43 / 46
第3章
会話
しおりを挟む
その「片桐さん」と再会したのは、アキラちゃんグループが彼の噂話をした数日後のことだった。
「お前、いつも会うよな」
その日も、いつものように屋上で朝の時間つぶしをしていた。
スケジュール帳とスマホの画像を確認しながら、来月のバイトの予定を入れていく。
来月もほとんどバイト三昧だ。
まあ、いつものことだが。
母さんを楽させられるなら、それくらいどうってことない。
そんなとき、ふいに俺はその人に声をかけられた。
「うぇっ」
屋上に俺以外の誰かがいたことに全く気づいておらず、俺は変な声をあげて飛びのいた。
「フン」
俺の滑稽な姿を見て、チャラい先輩もとい、同級生の片桐さんは鼻で笑った。
「大丈夫か?」
「ああ、はい……。すんません、大丈夫です」
「お前、見た目のわりにアレだな。まあどうでも良いけど」
片桐さんは、許可してもないのに俺の隣にドッカリと座った。
「お前、大神って名前? あの有名な」
「有名かどうかは知らないけど、俺は大神ですね」
「へえ」
「あ、あの」
俺は片桐さんに尋ねた。
「あんたは片桐さんだっけ?」
「よく知ってるな」
「ああ、はい。まあ」
噂で知った、とは言えなかった。
「片桐で良いぜ」
片桐さんは、どうでも良さげに言った。
「同級だろ」
まあ、それはそうだ。
1個上だからって、変に気を遣うのもアレだ。
「ええっと、じゃあ……。片桐」
「あ?」
思い切り睨まれる。
「えっ」
「嘘嘘。冗談だっつーの」
ぎゃははと笑いながら、強く肩を叩かれる。
「こういうのはノリだよ、ノリ」
「はあ……」
なんか、会話のテンポが全然合わないな……。
「お前、いつも会うよな」
その日も、いつものように屋上で朝の時間つぶしをしていた。
スケジュール帳とスマホの画像を確認しながら、来月のバイトの予定を入れていく。
来月もほとんどバイト三昧だ。
まあ、いつものことだが。
母さんを楽させられるなら、それくらいどうってことない。
そんなとき、ふいに俺はその人に声をかけられた。
「うぇっ」
屋上に俺以外の誰かがいたことに全く気づいておらず、俺は変な声をあげて飛びのいた。
「フン」
俺の滑稽な姿を見て、チャラい先輩もとい、同級生の片桐さんは鼻で笑った。
「大丈夫か?」
「ああ、はい……。すんません、大丈夫です」
「お前、見た目のわりにアレだな。まあどうでも良いけど」
片桐さんは、許可してもないのに俺の隣にドッカリと座った。
「お前、大神って名前? あの有名な」
「有名かどうかは知らないけど、俺は大神ですね」
「へえ」
「あ、あの」
俺は片桐さんに尋ねた。
「あんたは片桐さんだっけ?」
「よく知ってるな」
「ああ、はい。まあ」
噂で知った、とは言えなかった。
「片桐で良いぜ」
片桐さんは、どうでも良さげに言った。
「同級だろ」
まあ、それはそうだ。
1個上だからって、変に気を遣うのもアレだ。
「ええっと、じゃあ……。片桐」
「あ?」
思い切り睨まれる。
「えっ」
「嘘嘘。冗談だっつーの」
ぎゃははと笑いながら、強く肩を叩かれる。
「こういうのはノリだよ、ノリ」
「はあ……」
なんか、会話のテンポが全然合わないな……。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
冤罪で自殺未遂にまで追いやられた俺が、潔白だと皆が気付くまで
一本橋
恋愛
ある日、密かに想いを寄せていた相手が痴漢にあった。
その犯人は俺だったらしい。
見覚えのない疑惑をかけられ、必死に否定するが周りからの反応は冷たいものだった。
罵倒する者、蔑む者、中には憎悪をたぎらせる者さえいた。
噂はすぐに広まり、あろうことかネットにまで晒されてしまった。
その矛先は家族にまで向き、次第にメチャクチャになっていく。
慕ってくれていた妹すらからも拒絶され、人生に絶望した俺は、自ずと歩道橋へ引き寄せられるのだった──
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう
白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。
ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。
微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる