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問題

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「で、その肝心のフィルは?」


 ティファニーは、辺りをキョロキョロと見渡す。

「学校には来ていないみたいだけど? どうして?」

「さあ」


 私は首を傾げた。

「私にもよくわからないの」


 問題は、フィルが学校に来ていないことだ。


 彼は両親に、私を守るよう指示されている。

 そのために男爵の地位を与えるよう王家に働きかけた。


 しかし今、肝心の王子は牢屋で軟禁状態にあり、その恋人は行方不明。


 学園でフィルが私を守る必要はなくなったのだ。


「最近はお父様たちと何かしてるみたいで。学園に行こうと誘っても、用事があるからって断られちゃうの」

「でも、出席日数大丈夫なの?」

 ティファニーは心配そうに顔をしかめる。

「この学園、一応留年あるけど」


 彼女の言うとおり、この学園にも出席日数などの制度がある。

 貴族とは言え、学生は学生。

 第一王子であろうがコネで爵位を与えられた使用人であろうが、余程のことがない限り出席日数が足りなければ留年する。


 今のところフィルの欠席状況なら、留年の心配はない。

 しかし今後とも今のように休むのであれば話は別である。


 どうするのだろうか、フィルは。

 まさか学園を辞める気?


「うちの学園厳しいから、一度退学になったらもう再入学出来ないわよ」

 ティファニーは言った。

「せっかく入ったんだから、ちゃんと出席して得られるものは得てほしいわね。今後使用人として生きるって言っても、ここで学んだことも多少は役に立つとは思うし」

「ええ……」


 だけど、フィルは学園に来ない。

 それどころか、私を避けている気もするのだ。


 ここしばらく、私はフィルと話をしていない。

 あの日以降、フィルはお父様たちと行動を共にするようになった。


「どうにかしなきゃだわね」

 と、ティファニー。

「どうにかって?」

「あなたたちがそんなんじゃ、私だって嫌よ。せっかく面白……いえ、楽しそうな2人の様子が見られるかもしれないって言うのに」

「……ティファニー、あなたもう少し建前っていうものを」

 私はため息をついた。
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