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第4章

誕生日会④

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 ルーカスにどういった意図があるのか、私には全く検討もつかなかった。


 なぜ彼は私を「婚約者」として自分の友人に紹介したがっているのだろうか。


 単なる善意か、それともーー。


 いや、深くは考えずに置こう。


 またこの場でルーカスと揉め事を起こせば、兄が怒る。


 今私は、兄の言うことを聞かなければならない段階。

 変に反抗して兄の手で抹殺されれば、元も子もない。


 私は、

「ぜひお願いします」

 と、より一層の作り笑いを浮かべてみせた。




 ルーカスの目的は、なんとなく察せられた。


 この国の貴族たちだ。


 彼らの存在は、ただでさえ気の張るこのパーティを、さらに憂鬱にさせた。


 彼らにしてみれば、私は邪魔な存在だった。


 第一王子であるルーカスと婚約することは、貴族にとってメリットだらけだ。


 貴族内での地位の安定、向上。

 そして、政治の手網を握る可能性を秘めた重要なカード。


 それをよその国の王女に取られてしまうのは、彼らにとっては嬉しくない話だ。


 貴族たちは、私同様張りついた笑顔で挨拶をする。


 自分ではうまく笑えているつもりなのだろうが、実際はそうじゃない。


 彼らの薄暗い闇の部分が見え隠れするような、そんな気味の悪い表情だった。


 特に子どもたちも顕著で、幼い令嬢たちの中には、私を睨んでくる者もいる。


 私は誰にもバレないように嘆息した。


 わかっていた。


 そのような嫌悪感を抱かれることは。


 私は前々回、国王の妻だったのだから。


 彼らに対し、笑顔で対応するルーカスの横顔を盗み見た。


 彼もまた、貴族たちの欲望を嫌悪していた。

 昔からそうだった。


 王族であり続けた彼は、このようなものを忌み嫌っていた。

 だからこそ、その浅はかな欲を牽制するために、私を「婚約者」として紹介したがっていたのだろう。




 

 
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