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第3章

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 アキラちゃんの言う噂とやらは、かなり信憑性が高いらしい。

 他のクラスメイトたちも、その片桐さんが起こした事件を何度か目撃していた。


 片桐さんの噂については、以上だ。


 彼が女好きで、留年した1つ上の同級生であること。

 女性に対して不誠実で、いつも女子生徒を取っかえ引っ変えしていること。
 

 ーーだが。

 俺はその話を聞いて嫌に思うどころか、むしろ少しだけ片桐さんとやらに同情を抱き始めていた。


 その人は、俺と同じタイプじゃないのか?

 
 もちろん、みんなのいうその噂の確かさは理解出来ている。


 だけどそれは、

「片桐という生徒が女子生徒と一緒にいる」

「片桐が女子生徒と揉めていた」

 という事実だけで、

「片桐が女好きで、女子生徒を取っかえ引っ変えしている」

 という悪評の因果関係にはならないのではないか?


 片桐さんとやらも俺と同じように、見た目や言動で周囲から嫌われているだけの、ただの可哀想な人ではないのか?


 なんて。

 話したことさえないのに、俺は少し片桐さんに親近感を覚えていた。


 いや、話したことがないからこそ。

 片桐さんの性格を想像で補強して、結果そうなったんだろうと思う。


 だから俺は、彼と少し言葉を交わしてみる気になったわけだ。
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