身に覚えのない浮気が原因で婚約破棄されました

 公爵令嬢ローゼリア。


 彼女は完璧だった。

 容姿端麗、文武両道、性格も良く、人望も厚い。


 生まれたころから完璧な人生のスタートを切り、今の今まで目立った挫折もせずに生きてきたのだが。

 そんな彼女にも、目の上のたんこぶが3つほど存在していた。


 1人目は、婚約者である第三王子フレデリック。

 自分の実力を見誤って反省せずに失敗を繰り返した挙句、その尻拭いをローゼリアに押しつけてくる。


 2人目は、実の妹のリリオーネ。


 その愛らしい容姿を駆使して信者たちを集め、彼らとともに、そのすべてを彼女を失脚させることに費やしている。


 3人目は、公爵子息のユージーン。


 何かとローゼリアに勝負を持ちかけ、一進一退の攻防を見せる、嫌味ったらしい男。


 彼らを適度に相手しつつ、史上初の女宰相となるための出世街道を歩んでいたローゼリアであったが。


 ある日、第三王子と妹にに呼び出されて言われることには。

「お前、ユージーンと浮気してるだろ」

「は? 身に覚えはございませんが」

「リリオーネから聞いた。なんたる最低極まりない行為だ! お前とは婚約破棄する!」


 嘘泣きするリリオーネを、優しく抱き寄せるフレデリック。


 その様子を見て、察しの良い私は勘づく。


 ……あー。

 なるほどね。


 あんたたち、そういう関係か。
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