1 / 13
1
しおりを挟む
自分が好きになった人が、同じように好きになってくれる
これってドラマとか本では当たり前のことなのに、現実がそうだとは限らない
しかも、同性のノンケを好きになったところで、愛して貰えるなんて奇跡としか言いようがない
姉の結婚式を眺めながらそんなことを思ってちょっと泣ける
ここで泣いたら絶対シスコンだって言われるから絶対泣かない
いや、姉貴のことはめっちゃ好きだし、仲良いけどさ...
初恋が叶わないってのはホントなんだなぁ~
って、オレこんなロマンチストだっけ?
二人の幸せそうな顔に嬉しいような寂しいうな...複雑な心境のまま式が終わった
近所でも評判になるくらい家族仲は良いと思う
反抗期ってのもなく、姉貴とは趣味とかも合うから仲が良いしオレの性癖についても相談したくらいだから...
そう、オレの恋愛の対象が男性なのも知っている
ただ、その好きになった相手がまさか姉の恋人だとは流石に言えなかった...
姉貴が初めて春人さんを連れてきた時は、こんなんが姉貴の彼氏なんてあり得ん!ってキレてたのに...
何度も会ううちに、天然だけどしっかりしてるところとか、犬に好かれるのに苦手なところとか、優しくて頼りになるところとか...
いつの間にか、オレの方が惹かれてしまっていた
オレの初恋は、始まる前に終わっていた
「姉貴、春人さん、結婚おめでとう!
姉貴、ドレス綺麗だな!めっちゃ馬子にも衣装って感じ!!」
言った瞬間に拳が飛んできて、見事に顎に当たる
目の前にキラキラと星が見える程のクリティカルヒット
「ぐあ....」
ガクッと膝から崩れ落ち、顎を抑える
「花奈ちゃん、今日はお淑やかな花嫁様でいたいって言ってたのに、いつも通りだね」
身内にとっては日常的な光景にケタケタ笑いが上がるものの、周りの来客はちょっと引いてた...
幸せそうな二人を見て、涙を誤魔化すように伸びをし
「二次会まで時間あるし、ちょっと休憩してくる
姉貴、今日このホテルで冬弥の撮影があるらしいけど、ファンだからって結婚式ほっといて見に行ったりするなよ~」
拳を握る姉貴から笑いながら小走りで逃げるように会場を後にした
広いホテルの中庭をアテもなく歩く
「色々、ヤバかった...」
溢れ落ちる涙を手の甲で拭う
跡が残らないようにしないとな...
花のアーチェを抜けると少し開けた場所に出た
色とりどりの花が咲き誇り、穏やかな日差しが差し込んでくる
御伽噺のような綺麗な場所
光の降り注ぐ広場の真ん中にポツンとベンチが置いてあり、人が横たわっていた
薄く光の透ける金色の長い髪が風に揺らぎ、絵に描いたような綺麗な人
「...キレイだな...」
つい言葉が声に出してしまい、慌てて口を手で押さえる
眠っていた彼女が目を覚まし、こちらを見てくる
不思議な青色の瞳が印象的でついじっと眺めてしまう
「なんで泣いてるの?」
起き上がりこちらに向かってくる彼女...?
想像よりも声がハスキーなような...ってか、デカくない!?
思っていたよりもずっと背が高いことに驚いていると、そっと涙を拭われる
「えっ...、あ、えっとこれは...」
慌てて手の甲でゴシゴシ拭っていると両手を抑えられ、目元にキスをされる
「オレが一緒にいてあげるよ」
耳まで真っ赤になり、頬が熱い
パクパクと口を開閉して何か言いたかったのに声にならない
「冬弥、どうしたんだ?知り合い?」
撮影スタッフらしき人がこっちに来る
ん?撮影?
「えっ...、とうや...?って、あの...と冬弥?」
驚きのあまり目を見開き、慌てて逃げようとするが、がっしり手を握られていて逃げ出せない
「あのっ、すみません!オレ、迷い込んでしまって...
あ、姉貴の結婚式でここのホテル使ってて、散歩してたら...あぁっ!ホントすみませんでした!!」
手を握られたまま頭を下げて謝り倒す
「冬弥、とりあえず手を離したげなよ。ってか、お前も勝手に動くなって...」
呆れた声が聞こえるが、自分の心臓のバクバク音に頭が回らない
ヤバい、姉貴よりもオレの方がやらかしてるじゃん!
手が離れて自由になると、再度頭を深く下げてお辞儀をし
「本当っーにすみませんでした!!!」
大声で謝罪をし、中庭を走って逃げるように去った
これってドラマとか本では当たり前のことなのに、現実がそうだとは限らない
しかも、同性のノンケを好きになったところで、愛して貰えるなんて奇跡としか言いようがない
姉の結婚式を眺めながらそんなことを思ってちょっと泣ける
ここで泣いたら絶対シスコンだって言われるから絶対泣かない
いや、姉貴のことはめっちゃ好きだし、仲良いけどさ...
初恋が叶わないってのはホントなんだなぁ~
って、オレこんなロマンチストだっけ?
二人の幸せそうな顔に嬉しいような寂しいうな...複雑な心境のまま式が終わった
近所でも評判になるくらい家族仲は良いと思う
反抗期ってのもなく、姉貴とは趣味とかも合うから仲が良いしオレの性癖についても相談したくらいだから...
そう、オレの恋愛の対象が男性なのも知っている
ただ、その好きになった相手がまさか姉の恋人だとは流石に言えなかった...
姉貴が初めて春人さんを連れてきた時は、こんなんが姉貴の彼氏なんてあり得ん!ってキレてたのに...
何度も会ううちに、天然だけどしっかりしてるところとか、犬に好かれるのに苦手なところとか、優しくて頼りになるところとか...
いつの間にか、オレの方が惹かれてしまっていた
オレの初恋は、始まる前に終わっていた
「姉貴、春人さん、結婚おめでとう!
姉貴、ドレス綺麗だな!めっちゃ馬子にも衣装って感じ!!」
言った瞬間に拳が飛んできて、見事に顎に当たる
目の前にキラキラと星が見える程のクリティカルヒット
「ぐあ....」
ガクッと膝から崩れ落ち、顎を抑える
「花奈ちゃん、今日はお淑やかな花嫁様でいたいって言ってたのに、いつも通りだね」
身内にとっては日常的な光景にケタケタ笑いが上がるものの、周りの来客はちょっと引いてた...
幸せそうな二人を見て、涙を誤魔化すように伸びをし
「二次会まで時間あるし、ちょっと休憩してくる
姉貴、今日このホテルで冬弥の撮影があるらしいけど、ファンだからって結婚式ほっといて見に行ったりするなよ~」
拳を握る姉貴から笑いながら小走りで逃げるように会場を後にした
広いホテルの中庭をアテもなく歩く
「色々、ヤバかった...」
溢れ落ちる涙を手の甲で拭う
跡が残らないようにしないとな...
花のアーチェを抜けると少し開けた場所に出た
色とりどりの花が咲き誇り、穏やかな日差しが差し込んでくる
御伽噺のような綺麗な場所
光の降り注ぐ広場の真ん中にポツンとベンチが置いてあり、人が横たわっていた
薄く光の透ける金色の長い髪が風に揺らぎ、絵に描いたような綺麗な人
「...キレイだな...」
つい言葉が声に出してしまい、慌てて口を手で押さえる
眠っていた彼女が目を覚まし、こちらを見てくる
不思議な青色の瞳が印象的でついじっと眺めてしまう
「なんで泣いてるの?」
起き上がりこちらに向かってくる彼女...?
想像よりも声がハスキーなような...ってか、デカくない!?
思っていたよりもずっと背が高いことに驚いていると、そっと涙を拭われる
「えっ...、あ、えっとこれは...」
慌てて手の甲でゴシゴシ拭っていると両手を抑えられ、目元にキスをされる
「オレが一緒にいてあげるよ」
耳まで真っ赤になり、頬が熱い
パクパクと口を開閉して何か言いたかったのに声にならない
「冬弥、どうしたんだ?知り合い?」
撮影スタッフらしき人がこっちに来る
ん?撮影?
「えっ...、とうや...?って、あの...と冬弥?」
驚きのあまり目を見開き、慌てて逃げようとするが、がっしり手を握られていて逃げ出せない
「あのっ、すみません!オレ、迷い込んでしまって...
あ、姉貴の結婚式でここのホテル使ってて、散歩してたら...あぁっ!ホントすみませんでした!!」
手を握られたまま頭を下げて謝り倒す
「冬弥、とりあえず手を離したげなよ。ってか、お前も勝手に動くなって...」
呆れた声が聞こえるが、自分の心臓のバクバク音に頭が回らない
ヤバい、姉貴よりもオレの方がやらかしてるじゃん!
手が離れて自由になると、再度頭を深く下げてお辞儀をし
「本当っーにすみませんでした!!!」
大声で謝罪をし、中庭を走って逃げるように去った
55
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
幸せな復讐
志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。
明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。
だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。
でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。
君に捨てられた僕の恋の行方は……
それぞれの新生活を意識して書きました。
よろしくお願いします。
fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。
英雄の帰還。その後に
亜桜黄身
BL
声はどこか聞き覚えがあった。記憶にあるのは今よりもっと少年らしい若々しさの残る声だったはずだが。
低くなった声がもう一度俺の名を呼ぶ。
「久し振りだ、ヨハネス。綺麗になったな」
5年振りに再会した従兄弟である男は、そう言って俺を抱き締めた。
──
相手が大切だから自分抜きで幸せになってほしい受けと受けの居ない世界では生きていけない攻めの受けが攻めから逃げようとする話。
押しが強めで人の心をあまり理解しないタイプの攻めと攻めより精神的に大人なせいでわがままが言えなくなった美人受け。
舞台はファンタジーですが魔王を倒した後の話なので剣や魔法は出てきません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
つまりは相思相愛
nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。
限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。
とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。
最初からR表現です、ご注意ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
すれ違い片想い
高嗣水清太
BL
「なぁ、獅郎。吹雪って好きなヤツいるか聞いてねェか?」
ずっと好きだった幼馴染は、無邪気に残酷な言葉を吐いた――。
※六~七年前に二次創作で書いた小説をリメイク、改稿したお話です。
他の短編はノベプラに移行しました。
魚上氷
楽川楽
BL
俺の旦那は、俺ではない誰かに恋を患っている……。
政略結婚で一緒になった阿須間澄人と高辻昌樹。最初は冷え切っていても、いつかは互いに思い合える日が来ることを期待していた昌樹だったが、ある日旦那が苦しげに花を吐き出す姿を目撃してしまう。
それは古い時代からある、片想いにより発症するという奇病だった。
美形×平凡
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
デリヘルからはじまる恋
よしゆき
BL
デリヘルで働く春陽と、彼を指名する頼斗。いつも優しく抱いてくれる頼斗を、客なのに好きになってしまいそうで春陽はデリヘルを辞める。その後外でばったり頼斗と会い、家に連れ込まれめちゃくちゃされる話。
モロ語で溢れています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる