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 修学旅行の内容は、以下の通りだった。


 この国を出発して地続きの隣国、そのまた隣国へと渡り、そこから船に乗って世界を一周する。

 ほとんど船旅らしい。


 各国ではそれぞれの歴史や建造物、我が国との交流について学び、国王や大臣などのその国の重要人物たちと食事を取る。

 数日間は自由行動で、自分たちの友人たちと一緒になって観光スポット巡りをするらしい。



 ……うん、無理。

 無理に決まっている。


 そして最終日。

 長い船旅を終えて戻ってきた同級生たちは、王城で開かれるプロムに参加する。

 婚約者や気になる相手、恋人をパートナーとしてダンスを楽しむのだ。


 まあ、行かないけどね。

 いくらこの国で行われる行事だとしても、修学旅行と名のつくものに参加するつもりはない。


 断じてない。


「まあわかっていたことですが」

 カタリナは苦笑する。

「あなた様の婚約者様がお1人になるのですよ」

「別に良い」


 というか、そっちの方が有難い。


 あの男が1人でダンスパーティ会場を右往左往している有様を想像するだけで、飯3杯掻きこめる。

 ざまあみろって感じだ。


 でも、あの男のことだからこんな多少の嫌がらせ、屁でもないんだろうなあ。

 どうせ適当な女引っ提げて、お熱い夜でも過ごすんだろう。

 
 あいつは人当たりが良いし、何よりモテるんだから。


 あーあ。

 私は思い切りため息をつく。


 どうして私はこんなにもひねくれているのだろうか。

 そして、どうしてこんな性格にしやがった奴が人生を謳歌しているのだろうか。


「カタリナ、これ持って行って」


 嫌な気分にさせた元凶を、指先で摘まんでカタリナに渡す。

「焼却炉で燃やしておいて」

「……かしこまりました」


 カタリナは渋々それを受け取った。

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