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理由①
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私は、兄の泣きそうな顔を見てびっくりした。
思わず涙が引っ込む。
兄が泣くところを、私は一度だって見たことがない。
アルフレッドお兄様は、そういうタイプじゃない。
泣くときは多分、自分の部屋でひっそりと泣くのだろう。
決して人前で、妹の前で泣きそうな顔をするような性格ではないのに。
「お、お兄様?」
私は恐る恐る兄の様子を伺う。
「そんなに謝らなくても……」
「いや、俺が悪い。俺が悪いんだ」
兄は普段の姿とは打って変わった様子で、何度も何度も私に頭を下げる。
その間も、私の頭に自分の手は置いたままだ。
「すまない、ルーティア。全部俺のせいだ」
私はわけもわからず、カタリナに助けを求めた。
「どういうこと? どういう意味?」
「私の口からは何も言えません。何も知らないのです」
と、カタリナ。
「私ではなく、アルフレッド様の口から直接お聞きした方がよろしいかと」
まあ、それはそうだ。
カタリナは私付きのメイドだ。
兄とそこまで関わりがあるわけじゃない。
多少は何かしら関係はあるとは思うが、その多少と言うのは私と比べて、である。
それくらい、私が兄と話してなさすぎたとも言える。
私は兄に向き直り、尋ねた。
「何があったんです? なぜそんなにも謝られるのですか?」
「……」
兄は少し呼吸を整えてから、弱々しく口を開く。
「お前とセオドアの婚約を父上に勧めたのは他でもない俺だ」
「えっ」
「だから、お前が苦しんだ元凶は俺なんだよ」
思わず涙が引っ込む。
兄が泣くところを、私は一度だって見たことがない。
アルフレッドお兄様は、そういうタイプじゃない。
泣くときは多分、自分の部屋でひっそりと泣くのだろう。
決して人前で、妹の前で泣きそうな顔をするような性格ではないのに。
「お、お兄様?」
私は恐る恐る兄の様子を伺う。
「そんなに謝らなくても……」
「いや、俺が悪い。俺が悪いんだ」
兄は普段の姿とは打って変わった様子で、何度も何度も私に頭を下げる。
その間も、私の頭に自分の手は置いたままだ。
「すまない、ルーティア。全部俺のせいだ」
私はわけもわからず、カタリナに助けを求めた。
「どういうこと? どういう意味?」
「私の口からは何も言えません。何も知らないのです」
と、カタリナ。
「私ではなく、アルフレッド様の口から直接お聞きした方がよろしいかと」
まあ、それはそうだ。
カタリナは私付きのメイドだ。
兄とそこまで関わりがあるわけじゃない。
多少は何かしら関係はあるとは思うが、その多少と言うのは私と比べて、である。
それくらい、私が兄と話してなさすぎたとも言える。
私は兄に向き直り、尋ねた。
「何があったんです? なぜそんなにも謝られるのですか?」
「……」
兄は少し呼吸を整えてから、弱々しく口を開く。
「お前とセオドアの婚約を父上に勧めたのは他でもない俺だ」
「えっ」
「だから、お前が苦しんだ元凶は俺なんだよ」
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