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冬弥がオフの日は一緒に食事をするのが当たり前になってきた
合鍵を渡されているから、エレベーターとかも自分で乗れるし、好きな時に買い物出来る様にカードが置かれていた
カードなんて預けるなよ。って最初はめちゃくちゃ怒ったけど、毎回立て替えるのも結構面倒だったから諦めた
生活感のなかった部屋にも、ちょっとずつ荷物や家具が増えてきた
テレビでデッカいビーズクッションを見て、ついいいなぁ~って言った翌日に、まさかの配送業者さんが持って来たのには本気でビビった...
買い物は、一緒に行く日もあれば、先にオレが買い物して冬弥が帰ってくるのを待つ日もあったりと、なんだが同棲してるみたいで、むず痒い...
「夏樹、あともうちょっとで帰れるから待ってて」
午前中で終わると聞いていたが、撮影が長引いているらしくもうすぐ夕方という時間に電話がきた
「はいはい。夕飯作って待ってるから気をつけろよ」
どことなく焦った様子の冬弥の声に笑みが溢れる
作った料理を美味しいって言ってくれるし、残さず食べる姿にいつの間にか絆されていた
今日はゆっくり二人で映画とか観る予定だったのに、結局一人で居ることになって、時間を弄んだ結果、ビーフシチューを作っていた
「冬弥、喜んでくれっかな?」
もうすぐかな?と時計を見ながらシチューを温めていると、ピンポーンとチャイムが鳴った
「ん?誰だ?」
恐る恐る玄関に向かうと、ガチャッと鍵が開く
冬弥が帰ってきたのかと思っていたが、そこには前に撮影の時に会ったスタッフの姿で
「ん?誰だ?なんで、ここに居る?」
険しい表情でコチラを睨み付けてくる人物に恐怖を感じる
「えっと、オレ...、冬弥の...」
「なんか、いい匂いがするけど、お前が作ったのか?」
ズカズカと当たり前のように入ってきて、キッチンを見て回る姿になんだか居た堪れなくなり、廊下の端で警戒しながら見つめる
冬弥、早く帰って来いよ。この人、ホントに大丈夫なのか?
一通り辺りを確認したのか、コチラに寄って来て
「それで、お前はなんでココにいるんだ?冬弥とどう関係がある?なんでこの部屋で料理なんてしてるんだ?」
低く高圧的な声で矢継ぎ早に質問をされ、焦って言葉にならない
「夏樹、ただいま~」
緩い声が聞こえる
今一番会いたかった人の声にホッと力が抜け、冬弥の方に走り寄り抱き付く
「おっせぇーよ!!いきなり知らない奴が来て、めっちゃビビってたんだからな!!」
少し涙目になりながら冬弥を見上げると、抱き着いて来てくれたのが嬉しかったのか、腰に手を回しながら目元に唇を落とされ
「ただいま。ん?誰か来てるの?」
「冬弥、ちゃんと説明しろよ。
この子は一体何で、なんでここに居る?」
相手の顔を見ると、冬弥の表情が一気に冷たいものに変わる
今までそんな顔見たことなかっただけに、背筋が凍り震える
「マネージャーがなんで勝手に入ってきてるの?あと、夏樹になんかした?」
冷たい声音に顔を上げる事が出来ず、二人のやり取りを聞く
「なんもしてねぇーよ。むしろ、なんでそんなキレるんだ?
お前、ここに引っ越したのはセキュリティを考慮してのはずなのに、俺も知らない人間を上げてるからだろ」
マネージャー...?
二人の会話を聞いて、一気に納得してしまう
そりゃ、マネージャーだったら合鍵持ってるし、オレのこと不審に思って問い詰めるのも当たり前じゃん!
「ちょっ、冬弥、一旦離せよ。マネージャーさんの言ってることは正しいじゃん」
冬弥の腕の中から離れようとするが、がっしり抱き付かれているせいで身動きが取れず、なんとか方向だけを変えてマネージャーと向き合う
「すみません。オレ、早坂 夏樹って言います。
えっと、冬弥とは....今んところは友人で、休みん時に一緒に飯を食ってます」
マネージャーの視線が冷たく、つい床に目を逸らせながら喋ってしまう
やましい事なんて...いや、あるな...
「冬弥と飯?」
眉間に深い皺が入り、あからさまに疑っている
「マネージャー、邪魔だから早く帰ってくれる?
今から夏樹が作ってくれたご飯だから
夏樹、今日のご飯なに?お腹空いた...」
明らかにマネージャーとオレに言ってくる温度が違い、頭に顎を乗せられ、甘えた声を出してくる
「あ、今日はビーフシチューとサラダなんだけど、パンにするかご飯かわかんなかったから両方用意した。
ご飯は余ったらおにぎりにしとく予定だけど...
って、違う!ご飯より先に話し合えよ!!」
オレたちの会話を信じられないという顔で見てくるマネージャー...
「あの冬弥が自分から飯を食う?
どれだけ言っても栄養剤やなんとかinゼリーやらカロリーバーとかしか食わないお前が?」
ん?なんか聞き捨てならない事が聞こえる
「え?冬弥、めっちゃ食いますけど?
ってか、ここで話してもなんなんで、とりあえず飯食いながらにしません?
量はたっぷり作ったから、一人くらい増えてもなんとかなるし」
「え、オレの分が減るんだけど...」
なんか文句が頭上から聞こえるが、とりあえず無視してキッチンに向かう
当然のように冬弥はくっ付いて来ているが、今はこの状況をどうにかしたくてとりあえず2人には座って貰った
合鍵を渡されているから、エレベーターとかも自分で乗れるし、好きな時に買い物出来る様にカードが置かれていた
カードなんて預けるなよ。って最初はめちゃくちゃ怒ったけど、毎回立て替えるのも結構面倒だったから諦めた
生活感のなかった部屋にも、ちょっとずつ荷物や家具が増えてきた
テレビでデッカいビーズクッションを見て、ついいいなぁ~って言った翌日に、まさかの配送業者さんが持って来たのには本気でビビった...
買い物は、一緒に行く日もあれば、先にオレが買い物して冬弥が帰ってくるのを待つ日もあったりと、なんだが同棲してるみたいで、むず痒い...
「夏樹、あともうちょっとで帰れるから待ってて」
午前中で終わると聞いていたが、撮影が長引いているらしくもうすぐ夕方という時間に電話がきた
「はいはい。夕飯作って待ってるから気をつけろよ」
どことなく焦った様子の冬弥の声に笑みが溢れる
作った料理を美味しいって言ってくれるし、残さず食べる姿にいつの間にか絆されていた
今日はゆっくり二人で映画とか観る予定だったのに、結局一人で居ることになって、時間を弄んだ結果、ビーフシチューを作っていた
「冬弥、喜んでくれっかな?」
もうすぐかな?と時計を見ながらシチューを温めていると、ピンポーンとチャイムが鳴った
「ん?誰だ?」
恐る恐る玄関に向かうと、ガチャッと鍵が開く
冬弥が帰ってきたのかと思っていたが、そこには前に撮影の時に会ったスタッフの姿で
「ん?誰だ?なんで、ここに居る?」
険しい表情でコチラを睨み付けてくる人物に恐怖を感じる
「えっと、オレ...、冬弥の...」
「なんか、いい匂いがするけど、お前が作ったのか?」
ズカズカと当たり前のように入ってきて、キッチンを見て回る姿になんだか居た堪れなくなり、廊下の端で警戒しながら見つめる
冬弥、早く帰って来いよ。この人、ホントに大丈夫なのか?
一通り辺りを確認したのか、コチラに寄って来て
「それで、お前はなんでココにいるんだ?冬弥とどう関係がある?なんでこの部屋で料理なんてしてるんだ?」
低く高圧的な声で矢継ぎ早に質問をされ、焦って言葉にならない
「夏樹、ただいま~」
緩い声が聞こえる
今一番会いたかった人の声にホッと力が抜け、冬弥の方に走り寄り抱き付く
「おっせぇーよ!!いきなり知らない奴が来て、めっちゃビビってたんだからな!!」
少し涙目になりながら冬弥を見上げると、抱き着いて来てくれたのが嬉しかったのか、腰に手を回しながら目元に唇を落とされ
「ただいま。ん?誰か来てるの?」
「冬弥、ちゃんと説明しろよ。
この子は一体何で、なんでここに居る?」
相手の顔を見ると、冬弥の表情が一気に冷たいものに変わる
今までそんな顔見たことなかっただけに、背筋が凍り震える
「マネージャーがなんで勝手に入ってきてるの?あと、夏樹になんかした?」
冷たい声音に顔を上げる事が出来ず、二人のやり取りを聞く
「なんもしてねぇーよ。むしろ、なんでそんなキレるんだ?
お前、ここに引っ越したのはセキュリティを考慮してのはずなのに、俺も知らない人間を上げてるからだろ」
マネージャー...?
二人の会話を聞いて、一気に納得してしまう
そりゃ、マネージャーだったら合鍵持ってるし、オレのこと不審に思って問い詰めるのも当たり前じゃん!
「ちょっ、冬弥、一旦離せよ。マネージャーさんの言ってることは正しいじゃん」
冬弥の腕の中から離れようとするが、がっしり抱き付かれているせいで身動きが取れず、なんとか方向だけを変えてマネージャーと向き合う
「すみません。オレ、早坂 夏樹って言います。
えっと、冬弥とは....今んところは友人で、休みん時に一緒に飯を食ってます」
マネージャーの視線が冷たく、つい床に目を逸らせながら喋ってしまう
やましい事なんて...いや、あるな...
「冬弥と飯?」
眉間に深い皺が入り、あからさまに疑っている
「マネージャー、邪魔だから早く帰ってくれる?
今から夏樹が作ってくれたご飯だから
夏樹、今日のご飯なに?お腹空いた...」
明らかにマネージャーとオレに言ってくる温度が違い、頭に顎を乗せられ、甘えた声を出してくる
「あ、今日はビーフシチューとサラダなんだけど、パンにするかご飯かわかんなかったから両方用意した。
ご飯は余ったらおにぎりにしとく予定だけど...
って、違う!ご飯より先に話し合えよ!!」
オレたちの会話を信じられないという顔で見てくるマネージャー...
「あの冬弥が自分から飯を食う?
どれだけ言っても栄養剤やなんとかinゼリーやらカロリーバーとかしか食わないお前が?」
ん?なんか聞き捨てならない事が聞こえる
「え?冬弥、めっちゃ食いますけど?
ってか、ここで話してもなんなんで、とりあえず飯食いながらにしません?
量はたっぷり作ったから、一人くらい増えてもなんとかなるし」
「え、オレの分が減るんだけど...」
なんか文句が頭上から聞こえるが、とりあえず無視してキッチンに向かう
当然のように冬弥はくっ付いて来ているが、今はこの状況をどうにかしたくてとりあえず2人には座って貰った
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