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第3章

妹 ~キース視点~

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 屋敷の中。

 父上の執務室にて。


 私――キースは、多忙な父の代わりに屋敷の管理を行っていた。

 父は私に早く跡を継がせたいと考えているらしく、こういう責任ある仕事を任せることが度々ある。

 父上の部屋にも入ることを許されており、私はここで普段過ごして屋敷の管理をしていた。


 少し仕事がひと段落し、私は執務室で、父上の本棚を物色することにした。


 専門的で難しそうな本や、父の好みの詩集に小説。

 その中に、1冊の古いアルバムがあった。


 なんの気なしにそれをパラパラと捲る。


 私にとってこのアルバムを開くことは、ある種の習慣になってしまっていた。


 ある日――このアルバムを見てすべての真実を知ってしまってからは。


 父上も母上も、私が気づいていることは知らないと思う。


 私は、あるページで捲る指を止める。

 そこには、1枚の写真がある。


 2歳の私と、若かりしころの父上、母上、そして――。

 私と同じく、金色の髪を持つ可愛らしい女の赤ん坊がいた。


 エマでも、親戚筋にもいない。

 不思議な少女だ。


 しかし、その疑問はすぐに晴れる。


 その写真の下に、こう書かれていたのだ。


「我が家族――2歳のキースと、生まれたばかりのエマ」


 つまり、この子はエマという名前の少女だ。


 しかし、彼女は私の可愛い妹とは全く似ていない。

 今の、元気で外を走り回る彼女は、黒髪に黒い瞳。

 まるで違う。


 それなら、この少女は一体――?


 当時の私は1つの結論を導き出した。

 私の本当の妹は、写真の少女。

 あのエマは、私とは血の繋がらない全くの別人であるということに。




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