王女なのに、忌み子として無理やり追放＆結婚させられました ～少女は南国で幸せを誓う～

第4章

第3回会議

「ふむ、これは」

「チョコレートです」


　そして、第3回王侯会議が開かれた。


　会議室に人々が集まり、それぞれの席に座る。

　私は早速コック長の作った試作品を彼らに配り、食べさせた。


　あの殿下の事件は有名なのか、彼らは一様に殿下の表情伺いながらそれを食す。


「これを高級チョコレートとしてこの国で販売しようと思っています」

「しかし」

　と、1人が言う。

「これで本当に海外から観光客が来るのでしょうか？」

「それはわかりませんが、少なくともパイナップルを買い付けようとしてこの国に来る商人がいたのを思い出してください。彼らの行動力は凄まじいと思いませんか？」

「まあ、それは……」
　
「今回も、パイナップルの時と同様に、口コミで広めます。しかし前回と違って楽なのは、パイナップルのときに培った遺産があるからです」

「遺産？」

「人脈ですよ。マハナ国の食品に目をつけている各国の商人や物好きな貴族たちと、時々連絡を取っています。彼らを一同に介して、チョコレート試食会を開きたいと思っているのです」

「試食会ですか？」

「そうです。彼らの旅費やここで過ごす費用を全て負担し、この城の広間を使って開催します」

「ですが、莫大なお金がかかるのでは？」

「ご心配に及ばず、パイナップルを売った利益を使いましょう。この商品は必ず売れます。チョコレートというお菓子の存在を知らない人々でも、一度召し上がればきっと、その夢の中に囚われてしまうはずです」