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学校

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「ぎゃはははは」

「マジでないってぇ」

「もぉ、最悪ぅ」

「殿下、あんたさぁ」


 朝。

 学園にて。


 貴族の子息子女たちが集うこの学園で、今日もまた不快な騒がしさが耳に入ってくる。


 メインストリートの真ん中でたむろっている連中に、他の生徒たちは怯えているらしい。

 彼らを避けるように、学園へと向かう生徒たちの流れが真っ二つに割れていた。


 これが、日常風景である。

 忌むべき、毎日の習慣。


「ごきげんよう、スカーレット」

「……ごきげんよう」


 背中側から声をかけてきたのは、クラスメイトのティファニー。

 彼女もまた公爵家の出であり、小さいころからよく遊んでいた中でもある。


「またか」

 彼女は至極憂鬱そうに、顔をしかめた。

「ごめんなさいね」

「別に、スカーレットのせいじゃないでしょう……。まあ、甘やかし過ぎだとは思うけど」


 大人しい性格の私は、友人が少ない。

 その中でも、なんでもはっきりと言ってくれるティファニーはとても貴重な存在だった。


「そうね」


 わかってはいる。

 わかってはいるんだけど。


 何度注意しても、

「別れるぞ」

 と、言われることが辛い。


 あの優しい殿下が、冷たい目でそういうのが。

 捨てられるのが怖いのだ。


「まあ、あなたの気持ちはわからなくもないけど」

 ティファニーは言った。

「友人として言えることは、1つよ――もっと良い人がいるわ」

「……」

「根本的な問題なんだけど、あなたのあの王子は性格が合わないと思うの。あなたよりはよっぽど、殿下のご友人の方が殿下の恋人にぴったりなんじゃないかって思うほどにね」

「そう……なのかもしれないわね」

「まあ、あくまで私の意見はアドバイスでしかないから、よく考えなさい。本当にあの方と、一生ずっと同じ時間を生きていけるかどうか」

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