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第2章

初めての友達

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 こうして、阿賀は俺の「初めての友達」となった。


 そう、初めてだ。


 生まれてこの方、俺は友人なんて洒落たもん一度だって作ることは出来なかった。

 俺の容姿か体型か、それとも俺の尋常じゃないほどのコミュ力のなさか。


 しかし、俺の家の環境が友人の育成に影響を及ぼしているわけではないらしい。

 俺の弟や妹は、アホみたいに友人を連れては家の外で遊んでいる。


 こんなぼろっちい家に友達を連れて来ないでほしい、恥ずかしいから。

 切実にそう思っているが、弟妹はまだ幼く、その友達はまだ各々の金銭問題にあまり自覚がないらしい。


 それはそれで良かったという気持ちと、でもこれから先確実に起こりうるであろう彼らの友情間における悲劇が容易に想像出来て、俺は辛い。


 まあともかく、俺は友達が出来た。


 問題点は山積みだが、ひとまず嬉しい。


 ……でも、友達って一体何をする仲なんだろうか。


 今まで友人なんていなかったから、何をすれば良いのかわからない。


 俺のクラスメイトたちを観察すると、奴らは放課後になればどこかへ食べに行ったり、カラオケに行ったり、はたまた合コンしたりしている。


 つーことは、だ。


 そんな金も時間もない俺は、友人らしい行動を阿賀に取ってやれないということ。


 じゃあ、友達じゃなくても良いじゃん。


 なんてもし、阿賀に言われてしまったらどうしよう。


 そうしたらまた俺は元の生活に戻るわけだが、せっかくそう言ってもらえたのに、そうなるのはちょっと悲しい。


 それなら、ほかに何か阿賀にやってあげられることは?



 ――駄目だ。

 全然思いつかねぇ。


 誰かに相談するか?


 でも、相談出来る相手が誰かと考えると。


 俺の弟妹は駄目だ。

 あいつら、俺が友達いないことを知ったら絶対に馬鹿にする。


 そういう奴らなんだ。

 あいつらは。


 母さんにはあまり言いたくない。

 友達がいないなんて言えば、母さん、かなり心配するはずだ。

 家庭環境のせいだとか万が一思われてしまえば、本当に最悪だ。


 となると、ケンさんは。


 ……うーん。

 俺、ケンさんには「普通」の男子高校生らしく振舞ってるからなぁ。


 あの人は、家以外で俺に気さくに話しかけてきてくれる数少ない人だ。


 友達出来ない奴だとか思われてドン引かれても嫌だ。


 じゃあ結局、相談相手なんて誰もいねぇじゃねぇか。


 考えただけ損だ。


 ――いや、待て。

 1人だけいる。


 俺に対してそれなりに親しくしてくれていて、かつ変に、俺に介入してこないような人間が。
 
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