上 下
41 / 46
第3章

片桐

しおりを挟む
「その片桐さんが、どうかしたの?」


 クラスメイトは、俺に尋ねた。

「ああ、えっと」


 急に話しかけられてびっくりした俺は、しどろもどろになりながらも説明した。


「最近、よく遭遇するんだよ。屋上やら空き教室やらで。その、色んな女子生徒と一緒に」

「ああ……」


 クラスメイトは、何かを察したような顔をする。

「片桐さん、かなりチャラいから」

「その人のこと、知ってるの? アキラちゃん」


 阿賀はクラスメイト――アキラちゃんに質問する。

「うーん。別に知っているというか、喋ったことはない。もちろん。だけど、噂はよく耳にするの」


 アキラちゃんは、一緒に弁当を食べていた子たちに視線を向ける。

 彼女たちも、困ったような顔で頷いていた。


「噂って?」

「さっき、その、大神君が言ってたのと同じだよ。色んな女子生徒をとっかえひっかえしているっていうの」


「私はそれ、見たことある」

 他の女子も言った。

「放課後に置き傘取りに行こうと思ったら、隣のクラスでなんか揉めてて……。なんの話をしてたのかわかんないけど、片桐さんが隣のクラスの女子2人に胸倉掴まれてたのは見えた」

「私は、女子生徒と2人で保健室から出て行くところを」


 なるほど。

 俺の目撃情報も含め、その噂はかなり信ぴょう性があるらしい。


「気をつけた方が良いよ、穂波は特に」

 アキラちゃんは、阿賀に忠告した。

「片桐さんって、めちゃくちゃ面食いらしいから。穂波なんか、絶対に狙われてると思う」

「確かに。あの人、手が早いって聞くし」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

冤罪で自殺未遂にまで追いやられた俺が、潔白だと皆が気付くまで

一本橋
恋愛
 ある日、密かに想いを寄せていた相手が痴漢にあった。  その犯人は俺だったらしい。  見覚えのない疑惑をかけられ、必死に否定するが周りからの反応は冷たいものだった。  罵倒する者、蔑む者、中には憎悪をたぎらせる者さえいた。  噂はすぐに広まり、あろうことかネットにまで晒されてしまった。  その矛先は家族にまで向き、次第にメチャクチャになっていく。  慕ってくれていた妹すらからも拒絶され、人生に絶望した俺は、自ずと歩道橋へ引き寄せられるのだった──

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

おもらしの想い出

吉野のりこ
大衆娯楽
高校生にもなって、おもらし、そんな想い出の連続です。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

処理中です...