白い四葩に一途な愛を

ゆあ

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【白い四葩に一途な愛を】

12 *

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「じゃあ、アンタが代わりにオレのこと抱いてよ」

震えそうになる腕を彼の首に回して絡み付き、ワザと吐息混じりに耳元で囁く。
出来るだけ妖艶になるように……
出来るだけ悪女みたいに……
悪いヤツに騙されたって言い訳出来るように。
嫌だったのに、無理矢理言う事を聞かされたって言えるように……


國士こくしが言い訳出来るようにする。
オレが無理矢理誘ったから。
抱きたくもない、嫌いな相手を抱いたって……

そう思って貰えるように……


「1回、1回だけ、オレを抱いてくれたら……。会社も辞めるし、もう2度と近付かない。誰にも知られないように、1人でこっそり死ぬから……」
泣きそうになるのを唇を噛み締めて堪え、声が震えそうになるのを、吐息で誤魔化す。
悟られないように、バレないように……
出来るだけの虚勢を張って、彼の耳元で甘く囁く。

「チッ……来い」
苦虫を噛み締めたように表情を歪ませ、腕を強く掴んで引っ張られる。
オレの歩幅なんて気にせず早足で歩くから、オレは何度も躓きそうになってしまう。
その度に舌打ちをして睨み付けて来るけど、文句なんて言えない。

万が一、やっぱり辞めたって言われる方が嫌だから……
最期に、國士こくしに触れて欲しいから……


やっと目的の部屋の前に着いたのか、國士こくしの足が止まる。
そんな遠い距離でもなかったのに、オレは息が切れてしまって息苦しくなってしまった。
ほんの数十メートル
たった、数十メートル……


連れて来られたのは、國士こくしの仕事部屋である社長室だった。
確かに、ここなら誰にも見つからないし、誰にも見られない。
オレの、本来の仕事部屋でもあった場所。

オレが使っていた秘書用のデスクに投げられるように突き飛ばさられる。
足がもつれて躓くようにデスクに倒れ込んでしまうも、國士こくしは顔色一つ変えずに見下してくる。
表情はわからない。多分、また眉間に皺を寄せてるんだろうな……

「お前の希望通り、一度だけ抱いてやるから自分で下を脱げ」
怒気の孕んだ声に小さく溜息を漏らし、ワザとゆっくりベルトを外しといく。
カチャカチャという金属音が静か過ぎる室内に響き、布切れが擦れる音すら大きく聞こえる気がする。
ズボンも下着も一気にずり下ろし、下半身を露わにしていく。
暖房も切れているから、冷気が肌を撫でる感覚に身震いしてしまう。

「さっさとケツを突き出せ。コッチ見んじゃねぇーよ、クソビッチが……」
嫌悪感を露わにした國士こくしの冷たい視線に胸が苦しくなるも、今はそんなこと悟られたくない。
「ケチ……折角なら向かい合って抱いて欲しいのに……」
ワザと挑発するように口の端を上げて笑みを作りながら文句を言い、言われた通りデスクに上半身を乗せてお尻だけ突き出した体勢を取る。

「うるせぇ、クソが……。お前が悦ぶことは一切やらない。俺が出したらそれで終わりだ」
パシンッと乾いた音と共に尻臀を叩かれる。
痛みに顔が歪むも、作った笑みを崩さないように気をつけ。

「久しぶりだから、いっぱい楽しませてよ。アンタもオレのナカ、気に入ってくれると思うけど?」
さっきよりも苛立ちを露わにし、舌打ちと共に一気に指を2本挿入される。
全く濡らされていない指を乾いたアナルに挿れられたせいでピリリとした痛みが走り、拒絶するようにナカをギュッと締め付けてしまう。
「オイオイ、抱いてくれって言ったのはお前だろ? さっさとこの穴緩くしろよ」
ナカで指をバラバラに動かすくせに、前立腺をワザと外して弄るせいで痛みと気持ち悪さだけが募っていく。
「ンッ、くっ…へた、く、そ……。てん、か……なら、優しくして、くれるのに……」
少しだけ振り返り、眉間に皺を寄せつつも笑みを作って文句を口にする。

バシンッ! 

再度、尻臀に激しい痛みを感じ、叩かれたのがわかる。
「黙れ! お前みたいなカスが天河てんかに触れるな!」
グチュっと指を一気に引き抜かれ、代わりに太くて硬い彼のペニスを一気に奥まで挿入される。
「ぃッ……」
余りの衝撃に息が詰まるも、久しぶりに感じる國士こくしの熱に、身体が悦んでしまう。

「ッ……気持ち悪い声を出すなよ。お前みたいな男の声なんて聞きたくない。絶対に喘ぎ声なんて上げるな」
片手でデスクに頭を押さえ付けられ、もう片方の手はオレの腰を掴んで自分が動きやすいようにしている。

「クッ……この、クソビッチ野郎……」
窮屈さと痛みで彼も呻いているけれど、何度か差し入れを繰り返すと腸液と先走りのお陰で徐々に滑りが良くなってくる。

「ふっ、んっ……、ィッ……」
声が漏れると明らかに嫌そうな声が聞こえ、慌てて口元を手で押さえる。
オレのくぐもった喘ぎ声と、獣のように荒い彼の息遣い、肌と肌が打ち付けられる音が室内に響いた。

奥を抉るように犯されると、オレのペニスからは先走りが滴れ、腰を打ち付けられる度に身体が揺れてデスクの正面パネルに半透明の性液が飛び散る。
「ンッ……ぁ、ィ……」
胸の突起を爪で摘まれ、痛みから射精してしまうも、腰を打ち付けるのを辞めてくれない。
オレはもうイッてるのに、まだ國士こくしがイッてないから……

「ぃあっ……も、イッ!」
声を上げた瞬間、尻臀をまた叩かれてしまい、さっきよりも強くナカを締め付ける。
「クッ!……ッ」
お腹の奥に注ぎ込まれる熱い精液をじんわりと感じた瞬間、自身のペニスからもポタポタと2回目の精を吐き出していた。

ズルリとナカから引き抜かれる感覚にすら感じて震えてしまう。
用は済んだというように、國士こくしはさっさとオレから離れたせいで、支えを失ったオレはズルズルとデスクを伝って床にへたり込んでしまう。

床に座り込み、先程ナカに出した精液が溢れ出てくる様を蔑みの含んだ目で見下し
「はぁ……はぁ……約束は果たしたからな。お前が汚したソレを片付けてから出て行け。もう2度と俺達の前に現れるな」
身支度を直し、2度とオレの顔を見たくないと言うように背を向けて出て行った。


ポタッ……ポタッ……


彼の去った扉を見つめていると、頬を伝い流れ落ちる雫に気付いた。
泣くつもりなんて一切なかったのに……
自分から、こうなるのを望んだはずなのに……

温かな雫は止めどなく零れ落ちた。
引き攣ったように口の端を上げて、渇いた笑みを浮かべ
「はっ……ははっ……あはははっ……これで、これで、良かったんだ……。最期に、抱いて、貰えたんだから……」
自身を抱き締めるように自分の肩に腕を回し、笑う様に声を上げて泣いた。
泣くのも、これで最後だと決めて、思いっきり声が涸れるまで泣いた。
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