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視界

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 興味ないとは言いつつも。


 何度も視界に入れば、当然気になるというか、気にせざるを得ない状況になった。


 そう、何度もその2人と顔を合わせるのだ。


 学園にいれば、当然顔を合わす機会はある。

 ただ、その数があまりにも多過ぎるのだ。


 もうほとんど毎日、私の視界にはそのカップルがちらついていた。


 食堂で、2人は窓際の席を占領し、楽しげに談笑している。

 その周囲には例のお友達もたくさんいるから、とても目立っていた。


「もぉ、殿下ってばぁ」


 女子生徒は、殿下にベタベタと触れる。


「うっせぇよ、馬鹿」

 興味なさそうな顔で、殿下はそれに答えていた。

「ひっどぉーい」


 なんか思っていたのと違う感じだが、確かにクラスメイトが教えてくれた通り、恋人同士のようなやり取りはしている。


 他にも、移動教室でティファニーと一緒に廊下を歩いていると、何度も向こうからその2人が姿を現す。


 これ見よがしに身体を寄せ合い、日によっては腕を組んだり手を繋いだりしていた。


 挨拶をしないわけにもいかないので、

「ごきげんよう」

 と、形式上頭を下げると、

「フン」

 と、なぜか鼻で笑われる。


 困った。

 非常に。


 特に実害はないものの、馬鹿にされていることだけはわかる。


 そうこうしているうちに、私の方にも情報が回ってきた。


 殿下の新しい恋人は、どうもとある男爵の親戚の女性らしい。

 もともとは市井出身であったが、男爵が彼女を引き取って学園に通わせているそうだ。


 道理で見たことのない人だと思ったわ。


「……何、あれ?」


 すれ違うたび、ティファニーはドン引きしている。

「何がしたいの?」

「さあ」


 私は首を傾げた。

「まあでも、仲の良い恋人が出来て良かったんじゃない?」

「前よりは他の生徒の邪魔をすることはなくなったけど……。なんか腹立つわね」


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