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第5章

会議④

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「この国にも、ブローディアと同じくらいの『魔力の核』がある可能性は?」


 ウル殿下は、アーロ司書に尋ねた。

「あるかもしれませんが……。定かではありません」

 彼は曖昧な返事をする。

「ここにも、魔力を微量ながら持っている木や動物たちはいますし。あなた方マハナ人の中にも、魔術師はいらっしゃるでしょう?」

「ああ、まあ」

「基本的に、すべての物象に魔力は備わっています。魔法が使えるほど量があるかどうかはわかりませんが」


 つまり、私のような全く魔力を持たない人間は、とても珍しい。

 かつて私がブローディアにいたとき、アーロ司書がそう言っていた。


「それが積もり積もって出来た核が、このマハナ国のどこかに眠っている可能性はゼロではない」

「それでは――」

「ただし」


 彼は、首を横に振った。

「もしあったとしても、それを掘り返すことは不可能に近い」

「なぜだ?」

「この国に、魔力探知機はありますか? おもちゃのようなものではなく、大掛かりのものです」


 私たちは顔を見合わせた。

 誰も知らないということは、この国にはないはずだ。


「核は地中深くに埋まっていますから、普通の魔力探知機じゃ話になりません。しかし、この国は今貿易をブローディアからの圧力で禁止されている。手に入ることは不可能だ」

「……探知機なしで勘でするにしても、国が穴だらけになるな」

「そうです。それに見つかったとしても、それがブローディアと同等の大きさである可能性は低い」


 アーロ司書は、一番大事なことを告げた。

「魔力の核は、その土地の物象の魔力量に影響します。ブローディア国民が全員魔法を使えるのは、非常に大きな魔力の核があるからです。しかしこの国出身の魔術師は、どう考えてもブローディアよりも少ない。つまり魔力の核の大きさは、期待するほどないでしょう」

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