【完結】世界で一番愛しい人

ゆあ

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「俺が、俺の意思でミツを抱いたんだ。ミツが発情期ヒートで朦朧としてるのをいいことに…だから、ミツが謝る事じゃない。むしろ、ミツは怒っていいし、恨んでもいいんだ。
顔も見たくないって言うなら、俺が出て行くから…
ただ、今のミツをほっとけない。林田を呼ぶから、俺の代わりに彼女を側に居させて欲しい…
連絡係としてだけでもいいから…」

何も悪い事をしてないのに、頭を下げて謝ってくれる


優し過ぎるハルくん
僕が悪いのに…
嫌じゃなかったのに…
むしろ、嬉しかったのに…

僕が番以外に抱かれたことに罪悪感を持たないように言ってくれてる
僕の気持ちを、身体を一番に考えてくれてる…


なんて、僕は汚いんだろう…
そんなハルくんの気持ちが嬉しいなんて…
僕のこと、一番に考えてくれるのが嬉しいなんて…

ハルくんに、縋りたくなってしまう
ハルくんに、助けて貰いたくなる

ホントは、ダメなのに…


「…ハルくんの、ハルくんのせいだよ…だから、今は側に居て
ちょっとだけで良いから…、今だけでいいから…」
涙が溢れ落ち、頬の傷に当たると滲みる
でも、涙を止めることが出来なかった

「番って、なんなんだろうね...」

ハルくんの手を取り、自ら頬に当てるも、何も嫌悪感を感じない
本来なら、番じゃないα がこんな近くに来てくれるだけで、触れるだけで拒絶反応が出るはずなのに…

寧ろ、好きな人に触れることの出来た喜びの方が強くて…

「運命の番が見つかったら、先に番になった僕って、なんなんだろ…
ハルくんに抱かれたからかな?もう、僕はシゲルさんの番じゃないってことかな…」

笑って誤魔化したいのに、歪にしか笑えない
ずっと、我慢していた気持ちが抑えられない

「ねぇ、ハルくん…助けて。嫌わないで、ひとりに、しないで…もう、独りでいるの、やだよぉ…」
一度溢れ出してしまった気持ちを抑えることが出来なかった
子どもみたいにハルくんに抱き着いて泣きじゃくった
ハルくんは、ただ静かに抱き締めてくれて、頭を撫でてくれた

ハルくんの匂いが心地良くて、胸に顔を埋めて泣き続けた
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