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2.よくある異世界イベントやっちゃいました
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ステータスを確認するって言われて連れて来られた部屋は、どこかごちゃごちゃした場所だった。
廊下は電気もないのに明るくて綺麗だったのに、この部屋は少し薄暗くて、ちょっと埃っぽい気がする。
よくわからないスクロールが山積みにされていたり、顕微鏡のようなモノや水晶玉が山積みになった本と一緒に置いてある。
多分、デスクだと思うんだけど、物があり過ぎているせいでわからない。
「聖女様、このような汚い場所にお連れしてしまい申し訳ございません」
あの教会みたいなところで、灰色のローブを着ていた人と同じ部署の人だろうか?
下っ端らしき人が冷や汗を流しながら、テーブルらしい台の上を片付けながら謝罪してきた。
出来るだけ綺麗にしてある三人掛けの広いソファーに座らされる。
他の下っ端らしい人も一緒になってテーブルの上を片付け、やっと物がなくなったところで、大きな水晶玉が準備された。
バスケットボールくらいの大きさのでっかい水晶玉。
透明なガラスみたいに見えるのに、水晶の中はクリスマスのスノーボールみたいに小さな光の粒が、キラキラと渦巻いている。
異世界と言えばコレ!って、やつだろ?
人気のネット小説とか漫画でもよくあるお約束の展開。
異世界から来た人のステータスを確認するために、今から鑑定をやるらしい。
俺が部屋にある不思議なものに気を取られてるうちに、いつの間にか来ていた宮廷魔導士様が色々説明してくれたんだけど、全然頭に入ってこない。
むしろ、何とか大臣って人の頭が見事な河童なのが気になる。
コレ、ヅラ付けないんだ……。この世界、カツラとかウィッグって存在しないのかな……?
「聖女様にはこの水晶に魔力を込めていただくだけで結構です」
魔力と言われても、現代日本で生きてきた俺に魔法が使えるわけないのに……
まぁ、形だけでもやればいいのか?
本当にそれでステータスがわかるのかは知らんけど……
「はぁ……えっと、とりあえず手をかざせばいいんですか?はぁ……」
言われるままに、水晶玉に手をかざそうとするも、ガントレットや腰に下げていた模造刀のエクシスカリバーが邪魔で仕方ない。
そのままやって、せっかく作った渾身の衣装に何かあると嫌だから、とりあえず剣を横に置くこうと腰のベルトに手をかけた瞬間
「ひぃっ!お、お許しくださいっ!」
俺にお茶を出そうとしてくれていた下っ端の人が何故か怯えて、腕で顔を庇っている。
「あ、これ置きたいだけなんで……あの、怒ってるわけじゃないですよ?」
両手をひらひらとして、敵意はないというようにニコニコと笑みを作り
「そりゃ、いきなり異世界に召喚されたって言われて、まだ頭が追いついてないけど……あなたに怒ってるわけじゃないから」
いや、色々文句を言いたいのはやまやまだけど、そんな顔されたら言えないじゃん?ってか、俺自身まだ色々頭が追い付いてないせいで、何を聞けばいいのかもわからない。
宮廷魔法士の人たちが鑑定の準備をしてくれている間に、河童頭の大臣さんがこの国について簡単に説明してくれた。
ここは『ローゼンベルク王国』の王宮内にある、宮廷魔法を研究する部屋の一つらしい。
この国では、愛と豊穣との女神、『メプリア神』を信仰しており、魔物も比較的少なくて安全で平和な国なんだって。
『ローゼンベルク王国』ってのは、この世界でも結構大きめの国らしくって、北の方には魔大陸と言われる魔王が治めている大陸があるんだとさ。
他にも小さな隣国とかはあるみたいだけど、ここ数十年は戦争とかもなく、本当に至って平和な世界が続いているんだって。
そう、平和だって言うのに、なんで俺が召喚されたんだ?って、話になる。
聖女とかも国にとっては慣例的な役割になりつつあるらしいのに、わざわざ異世界である俺の世界に、高度な召喚術を使ってまで聖女を呼び出したんだって話。
「そ、そのことについては……後程、陛下との謁見の際にご説明させて頂きます」
って、言って河童大臣はなんかはぐらかしているようだった。
んで、その謁見の為の準備を、今がんばってやっているらしい。
けど、その前に俺が本当に聖女(?) なのかってのと、ステータスを確認しておこうってなったんだって。
そりゃそうだ。
聖女として召喚したはずが、出てきちゃったのは俺みたいな女装レイヤーだったのだから。
でも、なんか文献?かなんかの言い伝え通りだったから、半信半疑だけど丁重におもてなししてくれているのだろうけど……
王様に謁見させなきゃいけないとしても、会わせた相手がヤバい奴だったら大変だ。ってことで、このイベンドが始まっちゃったわけですよ。
河童大臣のなが~いお話を聞いているうちに、鑑定の準備が整ったようだ。
「た、大変お待たせいたしました!」
そんなわけで、下っ端の人たちがなんか厳重な封印のされた羊皮紙だったり、なんかよくわからん真っ白で艶々の石板だったりをテーブルの上に並べていく。
「聖女様、それではこの水晶に魔力を注いでください」
宮廷魔導士さんに促されるまま水晶に手をかざしてみる。
魔力なんて全然わかんないけど、とりあえず言われるままにやればいいんだよな。
キラキラした粒子が舞っていた水晶に手をかざして少し待っていると、いきなりまばゆい光が薄暗かった室内を包み込んだ。
眩しすぎてつい目を細めてしまったけど、その眩しいのもすぐに落ち着き、元のキラキラとした粒子の舞う水晶玉に戻っていた。
うん。めっちゃ異世界に来ました~って感じの演出。
動画撮りたい。それかもう一回やってもらって撮影したい。
馬鹿なことを考えつつも、どこにステータスが書かれているのか気になってテーブルを見渡す。
さっきまで真っ白で艶々とした何も書かれていない石板だったのに、今はびっちりと石板の上に文字が認められている。
「聖女様、お疲れ様でした。これにて鑑定は終了です。我々は今からこの古代文字を解析いたしますので、結果は後ほどお伝えいたします」
なぜか今にも倒れそうなくらい疲れ切った様子の宮廷魔導士さんは、下っ端に支えて貰いながら退室した。
俺と河童大臣はというと、さっきの眩しさにまだ目がシパシパしてしまい、動けずソファーに座っていた。
テーブルの端っこでは、下っ端さんが大慌てで羊皮紙に石板の文字を映しているのを見てなんとなく納得する。
多分、宮廷魔法士の人は俺のステータスを石板に写すので魔力を使い切ったのかな?
そりゃ、鑑定するってのは色々大変な作業なのだと思う。
石板に書かれた文字は、この世界では古代文字ってチラッと言っていたし……
ただ一言だけ言わせて欲しい。
古代文字って言っていたけど、めっちゃ日本語じゃん!コレ、俺解析しなくても読めちゃいますけど?
廊下は電気もないのに明るくて綺麗だったのに、この部屋は少し薄暗くて、ちょっと埃っぽい気がする。
よくわからないスクロールが山積みにされていたり、顕微鏡のようなモノや水晶玉が山積みになった本と一緒に置いてある。
多分、デスクだと思うんだけど、物があり過ぎているせいでわからない。
「聖女様、このような汚い場所にお連れしてしまい申し訳ございません」
あの教会みたいなところで、灰色のローブを着ていた人と同じ部署の人だろうか?
下っ端らしき人が冷や汗を流しながら、テーブルらしい台の上を片付けながら謝罪してきた。
出来るだけ綺麗にしてある三人掛けの広いソファーに座らされる。
他の下っ端らしい人も一緒になってテーブルの上を片付け、やっと物がなくなったところで、大きな水晶玉が準備された。
バスケットボールくらいの大きさのでっかい水晶玉。
透明なガラスみたいに見えるのに、水晶の中はクリスマスのスノーボールみたいに小さな光の粒が、キラキラと渦巻いている。
異世界と言えばコレ!って、やつだろ?
人気のネット小説とか漫画でもよくあるお約束の展開。
異世界から来た人のステータスを確認するために、今から鑑定をやるらしい。
俺が部屋にある不思議なものに気を取られてるうちに、いつの間にか来ていた宮廷魔導士様が色々説明してくれたんだけど、全然頭に入ってこない。
むしろ、何とか大臣って人の頭が見事な河童なのが気になる。
コレ、ヅラ付けないんだ……。この世界、カツラとかウィッグって存在しないのかな……?
「聖女様にはこの水晶に魔力を込めていただくだけで結構です」
魔力と言われても、現代日本で生きてきた俺に魔法が使えるわけないのに……
まぁ、形だけでもやればいいのか?
本当にそれでステータスがわかるのかは知らんけど……
「はぁ……えっと、とりあえず手をかざせばいいんですか?はぁ……」
言われるままに、水晶玉に手をかざそうとするも、ガントレットや腰に下げていた模造刀のエクシスカリバーが邪魔で仕方ない。
そのままやって、せっかく作った渾身の衣装に何かあると嫌だから、とりあえず剣を横に置くこうと腰のベルトに手をかけた瞬間
「ひぃっ!お、お許しくださいっ!」
俺にお茶を出そうとしてくれていた下っ端の人が何故か怯えて、腕で顔を庇っている。
「あ、これ置きたいだけなんで……あの、怒ってるわけじゃないですよ?」
両手をひらひらとして、敵意はないというようにニコニコと笑みを作り
「そりゃ、いきなり異世界に召喚されたって言われて、まだ頭が追いついてないけど……あなたに怒ってるわけじゃないから」
いや、色々文句を言いたいのはやまやまだけど、そんな顔されたら言えないじゃん?ってか、俺自身まだ色々頭が追い付いてないせいで、何を聞けばいいのかもわからない。
宮廷魔法士の人たちが鑑定の準備をしてくれている間に、河童頭の大臣さんがこの国について簡単に説明してくれた。
ここは『ローゼンベルク王国』の王宮内にある、宮廷魔法を研究する部屋の一つらしい。
この国では、愛と豊穣との女神、『メプリア神』を信仰しており、魔物も比較的少なくて安全で平和な国なんだって。
『ローゼンベルク王国』ってのは、この世界でも結構大きめの国らしくって、北の方には魔大陸と言われる魔王が治めている大陸があるんだとさ。
他にも小さな隣国とかはあるみたいだけど、ここ数十年は戦争とかもなく、本当に至って平和な世界が続いているんだって。
そう、平和だって言うのに、なんで俺が召喚されたんだ?って、話になる。
聖女とかも国にとっては慣例的な役割になりつつあるらしいのに、わざわざ異世界である俺の世界に、高度な召喚術を使ってまで聖女を呼び出したんだって話。
「そ、そのことについては……後程、陛下との謁見の際にご説明させて頂きます」
って、言って河童大臣はなんかはぐらかしているようだった。
んで、その謁見の為の準備を、今がんばってやっているらしい。
けど、その前に俺が本当に聖女(?) なのかってのと、ステータスを確認しておこうってなったんだって。
そりゃそうだ。
聖女として召喚したはずが、出てきちゃったのは俺みたいな女装レイヤーだったのだから。
でも、なんか文献?かなんかの言い伝え通りだったから、半信半疑だけど丁重におもてなししてくれているのだろうけど……
王様に謁見させなきゃいけないとしても、会わせた相手がヤバい奴だったら大変だ。ってことで、このイベンドが始まっちゃったわけですよ。
河童大臣のなが~いお話を聞いているうちに、鑑定の準備が整ったようだ。
「た、大変お待たせいたしました!」
そんなわけで、下っ端の人たちがなんか厳重な封印のされた羊皮紙だったり、なんかよくわからん真っ白で艶々の石板だったりをテーブルの上に並べていく。
「聖女様、それではこの水晶に魔力を注いでください」
宮廷魔導士さんに促されるまま水晶に手をかざしてみる。
魔力なんて全然わかんないけど、とりあえず言われるままにやればいいんだよな。
キラキラした粒子が舞っていた水晶に手をかざして少し待っていると、いきなりまばゆい光が薄暗かった室内を包み込んだ。
眩しすぎてつい目を細めてしまったけど、その眩しいのもすぐに落ち着き、元のキラキラとした粒子の舞う水晶玉に戻っていた。
うん。めっちゃ異世界に来ました~って感じの演出。
動画撮りたい。それかもう一回やってもらって撮影したい。
馬鹿なことを考えつつも、どこにステータスが書かれているのか気になってテーブルを見渡す。
さっきまで真っ白で艶々とした何も書かれていない石板だったのに、今はびっちりと石板の上に文字が認められている。
「聖女様、お疲れ様でした。これにて鑑定は終了です。我々は今からこの古代文字を解析いたしますので、結果は後ほどお伝えいたします」
なぜか今にも倒れそうなくらい疲れ切った様子の宮廷魔導士さんは、下っ端に支えて貰いながら退室した。
俺と河童大臣はというと、さっきの眩しさにまだ目がシパシパしてしまい、動けずソファーに座っていた。
テーブルの端っこでは、下っ端さんが大慌てで羊皮紙に石板の文字を映しているのを見てなんとなく納得する。
多分、宮廷魔法士の人は俺のステータスを石板に写すので魔力を使い切ったのかな?
そりゃ、鑑定するってのは色々大変な作業なのだと思う。
石板に書かれた文字は、この世界では古代文字ってチラッと言っていたし……
ただ一言だけ言わせて欲しい。
古代文字って言っていたけど、めっちゃ日本語じゃん!コレ、俺解析しなくても読めちゃいますけど?
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