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関係
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リリオーネは絶句して、私の顔を見つめる。
愚かな彼女でも、そろそろわかってきたころだろう。
自分たちの計画のほころびを。
私は素知らぬ顔をしながら、両親に向かって言った。
「よく学園で2人きりでいるのを見かけておりますわ。お付き合いしているというのを、2人から直接聞いたことはありませんけど」
「は? ……違います! 全部お姉様の嘘です! 私とフレデリック殿下は付き合っていません!」
リリオーネは叫ぶ。
「さっきも言ったように」
お父様は言った。
「私たちは、ローゼリアからは何も聞いていない。あくまで噂を耳にしただけだ。貴族中に広まっている噂を――」
「ま、待ってください!」
リリオーネは、お父様の言葉を遮る。
「全部お姉様が仕組んだことです! そうに違いないわ! 私は嵌められたんです!」
「だから」
と、お母様。
「今私たちは、あなたの言い訳を聞きたいわけじゃない。事実確認よ。本当に殿下と深い関係にあるの?」
「いいえ、違います!」
妹は、はっきりと断言した。
「それは本当のこと? 嘘じゃないわよね?」
念押しをするお母様。
「ええ、もちろん。濡れ衣ですわ」
「へぇ」
では、と私は嫌味たっぷりに言った。
「では、あなたが構内で激しく腰を振っていた相手は、一体どなただったのかしら?」
「なっ……!」
突然の爆弾に、顔を真っ赤にするリリオーネ。
「ど、どういうことだ!?」
お父様は、胸倉を掴みかからんばかりに怒鳴った。
「お前、お前まさか……!」
「姉の婚約者を奪ったばかりでなく、そんな奔放な――」
お母様は、顔を両手で覆った。
「は、はぁ!? そんなわけないじゃない! 馬鹿じゃないの!? 変な嘘つかないでよ!」
リリオーネはパニックになっていた。
「あら、そう?」
私はニヤニヤしながら続ける。
「私もそうだし、他の生徒も見たって言ってたわよ。学園の中庭で、放課後にお互いの制服を――」
「そんなの嘘よ! だって私、学校の中ではそんなことしてないもの!」
「……学校では?」
お父様のドスの効いた声を聞いて初めて、リリオーネは自分が口を滑らせてしまったことに気づいた。
「つまり、お前は外で殿下と関係を持っていたということだな?」
愚かな彼女でも、そろそろわかってきたころだろう。
自分たちの計画のほころびを。
私は素知らぬ顔をしながら、両親に向かって言った。
「よく学園で2人きりでいるのを見かけておりますわ。お付き合いしているというのを、2人から直接聞いたことはありませんけど」
「は? ……違います! 全部お姉様の嘘です! 私とフレデリック殿下は付き合っていません!」
リリオーネは叫ぶ。
「さっきも言ったように」
お父様は言った。
「私たちは、ローゼリアからは何も聞いていない。あくまで噂を耳にしただけだ。貴族中に広まっている噂を――」
「ま、待ってください!」
リリオーネは、お父様の言葉を遮る。
「全部お姉様が仕組んだことです! そうに違いないわ! 私は嵌められたんです!」
「だから」
と、お母様。
「今私たちは、あなたの言い訳を聞きたいわけじゃない。事実確認よ。本当に殿下と深い関係にあるの?」
「いいえ、違います!」
妹は、はっきりと断言した。
「それは本当のこと? 嘘じゃないわよね?」
念押しをするお母様。
「ええ、もちろん。濡れ衣ですわ」
「へぇ」
では、と私は嫌味たっぷりに言った。
「では、あなたが構内で激しく腰を振っていた相手は、一体どなただったのかしら?」
「なっ……!」
突然の爆弾に、顔を真っ赤にするリリオーネ。
「ど、どういうことだ!?」
お父様は、胸倉を掴みかからんばかりに怒鳴った。
「お前、お前まさか……!」
「姉の婚約者を奪ったばかりでなく、そんな奔放な――」
お母様は、顔を両手で覆った。
「は、はぁ!? そんなわけないじゃない! 馬鹿じゃないの!? 変な嘘つかないでよ!」
リリオーネはパニックになっていた。
「あら、そう?」
私はニヤニヤしながら続ける。
「私もそうだし、他の生徒も見たって言ってたわよ。学園の中庭で、放課後にお互いの制服を――」
「そんなの嘘よ! だって私、学校の中ではそんなことしてないもの!」
「……学校では?」
お父様のドスの効いた声を聞いて初めて、リリオーネは自分が口を滑らせてしまったことに気づいた。
「つまり、お前は外で殿下と関係を持っていたということだな?」
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「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
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