愛される奇蹟

ゆあ

文字の大きさ
上 下
10 / 13

10

しおりを挟む
あの時、初めてここに来てから、もう何度目の訪問だろう。
いつの間にか季節も移ろいで、受験勉強も本気でやらなきゃいけなくなった...

今では慣れた手付きで買い物をし、いつも通りマンションの住人専用のエレベーターに乗る
本来ならこのエレベーターに乗るのすら無理なはずなのに、今では当たり前だと思ってしまっている

冬弥の部屋も、色々と持ち込んだモノもあり、生活感が出てきた
最初に来た時は、本当に何もなかったのに...

しみじみと色々と変わった環境に笑みが溢れる

今日は、絶対にコレだって決めてたんだよな...

手早くご飯の準備をし、冬弥が帰ってくるのを今か今かと待つ
スマホを見ると、19時には帰れるって連絡が来てたから、もうすぐかなぁ~
そろそろ、仕上げだけしなきゃ

キッチンで慣れた手付きで卵を包み、ふわっふわのオムライスを仕上げる

「うん、めっちゃ綺麗にできた!」
ご飯が出来たと同時に玄関の扉が開く音がし、冬弥が帰ってきたのがわかる
「冬弥、おかえり~」
玄関に迎えに行き、顔を見た瞬間に驚きのあまり固まってしまった
長く伸ばされていた髪が、バッサリと切られていた
中性的なキレイ系のイメージがある冬弥だったのに、さっぱりと清潔感のある男性って感じで...

「夏樹、ただいま~」
人懐っこい笑顔で抱き着いてくる冬弥にドキドキする
今までもカッコよかったけど、男らしい姿に今まで以上に意識してしまう

「冬、弥...めっちゃ、カッコいいね。髪、どうしたの...?」
短くなってしまった髪を撫でるものの、ドキドキが伝わってしまわないかと不安になる

「夏樹が気持ちの切り替えをしたいって言ってたから、オレもそうしようと思って
夏樹、短くなったオレはどう?好きに、なってくれる?」

照れたように笑う冬弥が可愛くて、ギュッと抱きついて見上げ
「冬弥、オレから伝えたいことがあっから、とりあえずご飯食べようぜ!
冬弥のために、作ってたんだから」

早く早くと急かすように手を引き、ソファーに座らせる
ケチャップをかけていないオムライスを冬弥の前に出し、横に座ってケチャップで大きくハートを描く
「冬弥、オレのこと好きになってくれてありがとう。
オレも、冬弥のことが好きだ!これからもずっとこうやってご飯を食べて欲しい!
オレ、栄養士の資格取って、冬弥のご飯をずっと作っていきたい!」

照れて赤くなりながらも笑顔で夢を伝えると、冬弥も嬉しそうに笑い、抱きしめてくれた

「ありがとう。なんだか、プロポーズみたいだね。
オレからしたかったのに、な…
オレはずっと夏樹が大好きだよ。夏樹が作ってくれるから、ご飯も美味しいって思える
今までは、倒れなきゃ食べたくもなかったから」
食むようにキスを何度もされる

「と、とにかくご飯食べよ
その...、今日も泊まるから…冬弥、明日は朝から仕事だろうけど、今日は泊めて欲しいな...」
言ってて恥ずかしくなり、どんどん俯いてしまう

嬉しそうに笑い、抱きついてくる彼といつも通り楽しくご飯を食べ、初めて一緒にお風呂に入ってしまった
勢いって、コワイな...
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ハコ入りオメガの結婚

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:1,278

ミミからはじまる恋心

BL / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:363

運命のつがいと初恋

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:165

【完結】世界で一番愛しい人

BL / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:585

つぎはぎのよる

BL / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:286

好きになるつもりなんてなかった

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:547

今更愛していると言われても困ります。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:137,343pt お気に入り:2,879

運命の赤い糸(物理)

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:105

王道じゃなくて悪かったな

BL / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:625

処理中です...