、難しいんだと思う。
よくある召喚モノのネット小説とかのネタでも、帰還は難しいってよくあるし……
これ、このまま投獄されるとか、処刑されるっていうのだけは勘弁して欲しいなぁ……
ん~、どうすっかなぁ……このままお城から逃げるのも手だと思うけど、逃げたところでこれからどうしよう……。
言葉は通じるにしても、生活費とか仕事とか……
一人今後のことを勝手に考え込んでいると、檀上から今にも泣き出しそうな震える声が聞こえた。
「……ほ、本当に、其方は聖女ではないのか?」
見上げると、大きな目に涙をいっぱい溜め、唇を震わせている王様がいた。
「……ほ、本当に、其方は、聖女ではないのか?魔王からの手紙にも、其方はそっくりなのに?」
ツゥーっと涙が零れ落ちる。
宰相様もどこか苦し気な顔で王様を案じるように見つめ、胸から取り出したハンカチでそっと拭いてあげている。
王様、宰相様の顔を見て、宰相様の胸に抱き着こうとするのをなんとか堪えているみたいだけど……
うん。そこのカップリング、後で詳細ゆっくり聞かせてくれないかな?
宰相攻め、王様受けって確認だけでもさせて欲しい。
って、魔王?
王様が涙ながらに言った不審な言葉に目を見開き、辺りを見渡す。
王様同様にショックを受けた様子の貴族の方々や、俺を召喚しちゃった王子様も困惑した様子だった。
この様子を見ると、魔王っていうは聞き間違いじゃないっぽい。
この世界、魔王とかもいるんだ……。なんか、申し訳なくなってきた。
「えっと、お話だけでも、聞かせて貰ってもいいでしょうか?俺が出来ることってないかもしれないのですが……」
お通夜みたいな周りの雰囲気に耐えられず、おずおず手を小さく上げ、問うてみる。
そんな俺を見て、王様ったら涙と鼻水で汚れた顔をパァっと明るくさせて、うんうん。って、何度も頷いていたよ。
宰相様も、王様が喜んでいるのが嬉しいのか、鉄仮面みたいな表情をちょっと緩ませて口元だけは微笑んでいた。
うん。やっぱりこの二人はデキてるだろ。
ホント、俺ってば聞かなきゃいいのに、好奇心ってダメだね。
自分から厄介事に首を突っ込むなって、マキにはよく怒られていたけど……
気になるものは仕方ないじゃん?
あ~ぁ、ココで撮影させて貰えれば、かなりイイ感じの写真撮れそうなんだけどなぁ……
煌びやかな大広間には、しっかり磨き上げられた大理石みたいな真っ白な石で作られた床が広がっている。
それに、何階建て?って、言いたくなるくらい高い天井には、どうやって発光しているのかわからない豪華なシャンデリア。
柱には、何やら家紋らしいものが描かれた垂れ幕が下がっている。
俺がいるのは、深紅のような落ち着いた赤が美しいビロードの絨毯の上だ。
アニメとかの見様見真似で片膝を床についているものの、つい辺りをキョロキョロと見てしまう。
部屋の一番奥、俺がいる位置より少し上がった檀上の上には、豪奢な玉座がある。
玉座にちょこんと座っているのは多分この国の王様なのだろう。
横には宰相様っぽいインテリ眼鏡なイケメンが控えているし……
「おぉ!まさしく其方が聖女であるな!」
スラッとした、長身イケメンの宰相様と違い、王様はなんというか、丸くて可愛い。
なんか、絵本で見たことがあるような小さな王様って感じ。
そんな王様が嬉しそうに短い手を広げて歓迎してくれているのを、「コホンッ」と隣の宰相様がたしなめている。
王様ってば、ビクッて肩を震わせておどおどした顔で宰相様のこと見上げたりして、怒ってないかを確認している。
うん。これは宰相攻め、王様受けかな……
と、どうでも良いことを考えながら、まだ受け入れられない現実に気のない返事をしてしまった。
「はぁ……、え~とぉ、聖女と言われましても……」
某騎士王の恰好のまま片膝をついて頭を下げて様子を見ていたが、誤解があっては困ると思い、おずおずと立ち上がり
「あの、こんな格好をしていて恐縮なのですが、俺は男ですので聖女ではないです」
今は、見た目的には可愛い女性のワンピースを着ているが、声はれっきとした男のモノだ。
「これは、あの……趣味のコスプレをしているだけで、本当に召喚したかったと思われる聖女はまだあっちの世界にいるんですよ」
相方兼彼女であるマキを助けるために手を伸ばしたものの、アイツのせいで、逆に俺がこちらの世界に召喚されてしまった経由を簡単に説明する。
「と、言うわけで、アナタ方が召喚しようとしていた聖女様と俺は別人なんです。大変申し訳ないんですが……あの、帰り方とかって……」
「…………」
大広間には王様だけじゃなく、貴族の人も大勢いるはずなのに、誰一人として一言も言葉を発しない。
まぁ、そりゃそうだよな。
頑張って召喚して、やっと成功したと思ったのに、出てきたのは全く関係のない一般人な俺(見た目現在女子)なわけだし……
送り返そうにも、難しいんだと思う。
よくある召喚モノのネット小説とかのネタでも、帰還は難しいってよくあるし……
これ、このまま投獄されるとか、処刑されるっていうのだけは勘弁して欲しいなぁ……
ん~、どうすっかなぁ……このままお城から逃げるのも手だと思うけど、逃げたところでこれからどうしよう……。
言葉は通じるにしても、生活費とか仕事とか……
一人今後のことを勝手に考え込んでいると、檀上から今にも泣き出しそうな震える声が聞こえた。
「……ほ、本当に、其方は聖女ではないのか?」
見上げると、大きな目に涙をいっぱい溜め、唇を震わせている王様がいた。
「……ほ、本当に、其方は、聖女ではないのか?魔王からの手紙にも、其方はそっくりなのに?」
ツゥーっと涙が零れ落ちる。
宰相様もどこか苦し気な顔で王様を案じるように見つめ、胸から取り出したハンカチでそっと拭いてあげている。
王様、宰相様の顔を見て、宰相様の胸に抱き着こうとするのをなんとか堪えているみたいだけど……
うん。そこのカップリング、後で詳細ゆっくり聞かせてくれないかな?
宰相攻め、王様受けって確認だけでもさせて欲しい。
って、魔王?
王様が涙ながらに言った不審な言葉に目を見開き、辺りを見渡す。
王様同様にショックを受けた様子の貴族の方々や、俺を召喚しちゃった王子様も困惑した様子だった。
この様子を見ると、魔王っていうは聞き間違いじゃないっぽい。
この世界、魔王とかもいるんだ……。なんか、申し訳なくなってきた。
「えっと、お話だけでも、聞かせて貰ってもいいでしょうか?俺が出来ることってないかもしれないのですが……」
お通夜みたいな周りの雰囲気に耐えられず、おずおず手を小さく上げ、問うてみる。
そんな俺を見て、王様ったら涙と鼻水で汚れた顔をパァっと明るくさせて、うんうん。って、何度も頷いていたよ。
宰相様も、王様が喜んでいるのが嬉しいのか、鉄仮面みたいな表情をちょっと緩ませて口元だけは微笑んでいた。
うん。やっぱりこの二人はデキてるだろ。
ホント、俺ってば聞かなきゃいいのに、好奇心ってダメだね。
自分から厄介事に首を突っ込むなって、マキにはよく怒られていたけど……
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