17年もの間家族に虐められる悲劇のヒロインに転生しましたが、王子様が来るまで待てるわけがない

小倉みち

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第1章

17年

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 いやだって考えてみてほしい。


 17年よ、17年。


 その間、ひたすら私は連中に酷いことをされ続けるのだ。


 小説は20歳くらいの時間軸がメインだから虐めの具体的な描写はなされていなかったが、少なくとも人格否定&暴力なんかは当然のこと。

 
 土日祝休みなんてことはなく、年がら年中の虐待である。 


 そんなの、平凡な人生を送ってきた。私が耐えられるわけない。 


 よほどの痛み知らずか、とんでもない精神力持っている人間でしかあんな連中とはやって行けないだろう。

 いや、全ての人間がまず無理だ。


 それを耐え抜き、かつ性格が歪むことなくまっすぐに育った小説のセシリアは尊敬に値する。 

 ものすごく尊敬する。


 だからこそ、私は出来ない。

 マジで無理。


 20歳になってイケメン俺様王子に溺愛される未来が待っていたとしても、無理。

 そこまで精神が持つ自信がない。


 それに、20歳に運命の人に出会う?

 ちょっと遅すぎやしません?


 いや、私の元の世界じゃ割と当たり前、もっと遅い人だっていくらでもいるんだけど。

 この世界の結婚適齢期は16歳くらい。

 20歳は立派な行き遅れだ。


 そんなひたすら辛い目に会いながら、なおかつ出会えるかどうか定かではない運命の王子様を行き遅れになってまで待てるほど、私は我慢強いわけでもない。


 私は現状を鑑みつつ、この可愛らしい容姿に見とれる。


 この顔面さえあれば、そんな我慢する必要ないのではないだろうか。

 この可愛さならば、まともな引き取り手の1人や2人くらいいるだろう。

 もしそいつが最悪でも、またここと同じように逃げて新しい寄生先を探せば良い。


 だって私は、まだ3歳なのだから。


 私は即刻決断した。


 よし。

 さっさと逃げよう。










 
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