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暴力 ~セシル視点~
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「お、おい!」
「セシル、お前何やってんだよ」
声をかける友人たちを、俺は鬼の形相で睨みつけた。
そんな俺の姿を今まで見たことがなかったせいか、友人たちは一瞬怯えたような表情を浮かべ、後ずさりする。
俺はレナに向き直り、言った。
「お前のせいで、どんな目に遭ってると思ってんだ? 俺が」
「うっ……」
レナは蹲り、小さなうめき声をあげている。
当たったところが悪いのかどうかは知らない。
それよりも、俺はこの怒りが抑えきれなかった。
「俺はなあ、お前とは違って未来があるんだよ。未来の王になるっていう将来があるわけ」
それを俺はこのクソ女に邪魔されたってわけだ。
「お前が適当なことを言うせいで、あの掲示板の件が俺のせいになっちまってることだろうが。ふざけんなよマジで」
わけわからんまま両親に怒鳴られ、スカーレットには冷たい視線を浴びせられ、学園ではこんなクソみたいなところに突っ込まれている。
全部全部全部、この女のせいだったというわけだ。
「あーあ、マジで最悪。お前なんかさっさと切ればこんなことにはならなかったのに」
「……」
「お前さあ、マジで死んでくんない? それとも俺が殺してやろうか?」
「……」
「おい、なんか言えよお前……。だんまり?」
「……」
「おい!」
俺は馬乗りになり、拳を振り上げた。
「おい、セシル!」
「馬鹿!」
「な、何をしてるんですかあなたたち!」
突然、教室の扉が開いて担任がすっ飛んできた。
「何か怒鳴り散らしてると思ったら、なんてことを……! 今すぐに辞めなさい!」
「チッ」
「それにレナさん、大丈夫ですか!? レナさん!」
「セシル、お前何やってんだよ」
声をかける友人たちを、俺は鬼の形相で睨みつけた。
そんな俺の姿を今まで見たことがなかったせいか、友人たちは一瞬怯えたような表情を浮かべ、後ずさりする。
俺はレナに向き直り、言った。
「お前のせいで、どんな目に遭ってると思ってんだ? 俺が」
「うっ……」
レナは蹲り、小さなうめき声をあげている。
当たったところが悪いのかどうかは知らない。
それよりも、俺はこの怒りが抑えきれなかった。
「俺はなあ、お前とは違って未来があるんだよ。未来の王になるっていう将来があるわけ」
それを俺はこのクソ女に邪魔されたってわけだ。
「お前が適当なことを言うせいで、あの掲示板の件が俺のせいになっちまってることだろうが。ふざけんなよマジで」
わけわからんまま両親に怒鳴られ、スカーレットには冷たい視線を浴びせられ、学園ではこんなクソみたいなところに突っ込まれている。
全部全部全部、この女のせいだったというわけだ。
「あーあ、マジで最悪。お前なんかさっさと切ればこんなことにはならなかったのに」
「……」
「お前さあ、マジで死んでくんない? それとも俺が殺してやろうか?」
「……」
「おい、なんか言えよお前……。だんまり?」
「……」
「おい!」
俺は馬乗りになり、拳を振り上げた。
「おい、セシル!」
「馬鹿!」
「な、何をしてるんですかあなたたち!」
突然、教室の扉が開いて担任がすっ飛んできた。
「何か怒鳴り散らしてると思ったら、なんてことを……! 今すぐに辞めなさい!」
「チッ」
「それにレナさん、大丈夫ですか!? レナさん!」
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