愛される奇蹟

ゆあ

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あの日から冬弥から何気ないメールが来ることが増えた

今日はどうだった?とか、ロケで食べたご飯が不味くてオレにまた作って欲しいとか、今日の天気とか...

本当に何気ない連絡に、相手が有名人なのを忘れる

姉貴の部屋からこっそり貰ってきた雑誌に載っている冬弥の記事を見ると、あの時の事を思い出してドキドキする
そっと唇に触れると顔が熱くなるのがわかる

「いやいやいや!違うから!あれは、ビックリしてだし...冬弥が、オレを好きなんて...」
自分に言い聞かせるように声に出し、パシンッと乾いた音を立てて、両頬を挟むように叩く
「っ....、よし!飯までに明日の準備しちまおう!」

気合いを入れて用意に取り掛かろうとした瞬間、ピロンっとスマホの着信がなる

見ないよう、気にしないようにスマホの画面を伏せようとするが、やはり気になってしまい、ついメールを開く


ただいま。やっとロケから帰ってきたよ。
夏樹のご飯が食べたくて急いで帰ってきちゃった。
夏樹、今から作って欲しいなぁ...
お腹空き過ぎて死に



なんか、文章途切れてないか?
力尽きた感のあるメールに笑いが出、仕方ないか...と出掛ける準備をする

「あ、母さん、ごめん。晩御飯友だちと食べてくる。
カレー、明日絶対食べるから残しといて」

母親に謝り、冬弥にメールを入れていそいそと向かう



マンションの下のスーパーで簡単に出来て安めのモノを買い込んで、エレベーターの前に行くも
「げっ、コレ、カードキー的なのないと動かないやつ?
冬弥の部屋番号なんて覚えてねーよ...」

仕方なく、冬弥に連絡すると大急ぎで降りてきた彼を見てつい笑みが溢れる

ホント、イケメンなのに可愛いんだな...
こんな年上ありか?

「夏樹、お待たせ。お腹空いて、本当に死ぬかと思った」
買い物袋をスマートに取られ、当たり前のように抱き付いてきた
「おーい、ここ外なんだぞ。ってか、さっさと部屋行こうぜ

恥ずかしくて赤くなったのを誤魔化すように早く部屋に向かおうと促す



「今日は簡単なんしか無理だから、安くて楽チンな親子丼な。異論は認めねぇーから」
買ってきた食材でささっと調理し、前回同様一緒に座りながら食べる

「やっぱり、夏樹の作ったご飯は美味しいね
ご飯なんて、何食べても一緒だと思ってたのに、夏樹が作ってくれると美味しいよ」
幸せそうに食べる姿につい笑みが溢れる
「お世辞言われても、こんなんしか作れねぇーよ
でも、冬弥がそんな喜ぶなら、また作ってやってもいいけど...?」
恥ずかし気に顔を背けながら言うと、キラキラした目で見つめられ
「じゃあ、週末にご飯作りに来て欲しいなぁ...。ちゃんと食費とバイト代は出すから」
こんな綺麗な顔で頼まれたら、断れないよな....
無意識に彼の口元に付いているご飯粒を取って自分の口に入れ
「....ん?あっ、ご、ごめっ!?」

キョトンとした顔の彼に恥ずかしくなり、誤魔化すようにお茶を一気飲みし
「ゲホッ、ゲホッ...ほ、ホントごめん」

ふわっと急に優しく抱き付かれ、頬を撫でられる

「夏樹、そんなことされたら、オレ、我慢できなくなるよ」
触れるようなキスから、徐々に深くなっていき、濡れた音が室内に響く

「んっ...、と、やぁ...まって...」
歯列をなぞるように舐められるとゾクっとする
酸素が頭に回らず、自分からももっとというように舌を差し出し、気持ち良さについ身体を委ねてしまう
「んぅっ、ふぁ...」

ゆっくり唇が離れ、火照った身体が熱い
ギュッと強く抱きしめられるとなんとなく安心する

「んっ、ごめん。夏樹が可愛すぎて...」
「...イヤじゃ、ないんだけど...、まだ冬弥が好きって言ってくれるのが、わかんなくて...」
困ったように笑われ、軽く頬にキスをされる

「大丈夫、ゆっくりでいいから。
オレが夏樹を好きで仕方ないのは変わりないから、ゆっくり受け入れて」
耳元で囁く優しい声に恥ずかしくなりながら、コクリと頷くことしか出来なかった
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