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生徒会室②

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「君の案は確かに素晴らしいよ」


 ユージーンの上から目線が、死ぬほど癪に障る。

「しかしね、考えてみてほしいんだ。確かに僕たち貴族はこれから市民たちと交流していかなくちゃいけない。だが、こっちから媚を売る必要はないんじゃないかって」

「は?」


 媚を売るですって?


「わざわざ市民の俳優まで使って、

『凄ーい』

『カッコいい』

 なんて騒いで、それで僕たちになんのメリットがあるんだ?」

「メリットなんて」


 メリットとかデメリット以前の問題だろうに。

 これは長い目で見て、市民と交流を深め、貴族の生きる道を探す重要なイベント事だ。


 貴族はきちんと市民と仲良くしたいと考えているという、ちゃんとしたアピール。

「僕が言いたいのは、そんないつかわからない未来の話じゃない」


 ユージーンは言う。

「今の話だ。現在の我が国は、王族のもと貴族制が構築され、それがうまく機能している状態にある」

「でも、ほかの国では」

「当然、ほかの国では市民を中心とした革命が相次ぎ、たくさんの貴族が殺されてしまった。我が国でもそうなる可能性は十分にある」


 だが、とユージーンは続ける。

「だからといって、そんなすぐに市民と仲良くなろうなんて考え、貴族には浮かばないぞ」

「……」

「貴族には、数千年にも渡る矜持があるんだ。自分たちは、市民とは違う。生まれたころから違うという考えがね。その精神を持っている貴族たちに、急に、

『市民と仲良くしよう』

 なんて言い出せば、非難轟々の嵐だ」


 ぐうの音も出ない。


 私が反論しないのを見て勝ちを確信したのか、ユージーンはにやりと笑った。

「君の案は素晴らしいよ。確かにね。だけど、まずは順序を踏んでからだ。焦って行動すれば、周囲を置いてけぼりにするぞ――未来の宰相殿」


 
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