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生徒会

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 正直、私はあの人に関わりたくはなかった。


 明らかに面倒で、かつ地雷な臭いのする人と一体誰が会話をしたいと思うだろうか。


 ただ当然他の生徒たちもそう思っているだろうし、公爵家の人間として、貴族社会の秩序を守っていくためにも、私は彼女に接触せざるを得なかった。


「は?」


 我々の注意を聞いて、彼女は思いきりメンチを切ってくる。


「何様?」

「生徒会です」

 彼女の言葉に、生徒会長が冷静に返事をした。


「生徒による自治組織のことです。学園生活を送る上での問題の改善や解決を担っています」

「つまり、あなたの行動に問題があると、我々は認識しているわけです――レナさん」

 ティファニーが言った。


「は? 問題?」


 殿下の恋人――レナは鼻で笑う。

「一体何が問題なわけ?」


「ですから」


 生徒会長含め、みんなかなり苛立っているのが伝わってくる。

「あなたの行動です。その横柄な言動で、他の生徒たちに迷惑をかけているという自覚はおありですか?」

「みんなって主語が大き過ぎない? その証拠は――」

「これです」


 証拠を問われることになれているのか、それとも殿下の恋人ということで行動パターンはなんとなくわかっていたのか、彼女が屁理屈を言い出す前に役員が紙を手渡す。


「庶民であるあなたに暴言を吐かれたり、騒がれたりして迷惑だと。勉学に集中出来ないし、今までは使用出来ていた部室や公共の場が占領されて、設備の利用が困難であると。こちらとしても馬鹿にならない学費を支払っているのだから、一部の生徒による圧力で偏りが出来てしまっているのは不平等である……など、たくさんの意見書が届いています」


「……」


 彼女は少し黙り込んだ。


 だが、先日の殿下と違ってショックを受けているわけではなく、開き直るための前準備みたいなものだった。


「だから何よ」

 彼女は言った。

「私は殿下と付き合っているのよ? それに、未来の王妃にすると殿下は約束してくれたの。そんな私に良く指図出来るわよね、あなたたち」


「あのですね……」


 生徒会長は嘆息した。

「殿下の地位はあなたのものではありませんよ」


「私のものではないけど、実際問題、私のバックには殿下が、つまりは王家がついているわ。王家を怒らせるとどうなるかわかってるのよね?」


 王家を引き合いに出してきたか。


 さすがに言葉が大き過ぎるのではないかとも思ったが、「王家」という言葉を聞いてさすがに身じろいだ者もいる。


「フン。たかが生徒会が、よくも私に文句を言えたわね」


 その一瞬をついて、レナは上から目線で告げた。

「私に指図するってことは、ひとえに王族に指図するのと同じことよ。上の立場にいる人間に対してそんなことするだなんて、失礼にも程があるわ。今回のことは、しっかり殿下に報告――」


「あの」

 
 我慢出来なくなり、私は彼女に向かって言った。

「あなたが言っているのはつまり、上の者は下の者に逆らえない――ということですよね?」

「何? だからさっきからそう言ってるわよね?」

「それなら、庶民であるあなたが、一体どうして公爵家と生徒会に逆らおうとするんですか?」


 
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