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第3章
暑い
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私は暑苦しくて眠れなかった。
と言うのも、夜ずっとウル殿下が私と布団を握りしめて離さない。
マハナの平均気温はブローディアよりも遥かに高い。
それに、ウル殿下は基礎体温が高い。
暑い。
寝苦しい。
私は身体の大きい殿下に潰されて、寝汗を掻く。
何度も寝返りを打とうとするが、ウル殿下に邪魔されて全然身体を動かすことが出来ないし、余計に息苦しくなる。
全然眠れない私とは対照的に、ウル殿下は子どもみたいに幸せそうな顔で眠っている。
規則正しいその寝息が、私をさらに腹立たせる。
なぜ、私はこんな目に合わなければいけないんだ?
昼間は殿下に嫌味を言われ、夜は夜で殿下のせいで眠れない。
確かに、私も軽率だったけど、ここまで執着されるのはお門違いだ。
私は何度かウル殿下の身体を押すが、彼は眠りが深いのかびくともしない。
仕方がないので、気分転換に私はベッドから出た。
涼しい夜の空気が、私の身体に纏わりつく。
喉が渇いた。
飲み物を飲もう。
しかし、テーブルの上に置かれている水差しの中には、一滴も残っていない。
飲み物を持ってきてもらおうと思ったが、私の召使たちも、今は殿下と同じく夢の中だ。
しょうがないので、自力で厨房に向かい飲み物を持ってくることにする。
殿下が起きてしまうと面倒なことになりそうなので、抜き足差し足で音を立てずに部屋から出た。
廊下は真っ暗だった。
ブローディアは夜も煌々と明かりがついていたが、ここは違うみたいだ。
厨房は私たちの部屋のちょうど真下にあったはずだ。
その辺に置いてあった燭台を取り、火をつけて歩く。
すると、向こう側からほのかに輝く火の光が見えた。
「だ、誰……?」
どうしよう。
勝手に外に出たのがバレてしまえば、また殿下に何か言われる。
「マーガレット様……?」
聞き覚えのある声がした。
よくよく目を凝らすと、背の高い男が目の前にいることがわかる。
「ケイキさんですか……?」
私は恐る恐る尋ねた。
「はい、ケイキです。王女様、お久しぶりでございますね」
私の眼前に姿を現したのは、先日まで私の家庭教師をしていたケイキだった。
と言うのも、夜ずっとウル殿下が私と布団を握りしめて離さない。
マハナの平均気温はブローディアよりも遥かに高い。
それに、ウル殿下は基礎体温が高い。
暑い。
寝苦しい。
私は身体の大きい殿下に潰されて、寝汗を掻く。
何度も寝返りを打とうとするが、ウル殿下に邪魔されて全然身体を動かすことが出来ないし、余計に息苦しくなる。
全然眠れない私とは対照的に、ウル殿下は子どもみたいに幸せそうな顔で眠っている。
規則正しいその寝息が、私をさらに腹立たせる。
なぜ、私はこんな目に合わなければいけないんだ?
昼間は殿下に嫌味を言われ、夜は夜で殿下のせいで眠れない。
確かに、私も軽率だったけど、ここまで執着されるのはお門違いだ。
私は何度かウル殿下の身体を押すが、彼は眠りが深いのかびくともしない。
仕方がないので、気分転換に私はベッドから出た。
涼しい夜の空気が、私の身体に纏わりつく。
喉が渇いた。
飲み物を飲もう。
しかし、テーブルの上に置かれている水差しの中には、一滴も残っていない。
飲み物を持ってきてもらおうと思ったが、私の召使たちも、今は殿下と同じく夢の中だ。
しょうがないので、自力で厨房に向かい飲み物を持ってくることにする。
殿下が起きてしまうと面倒なことになりそうなので、抜き足差し足で音を立てずに部屋から出た。
廊下は真っ暗だった。
ブローディアは夜も煌々と明かりがついていたが、ここは違うみたいだ。
厨房は私たちの部屋のちょうど真下にあったはずだ。
その辺に置いてあった燭台を取り、火をつけて歩く。
すると、向こう側からほのかに輝く火の光が見えた。
「だ、誰……?」
どうしよう。
勝手に外に出たのがバレてしまえば、また殿下に何か言われる。
「マーガレット様……?」
聞き覚えのある声がした。
よくよく目を凝らすと、背の高い男が目の前にいることがわかる。
「ケイキさんですか……?」
私は恐る恐る尋ねた。
「はい、ケイキです。王女様、お久しぶりでございますね」
私の眼前に姿を現したのは、先日まで私の家庭教師をしていたケイキだった。
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