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第4章
観光
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私はルーカス、クリストファー両王子と彼らの従者を伴い、隣国の観光へ向かうことになった。
馬車の中で、私たちは会話に花を咲かせた。
「今から行くのは、我が王家の所有する白馬の丘という場所です」
と、クリストファーは説明してくれた。
「白馬の丘、ですか?」
聞いたことがない。
私は首を傾げる。
「一体どんな場所なのですか?」
「我が国に伝わる話があるのですが」
クリストファーは続ける。
「昔、そこで1人の英雄が白馬に乗り、恐ろしい龍から国の姫を救ったという話です。その功績を讃えられ、彼は姫と結婚しこの国を建国したそうです」
「へぇ」
白馬の丘か。
なんだかロマンチックな感じ。
「白馬の丘は我が国の聖地とされ、今では観光名所としても知られています。その伝説もそうなんですが、特出すべきは景色の美しさなんですよ」
真っ青な空に、芝生で出来た緑1色の世界。
その丘の頂点には、龍が姫を捕らえていたという石造りの古城があるという。
「それは楽しみですね」
私は率直な感想を口にした。
「そういう素敵なところ、私は好きです」
「それは良かったです」
実は、とクリストファーは言う。
「あなたが我が国に訪れる前、兄上が、
『セレナ王女は、こういう場所が好きだと思う』
と、観光地のピックアップをしていただきまして」
私はバッと、クリストファーの隣の席を見やる。
客人が来ているというのに目を瞑って眠るこの男が――。
ふと思い出す。
2回目の私は、よくこの男を連れ回して旅行に出かけていた。
この男の持って財産を削り取るために。
そのどれもは私のお気に入りの場所だったが、そういう邪な気持ちで眺めた景色は、さほど良いものではなかった。
「驚いていらっしゃいますね」
クリストファーは目を細めて笑う。
「兄上は、こう見えてもあなたのことがお好きなようですよ。ぜひ、今回で仲良くなってほしいと思っております」
馬車の中で、私たちは会話に花を咲かせた。
「今から行くのは、我が王家の所有する白馬の丘という場所です」
と、クリストファーは説明してくれた。
「白馬の丘、ですか?」
聞いたことがない。
私は首を傾げる。
「一体どんな場所なのですか?」
「我が国に伝わる話があるのですが」
クリストファーは続ける。
「昔、そこで1人の英雄が白馬に乗り、恐ろしい龍から国の姫を救ったという話です。その功績を讃えられ、彼は姫と結婚しこの国を建国したそうです」
「へぇ」
白馬の丘か。
なんだかロマンチックな感じ。
「白馬の丘は我が国の聖地とされ、今では観光名所としても知られています。その伝説もそうなんですが、特出すべきは景色の美しさなんですよ」
真っ青な空に、芝生で出来た緑1色の世界。
その丘の頂点には、龍が姫を捕らえていたという石造りの古城があるという。
「それは楽しみですね」
私は率直な感想を口にした。
「そういう素敵なところ、私は好きです」
「それは良かったです」
実は、とクリストファーは言う。
「あなたが我が国に訪れる前、兄上が、
『セレナ王女は、こういう場所が好きだと思う』
と、観光地のピックアップをしていただきまして」
私はバッと、クリストファーの隣の席を見やる。
客人が来ているというのに目を瞑って眠るこの男が――。
ふと思い出す。
2回目の私は、よくこの男を連れ回して旅行に出かけていた。
この男の持って財産を削り取るために。
そのどれもは私のお気に入りの場所だったが、そういう邪な気持ちで眺めた景色は、さほど良いものではなかった。
「驚いていらっしゃいますね」
クリストファーは目を細めて笑う。
「兄上は、こう見えてもあなたのことがお好きなようですよ。ぜひ、今回で仲良くなってほしいと思っております」
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