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第5章
屋敷内
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バスティンの祖父の家だというその建物の中は、とても埃っぽかった。
一体いつから掃除していないのだろう。
少なくとも鍵がかけられていた時点で、相当な時間放置されていたのだけはわかる。
バスティンは、まるで強盗のような仕草でヅカヅカと部屋の中に入り、瓦礫のように積み重なった物たちを退かしていく。
それによって埃が激しく舞い、私はハンカチで口元を押さえ、ゴホゴホと咳をする。
そういえば、少し前にもこういうことがあったような。
あれは隣国で、あの2人の王子に国を案内してもらったときだ。
あのときも、私は埃を吸い込み、思いきり咳き込んでいた。
あのときよりもマシではあるが、それでも家が汚いことに代わりはない。
バスティンも両王子も、セレナの体調を全然慮ってくれないのはどうしてだろうか。
「セレナ様、大丈夫ですか?」
クロードは心配そうな顔で私を覗き込む。
咳が止まらないので、私は言葉を発することが出来なかった。
その代わりに、首を大きく横に振る。
「バスティンさん」
クロードは、厳しい声を出した。
「セレナ王女は、身体がお悪いのです。ですのでどうか、このように空気の悪い場所へ連れていくのは辞めていただけませんか?」
「あ? ……ああ」
バスティンは、物を動かす手を止めた。
「そういや、そうだったな」
彼は私に向かって呪文を唱える。
すると、私の身体を淡い光が覆った。
そのおかげで、息がしやすくなる。
「……あなた」
声が出せるようになった私は、バスティンに尋ねた。
「土属性じゃなかったっけ?」
原則、人間は自身の属性の魔法しか使えないはずだ。
それなのに、今バスティンが放った魔法は光属性のもの。
しかも、かなり複雑な保護魔法。
「……それより」
しかしバスティンは、私の質問に答えることはなかった。
「地下へ降りる階段がどこかにあるはずだ。2人とも、手分けして探してくれ」
一体いつから掃除していないのだろう。
少なくとも鍵がかけられていた時点で、相当な時間放置されていたのだけはわかる。
バスティンは、まるで強盗のような仕草でヅカヅカと部屋の中に入り、瓦礫のように積み重なった物たちを退かしていく。
それによって埃が激しく舞い、私はハンカチで口元を押さえ、ゴホゴホと咳をする。
そういえば、少し前にもこういうことがあったような。
あれは隣国で、あの2人の王子に国を案内してもらったときだ。
あのときも、私は埃を吸い込み、思いきり咳き込んでいた。
あのときよりもマシではあるが、それでも家が汚いことに代わりはない。
バスティンも両王子も、セレナの体調を全然慮ってくれないのはどうしてだろうか。
「セレナ様、大丈夫ですか?」
クロードは心配そうな顔で私を覗き込む。
咳が止まらないので、私は言葉を発することが出来なかった。
その代わりに、首を大きく横に振る。
「バスティンさん」
クロードは、厳しい声を出した。
「セレナ王女は、身体がお悪いのです。ですのでどうか、このように空気の悪い場所へ連れていくのは辞めていただけませんか?」
「あ? ……ああ」
バスティンは、物を動かす手を止めた。
「そういや、そうだったな」
彼は私に向かって呪文を唱える。
すると、私の身体を淡い光が覆った。
そのおかげで、息がしやすくなる。
「……あなた」
声が出せるようになった私は、バスティンに尋ねた。
「土属性じゃなかったっけ?」
原則、人間は自身の属性の魔法しか使えないはずだ。
それなのに、今バスティンが放った魔法は光属性のもの。
しかも、かなり複雑な保護魔法。
「……それより」
しかしバスティンは、私の質問に答えることはなかった。
「地下へ降りる階段がどこかにあるはずだ。2人とも、手分けして探してくれ」
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