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第3章

会話

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 その「片桐さん」と再会したのは、アキラちゃんグループが彼の噂話をした数日後のことだった。


「お前、いつも会うよな」


 その日も、いつものように屋上で朝の時間つぶしをしていた。

 スケジュール帳とスマホの画像を確認しながら、来月のバイトの予定を入れていく。


 来月もほとんどバイト三昧だ。

 まあ、いつものことだが。

 母さんを楽させられるなら、それくらいどうってことない。


 そんなとき、ふいに俺はその人に声をかけられた。


「うぇっ」

 屋上に俺以外の誰かがいたことに全く気づいておらず、俺は変な声をあげて飛びのいた。


「フン」

 俺の滑稽な姿を見て、チャラい先輩もとい、同級生の片桐さんは鼻で笑った。

「大丈夫か?」

「ああ、はい……。すんません、大丈夫です」

「お前、見た目のわりにアレだな。まあどうでも良いけど」


 片桐さんは、許可してもないのに俺の隣にドッカリと座った。


「お前、大神って名前? あの有名な」

「有名かどうかは知らないけど、俺は大神ですね」

「へえ」

「あ、あの」

 俺は片桐さんに尋ねた。

「あんたは片桐さんだっけ?」

「よく知ってるな」

「ああ、はい。まあ」


 噂で知った、とは言えなかった。


「片桐で良いぜ」

 片桐さんは、どうでも良さげに言った。

「同級だろ」


 まあ、それはそうだ。

 1個上だからって、変に気を遣うのもアレだ。


「ええっと、じゃあ……。片桐」

「あ?」


 思い切り睨まれる。


「えっ」

「嘘嘘。冗談だっつーの」


 ぎゃははと笑いながら、強く肩を叩かれる。


「こういうのはノリだよ、ノリ」

「はあ……」


 なんか、会話のテンポが全然合わないな……。

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