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第2章

その後

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 総合的に見て、パーティは成功に終わったらしい。


 私と隣国の王子の間には揉め事が多発していたが、それでもそのことを周囲の大人たちが知る由もなかった。

 私たちは気をつけて、その暗くて深い溝の部分を表立って表現することはなかったのだ。


 それを知らない大人たちは、至極嬉しそうな顔で私に、

「王子様と仲良くなれたようで、私共も嬉しく思っております」

 と、わざわざ報告しに来た。


 隣国の王子たちの見送りも、私の仕事だった。


 初日と同じように、私と他の大人たちは玄関に集まり、彼らが馬車に乗って帰るのを見守った。


「ルーカス王子、クリストファー王子。この度は我が国にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」


 私は彼らに向かい、形式的な挨拶を行う。

「こちらこそ、お呼びいただき感謝いたします。今回のパーティで、この二国の今まで以上に親交が深まったことでしょう」

 と、クリストファー。

「……楽しい会を開いてくださり、ありがとうございました」

 と、ルーカス。

 彼は私と目を合わせることはなかった。

 私が二度と会いたくないと言ったのが、かなり効いているようだ。


 それは何よりだと思う。

 私たちは関わるべきじゃなかった。

 この複数の人生の間で、私たちはお互いを傷つけ合ってきたのだ。

 これ以上問題を起こさないためにも、前に進むためにも、私たちは関わらない方が良いと思っている。


 こうして、パーティという一大イベントは終了した。

 表向きは、私は隣国の王子に対してのもてなし役という役割を果たし、国王陛下からも労いの言葉をいただく。

 そして、また日々はいつも通りに戻っていった。

 私の部屋に大人たちが代わる代わるやってきて、私に勉強を教えていく。


 少し変わったこと言えば、セレナの父親であるらしい先王の限界が近づいてきたようで、定期的にお見舞いに行かなければならなくなったことだ。


 病室の彼は、ほとんど骨と皮ばかりになっていた。

 セレナが記憶喪失であるということが尾を引いているのだろうと思う。

 私のせいではないが、申し訳ない気持ちが芽生えた。


 そうして穏やかな生活を送っていると、私の元に、一報が届く。


 ――私と、ルーカス王子の婚約についてだった。






 

 

 
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