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どれくらい寝てたんだろ…
すっごく嫌な夢を見た
二人に赤ちゃんが出来て、幸せそうで…
僕はもう、要らないって言われた気がする
もう不要だって…
これから、どうしよう
あの家に帰って…帰って、どうするんだろ…
新しいところに引っ越す?
でも、番に捨てられたΩひとりに貸してくれる場所があるんだろうか…
実家に戻る?お父さんも、お母さんも、いっぱい心配掛けちゃうの嫌だな…
発情期が来た時とか、どうしよう…
あんな醜い姿、見られたくない…
何処に行けば…、どうすればいいのかわからない
「あぁ…、僕みたいなのの為に、Ω専用の病院があるのかな…」
唯一思い付いたのが、入院施設の精神病院
そこに行けば、誰にも迷惑は掛けないし、静かに死ねる気がする
でも
「ハルくんとは、離れたくないな…」
口に出した瞬間、ハルくんへの恋心が溢れてくる
ハルくんに頼めば居させてくれるかな…
ハルくんは優しいから、こんな状況の僕を見捨てないはず…
甘えてもいいのかな…
αのハルくんに、僕みたいな捨てられたΩが一緒に居ても、大丈夫なのかな…
「先生はあんなこと言ってたけど、発情期が来たらどうしよう...。
もう、ひとりで居るのは、怖いな...」
ベッドの端に置かれていたハルくんの物らしい上着に手を伸ばし、匂いを嗅ぐ様に抱きしめる
落ち着く...シゲルさんのなんかよりも、ずっと…
お腹、熱くなりそう…
なんでだろ...
胸いっぱいに吸い込むように、上着に顔を埋めていると
ガチャッと扉が開き、ハルくんが心配そうに入って来る
慌てて抱きしめていた上着をシーツの中に隠し
「は、ハルくん…ごめんね。迷惑かけちゃったよね」
心臓がバクバクする
見られてないよね…
上着、隠しちゃった…
「もう起きて大丈夫なのか?」
熱がないか額に手を当てられるとその冷たさが心地よく、そっと目を閉じる
「不思議…。ハルくんだと触って貰っても怖くないし、もっと、触って欲しくなる…。
やっぱり、もう拒絶反応も出ないんだ…。僕、もう、シゲルさんの番じゃないんだね…」
嬉しいような、悲しいような、複雑な感情が渦巻き、泣きそうな笑みなってしまう
「僕、これからどうしようかな…」
ついポロッと本音が溢れてしまい、慌てて謝るもそのまま抱きしめられ
「ミツが嫌じゃないなら、このままここに住まないか?」
思いがけない言葉に目を見開いて驚くと同時に、不安になってしまう
「でも、僕…」
「ミツ、ずっとミツのこと、好きだよ。愛してる。
本当は、最初から俺が番になりたかった…。「番にして貰う」って言われた時に、先に、無理矢理にでも俺のモノにしてしまえば良かった…」
初めて聞いたハルくんの気持ち
ずっと、僕たち両想いだったの…?
あの時諦めてなければ、こんなことにならなかったの…?
「ハルくんが、僕のこと、好き…?ホントに…?夢じゃ、なくて…?」
嬉しい気持ちと不安が混じり合う
「僕も、…僕も、ずっと、ずっと…ハルくんが好きだった。番にして欲しかった。
おじさんが、ダメって言ってたけど、諦めきれなくて…
シゲルさんを、ハルくんの代わりにしちゃったから…
だから、バチが当たったんだ…。ごめんなさい。ごめん、なさい…」
涙が溢れ出し、ハルくんに縋りつきながら泣いた
「僕、最初から、ハルくんと番になりたかった。
ハルくんの赤ちゃん、産みたかった…。ごめん、なさい…。汚いΩでごめんなさい。役立たずのΩで、ごめんなさい…」
一度溢れ出した思いは止めることも出来ず、何度も何度も謝罪の言葉を口にした
その都度、「愛してる」って言ってくれて、泣き止むまでたくさんキスをしてくれた
やっと、好きな人に素直になれた
すっごく嫌な夢を見た
二人に赤ちゃんが出来て、幸せそうで…
僕はもう、要らないって言われた気がする
もう不要だって…
これから、どうしよう
あの家に帰って…帰って、どうするんだろ…
新しいところに引っ越す?
でも、番に捨てられたΩひとりに貸してくれる場所があるんだろうか…
実家に戻る?お父さんも、お母さんも、いっぱい心配掛けちゃうの嫌だな…
発情期が来た時とか、どうしよう…
あんな醜い姿、見られたくない…
何処に行けば…、どうすればいいのかわからない
「あぁ…、僕みたいなのの為に、Ω専用の病院があるのかな…」
唯一思い付いたのが、入院施設の精神病院
そこに行けば、誰にも迷惑は掛けないし、静かに死ねる気がする
でも
「ハルくんとは、離れたくないな…」
口に出した瞬間、ハルくんへの恋心が溢れてくる
ハルくんに頼めば居させてくれるかな…
ハルくんは優しいから、こんな状況の僕を見捨てないはず…
甘えてもいいのかな…
αのハルくんに、僕みたいな捨てられたΩが一緒に居ても、大丈夫なのかな…
「先生はあんなこと言ってたけど、発情期が来たらどうしよう...。
もう、ひとりで居るのは、怖いな...」
ベッドの端に置かれていたハルくんの物らしい上着に手を伸ばし、匂いを嗅ぐ様に抱きしめる
落ち着く...シゲルさんのなんかよりも、ずっと…
お腹、熱くなりそう…
なんでだろ...
胸いっぱいに吸い込むように、上着に顔を埋めていると
ガチャッと扉が開き、ハルくんが心配そうに入って来る
慌てて抱きしめていた上着をシーツの中に隠し
「は、ハルくん…ごめんね。迷惑かけちゃったよね」
心臓がバクバクする
見られてないよね…
上着、隠しちゃった…
「もう起きて大丈夫なのか?」
熱がないか額に手を当てられるとその冷たさが心地よく、そっと目を閉じる
「不思議…。ハルくんだと触って貰っても怖くないし、もっと、触って欲しくなる…。
やっぱり、もう拒絶反応も出ないんだ…。僕、もう、シゲルさんの番じゃないんだね…」
嬉しいような、悲しいような、複雑な感情が渦巻き、泣きそうな笑みなってしまう
「僕、これからどうしようかな…」
ついポロッと本音が溢れてしまい、慌てて謝るもそのまま抱きしめられ
「ミツが嫌じゃないなら、このままここに住まないか?」
思いがけない言葉に目を見開いて驚くと同時に、不安になってしまう
「でも、僕…」
「ミツ、ずっとミツのこと、好きだよ。愛してる。
本当は、最初から俺が番になりたかった…。「番にして貰う」って言われた時に、先に、無理矢理にでも俺のモノにしてしまえば良かった…」
初めて聞いたハルくんの気持ち
ずっと、僕たち両想いだったの…?
あの時諦めてなければ、こんなことにならなかったの…?
「ハルくんが、僕のこと、好き…?ホントに…?夢じゃ、なくて…?」
嬉しい気持ちと不安が混じり合う
「僕も、…僕も、ずっと、ずっと…ハルくんが好きだった。番にして欲しかった。
おじさんが、ダメって言ってたけど、諦めきれなくて…
シゲルさんを、ハルくんの代わりにしちゃったから…
だから、バチが当たったんだ…。ごめんなさい。ごめん、なさい…」
涙が溢れ出し、ハルくんに縋りつきながら泣いた
「僕、最初から、ハルくんと番になりたかった。
ハルくんの赤ちゃん、産みたかった…。ごめん、なさい…。汚いΩでごめんなさい。役立たずのΩで、ごめんなさい…」
一度溢れ出した思いは止めることも出来ず、何度も何度も謝罪の言葉を口にした
その都度、「愛してる」って言ってくれて、泣き止むまでたくさんキスをしてくれた
やっと、好きな人に素直になれた
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