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車で郊外にある小さな診療所へ向かった
辺鄙な所にあるわりに、待合室にはそこそこの患者が座っており、来ている人は何処か息を潜めている感じだった
「アイツにミツを早めに診てやってくれ、と伝えてくれないか?」
受付に居たスタッフに言付けを頼むと、スタッフがミツを心配するように一言二言、話しをしてからアイツの元に向かって行った
仕事のこともあるから、ここのスタッフとは多少面識を作らせておいて良かったと、内心ホッとする
少し待ちはしたものの、他の患者よりも優先して呼ばれることになった
待合室から少し廊下を進んだ先にある診療室
扉を開けようとした瞬間、先に自動で扉が開かれ中からウザい声が響いた
「みっちゃん、大丈夫だった?めちゃくちゃ心配してたんだよ。さっ、早く横になって楽にしていいからね」
長髪を適当に結んだ一見胡散臭そうな医者が、ミツの手を優しく引いて丁重にベッドへと案内するも、ミツは横にならずに俺の隣にちょこんとくっ付いて座る
「可愛い顔にも傷作っちゃったんだね。しんどかったね。
今は落ち着いてる?無理しちゃダメだよ?」
俺の存在を完全に無視して、ミツの傷口を確認している
「これ春輝がやったの?60点。まぁ、応急処置ならいいか
みっちゃん、滲みるかもしれないけど、出来るだけ痕が残らない為にも後で治療しようね
……それで、今回はかなりしんどかったんじゃない?何回発情期来ちゃった?」
さっきまでのテンションとは裏腹に、真剣な眼差しと口調に変わり、緊張感が漂う
「4、回くらいかな...2回目までは覚えてるけど、3回目から…意識も朦朧としてて…よくわからなくて…薬貰ってたもの、全部使っちゃって…」
怒られると思っているのか、俯いて震えるミツを慰める様に手を握り、頭を抱き寄せて大丈夫だと耳元で囁いてやる
「とりあえず、栄養失調と脱水、オーバードーズしてるのはわかったから。あと、気になるところもあるから色々と検査はしようか。
大丈夫、怒ってないよ。ただ、もっと早く連絡して欲しかったかな。
オレもだけど、スタッフのみんなもみっちゃんのことすっごく心配してたから。
後で裏の子達にも会いに行ってあげてね」
弟や子どもでも見るような慈愛に満ちた目でミツを見つめ、頭を撫でている
コイツに先に連絡した時も心配していたのを知っているだけに、ミツに触るな。とは、言いづらい…
「で…、春輝は車で待機。ここ、Ωの子専用だから、お前みたいなスパダリなα様がいると毒にしかなんないし」
ミツには優しく言うくせに、俺には当たりがキツい
さっきまでの慈愛の籠った視線はどこに行った?と言いたくなる程、俺には適当で、さっさと出て行けと言うように手をシッシッと振っている
「はいはい。センセー様が邪魔だって言うなら、俺は車で待機しときますよ。
ミツ、大丈夫だから。診察が終わったら戻って来るから、ちゃんと調べて貰ってな?」
ミツの額に自分の額を当て、目を合わせる
小さく頷く姿にホッとし、言われた通り車の中で、検査が終わるのを大人しく待った
辺鄙な所にあるわりに、待合室にはそこそこの患者が座っており、来ている人は何処か息を潜めている感じだった
「アイツにミツを早めに診てやってくれ、と伝えてくれないか?」
受付に居たスタッフに言付けを頼むと、スタッフがミツを心配するように一言二言、話しをしてからアイツの元に向かって行った
仕事のこともあるから、ここのスタッフとは多少面識を作らせておいて良かったと、内心ホッとする
少し待ちはしたものの、他の患者よりも優先して呼ばれることになった
待合室から少し廊下を進んだ先にある診療室
扉を開けようとした瞬間、先に自動で扉が開かれ中からウザい声が響いた
「みっちゃん、大丈夫だった?めちゃくちゃ心配してたんだよ。さっ、早く横になって楽にしていいからね」
長髪を適当に結んだ一見胡散臭そうな医者が、ミツの手を優しく引いて丁重にベッドへと案内するも、ミツは横にならずに俺の隣にちょこんとくっ付いて座る
「可愛い顔にも傷作っちゃったんだね。しんどかったね。
今は落ち着いてる?無理しちゃダメだよ?」
俺の存在を完全に無視して、ミツの傷口を確認している
「これ春輝がやったの?60点。まぁ、応急処置ならいいか
みっちゃん、滲みるかもしれないけど、出来るだけ痕が残らない為にも後で治療しようね
……それで、今回はかなりしんどかったんじゃない?何回発情期来ちゃった?」
さっきまでのテンションとは裏腹に、真剣な眼差しと口調に変わり、緊張感が漂う
「4、回くらいかな...2回目までは覚えてるけど、3回目から…意識も朦朧としてて…よくわからなくて…薬貰ってたもの、全部使っちゃって…」
怒られると思っているのか、俯いて震えるミツを慰める様に手を握り、頭を抱き寄せて大丈夫だと耳元で囁いてやる
「とりあえず、栄養失調と脱水、オーバードーズしてるのはわかったから。あと、気になるところもあるから色々と検査はしようか。
大丈夫、怒ってないよ。ただ、もっと早く連絡して欲しかったかな。
オレもだけど、スタッフのみんなもみっちゃんのことすっごく心配してたから。
後で裏の子達にも会いに行ってあげてね」
弟や子どもでも見るような慈愛に満ちた目でミツを見つめ、頭を撫でている
コイツに先に連絡した時も心配していたのを知っているだけに、ミツに触るな。とは、言いづらい…
「で…、春輝は車で待機。ここ、Ωの子専用だから、お前みたいなスパダリなα様がいると毒にしかなんないし」
ミツには優しく言うくせに、俺には当たりがキツい
さっきまでの慈愛の籠った視線はどこに行った?と言いたくなる程、俺には適当で、さっさと出て行けと言うように手をシッシッと振っている
「はいはい。センセー様が邪魔だって言うなら、俺は車で待機しときますよ。
ミツ、大丈夫だから。診察が終わったら戻って来るから、ちゃんと調べて貰ってな?」
ミツの額に自分の額を当て、目を合わせる
小さく頷く姿にホッとし、言われた通り車の中で、検査が終わるのを大人しく待った
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