好きだから虐めてしまったなんて言われても、今更すぎて困るんですけど

小倉みち

文字の大きさ
上 下
12 / 22

返事

しおりを挟む
 私はセオドアに一度会うことを決めた。


 私から、セオドアに虐められた経緯や状況を事細かく聞いたカタリナは、私の行動を必死で止めようとする。


「お嬢様、辞めてください」

「お嬢様が散々苦しんでいたこと、気づけなくて申し訳ございません」

「ですが、今度こそ私たち周りの出番ですわ。セオドア様には私たちからお伝えいたしますので。お嬢様は部屋で休んでいてください」


 彼女がそう言うのも当然のこと。


 だって私は、あいつのせいで人生をめちゃくちゃにされた。

 あのクソ野郎のせいで、外に出ることさえ出来なくなった。


 そんなトラウマの元凶にわざわざ会いに行くなど、どう考えても無理をしているとしか見えない。


 ――だが。


「行くわ。会って直接話をさせてもらう」

 
 私は譲らなかった。

「ですが」

「良い? カタリナ。私は別に無理してない。今は」


 無理とか我慢とか、そういう次元じゃなくなっているのだ。


 ただただ、怒りで目の前が真っ赤に染まっている。

 会ったら駄目だというのは良くわかっているけれど、それでも私は直接あいつに会ってぶん殴ってやりたかった。


 腸が煮えくり返っている。

 まさか、苦しみや悲しみが怒りに負けるとは。


「私はあいつを絶対に許さないわ。一言でも言ってやんなきゃ済まないのよ。こんな腹の立つ手紙を送りつけてきて」

「……」


 カタリナはしばし沈黙する。


「どうしても行かれるというのですね?」

「ええ、そうよ。邪魔しないでちょうだいね」


 手紙を持って荷物をまとめる私に、カタリナは言った。


「それでは、私はお嬢様を止めることはいたしません。ですが、1つだけお願い事が」

「何?」

「1人では行かず、あなたのお兄様――アルフレッド様にご同行をお願いしていただきたいのです」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。

iBuKi
恋愛
私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた婚約者。 完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど―― 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。 ――魅了魔法ですか…。 国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね? 第一皇子とその方が相思相愛ならいいんじゃないんですか? サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。 ✂---------------------------- カクヨム、なろうにも投稿しています。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

婚約者は私を愛していると言いますが、別の女のところに足しげく通うので、私は本当の愛を探します

早乙女 純
恋愛
 私の婚約者であるアルベルトは、私に愛しているといつも言いますが、私以外の女の元に足しげく通います。そんな男なんて信用出来るはずもないので婚約を破棄して、私は新しいヒトを探します。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

今更ですか?結構です。

みん
恋愛
完結後に、“置き場”に後日談を投稿しています。 エルダイン辺境伯の長女フェリシティは、自国であるコルネリア王国の第一王子メルヴィルの5人居る婚約者候補の1人である。その婚約者候補5人の中でも幼い頃から仲が良かった為、フェリシティが婚約者になると思われていたが──。 え?今更ですか?誰もがそれを望んでいるとは思わないで下さい──と、フェリシティはニッコリ微笑んだ。 相変わらずのゆるふわ設定なので、優しく見てもらえると助かります。

好きでした、婚約破棄を受け入れます

たぬきち25番
恋愛
【現在工事中です。工事終了までお持ち頂ければ幸いです】 シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……? ※開始時期は未定ですがマルチエンディングを展開予定です。 ゲオルグ、エイド、ハンスの予定です。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

処理中です...