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青天の霹靂 ~セシル視点~
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クラスを移動になったと学園長から告げられたのは、その日――いつものように学園に登校した日のことだった。
突然俺とレナ、友人たちが集められ、別室に移動させられる。
「彼が新しい担任です」
と、学園長が連れてきたのは、1人のくたびれた男だった。
「……どうも。初めまして」
「は?」
「何? どういうこと?」
困惑する俺たち。
それを意に介すこともなく、学園長はわけのわからないことを言い続ける。
「彼は私の古くからの友人でね。もともとは教師でもなんでもなく、NPO法人の役員として子どもの教育活動に励んでいらっしゃった、とても真面目な人なんです。今回は無理を言って、あなたたちの新しい担任になっていただけるようお願いしたところ、快く承諾してくれました」
「主に、孤児や不登校、その他様々な理由により問題児となった子たちの保護や更生に携わっておりました。基本的には庶民の子を相手にしていたので貴族の子どもとはあまり縁がなかったのですが、精一杯努めますのでこれからよろしくお願いいたします」
「ちょっと待ってよ学園長!」
レナは物凄い勢いで学園長を睨みつけた。
「一体どういうこと? 新しい担任って何?」
「ああ、そうでしたね。レナさんは庶民の方でした」
「そうですか、それなら得意分野です」
「おい、無視すんじゃねぇよ!」
友人の1人が怒鳴りつける。
「一体なんなんだ? 場合によっちゃ、お前ら全員潰す――」
「ああ、先に言っておきますが彼は公爵家の出です。あなた方よりも遥かに身分は上ですよ」
「「「……」」」
黙り込む一同。
「それ、俺にも言うわけ?」
俺は学園長に尋ねた。
「王子だけど、俺」
「もちろん承知です。ですが」
学園長はにっこりと微笑んだ。
「あなたのしでかしたことで、大変迷惑を被っている方がいますからね。このことは王家も了承済みです」
「は?」
「ひとまずあなた方は、彼の指導を受けてください。旧校舎に新しい教室を用意しますので。あなた方しかいないので、しっかり勉学に集中出来ると思いますよ。もう他の生徒と顔を合わせる機会もないでしょうし」
突然俺とレナ、友人たちが集められ、別室に移動させられる。
「彼が新しい担任です」
と、学園長が連れてきたのは、1人のくたびれた男だった。
「……どうも。初めまして」
「は?」
「何? どういうこと?」
困惑する俺たち。
それを意に介すこともなく、学園長はわけのわからないことを言い続ける。
「彼は私の古くからの友人でね。もともとは教師でもなんでもなく、NPO法人の役員として子どもの教育活動に励んでいらっしゃった、とても真面目な人なんです。今回は無理を言って、あなたたちの新しい担任になっていただけるようお願いしたところ、快く承諾してくれました」
「主に、孤児や不登校、その他様々な理由により問題児となった子たちの保護や更生に携わっておりました。基本的には庶民の子を相手にしていたので貴族の子どもとはあまり縁がなかったのですが、精一杯努めますのでこれからよろしくお願いいたします」
「ちょっと待ってよ学園長!」
レナは物凄い勢いで学園長を睨みつけた。
「一体どういうこと? 新しい担任って何?」
「ああ、そうでしたね。レナさんは庶民の方でした」
「そうですか、それなら得意分野です」
「おい、無視すんじゃねぇよ!」
友人の1人が怒鳴りつける。
「一体なんなんだ? 場合によっちゃ、お前ら全員潰す――」
「ああ、先に言っておきますが彼は公爵家の出です。あなた方よりも遥かに身分は上ですよ」
「「「……」」」
黙り込む一同。
「それ、俺にも言うわけ?」
俺は学園長に尋ねた。
「王子だけど、俺」
「もちろん承知です。ですが」
学園長はにっこりと微笑んだ。
「あなたのしでかしたことで、大変迷惑を被っている方がいますからね。このことは王家も了承済みです」
「は?」
「ひとまずあなた方は、彼の指導を受けてください。旧校舎に新しい教室を用意しますので。あなた方しかいないので、しっかり勉学に集中出来ると思いますよ。もう他の生徒と顔を合わせる機会もないでしょうし」
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