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序章
寂れた場所
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私は辟易した。
この男の浅はかな私に対する怒りが。
無論、彼が今から案内する場所は、我が国であったブローディアによる一方的な陵辱を受けた土地である。
ブローディアにとっては遊びであろうが、この国にとっては最大の取引だった。
私はブローディアにいるとき、満足に勉強させて貰えなかったせいでほとんど政治に関しては無知である。が、ブローディアとマハナの関係性は、あのブタ共の話を聞くだけで、容易に想像出来る。
ブローディアとマハナの差は、魔力である。
それは、私とブローディア王家の格差と同義だ。
ブローディアは、魔力持ちの人間だけが住む国である。魔力は、ほぼ万能に近い。その量や得意属性に応じて、人々は生活を豊かにしてきた。もちろん、魔力があれば他の国とも安全に戦争が出来る。
遠距離攻撃が出来るのは、非常に大きな利点であった。
それに、魔力は超自然的な存在だった。
他の国に住む人々からすれば、魔法は未知だ。
なんの根拠もなく急に火が現れたり、水が現れたり、はたまた物が勝手に動いたりする。
魔法を使えない者からすれば、恐怖しか感じないであろう。
それ故に、ブローディアは世界一の国としてのし上がってきた。
北国の貧しい土地にあったブローディアは、他国からの貢ぎ物で成長し、それから貿易で世界を取った。
魔力を持たないものは人にあらず。
それが、あの国での暗黙の了解。
魔力至上主義に染まってしまったブローディア。
だからこそ、魔力を持たない弱小国など、ゴミ屑にしか見えないのだろう。
男の怒りは良くわかった。
私も彼も、同じくあの国に振り回されているからだ。
しかし私が解せぬのは、何故それを私に言うのか、ということだ。
確かに私はブローディアの第一王女である。
だがそれと同時に、私とこの国はブローディアの「被害者」なのだ。
男の言い方に、私は不満しかなかった。
しかし、ここでこの男をこれ以上邪険に扱おうとするものなら、例えば男が私を放り出して先に帰ってしまうことも有り得る。
そうなれば、私の人生は詰む。
だから、私は黙ったままついて行くことにした。
どれくらい歩いただろうか。あの屈強な男ならなんの問題もないのだろうが、私のような体力のない麗らかな17歳には、荷物を持っていないとはいえ、かなりきつい道のりである。
あれ、そう言えば荷物どこだ。
あっ。
私は斜め前を早足で歩く男を見つめた。
確か、この男をビンタするときに邪魔で地面に置いたきり。
私は軽く絶望する。
あの中には、私の大切なものが詰まっているのに。ブローディアから離れて気が緩んでいたせいか、物の管理が甘くなってしまっていた。
「ねえ」
私は声をかける。
「なんだ?」
「荷物忘れたんだけど。あの港で」
ああ。
男は今思い出したように目をぱちくりさせた。
「大丈夫だ」
はあ。何言ってんだ、こいつは。
「いや、全然大丈夫じゃないでしょ」
「俺が言うなら大丈夫だ」
私はため息をついた。
どっから出てるんだ、その根拠のない自信。
ますます嫌な気分になった。
道はどんどん狭くなっていく。それにつれて、大通りのような小綺麗な家ではなく、随分前から張り替えていないのだろう、穴あきのある屋根がぞろぞろと表れだした。
鼻の奥に刺激臭が入り込み、私は思わず咳き込む。
突然、男は立ち止まった。下を向いていた私はそれに気づかず、思い切り男の固い腕に鼻をぶつけた。
「痛っ」
「ここだ。俺があんたを案内したかったのは」
私は少し痛む鼻を擦りながら、男の言う前方を見遣り、息を飲んだ。
「どう思う?」
「……」
どう思うもこうもない。
私は目の前の惨状に驚き、そして後悔した。
私の人生なんて喜劇じゃないかと思うくらい、この国は来るとこまで来ているのだ。
まず、人が倒れていた。ボロボロの薄汚れた布切れを着ている。その周りにはハエが集っていて、私は嫌な予感がしてそれから目を背けた。
地面には何も生えていない。草をむしり取った跡の小さな穴しかなかった。異臭がするのは、身体を満足に洗えないからか、それとも何かが腐ってしまっていたからか。
全体的に空気が重い。ここだけ、時が止まったように静かだった。それは土地柄が良いとか悪いとかそんな程度の問題じゃない。声さえ出せないのだ。
ーー飢餓で。
私は目をしばたたせる。
「逃げるな」
男は言った。
「俺はあんたを責めているわけじゃないんだ」
「じゃあどうして、」
こんなところに連れてきたのよ、とは言えなかった。
そこまで私は屑じゃない。
そう思いたい。
男は続ける。
「俺があんたにこれを見せたかったのは、あんたが嫁ぐ国が実際のところどんなのか見せたかった。あんたがどんな国を王子と守っていくのか見せたかった」
私は恥ずかしさに、その場から逃げ出したくなった。
ああ。浅はかだったのは、私の方だ。
完全に嫌味を言われるものだと思っていた。
私はこの男の人間性、ならびにこの惨状まで目をつぶろうとしていたんだ。
これじゃ、あの連中と何も変わりはしない。
「どう思う」
男がもう一度尋ねる。
が、私はそれに答えずに辺りをグルっと見渡した。
家の中から、棒切れのように細い女が出てくる。虚ろな目はしばしじっと前を見つめていたが、やがて私たちの姿を捉えた。
「……なにか、なにか食べ物を」
か細い声で、そう懇願する女。
男は、事前に用意していたのだろうヤシの葉で出来た包みを渡す。
「あんたは、渡すものがあるか」
私は食べ物なんて持ってきていなかった。しかし、厳密に言えば渡せるものがあることにはある。
母親の形見である黄金のブレスレットとアンクレットだ。
だが、私はわざと渡さなかった。
それだけで終わらせるのは駄目だという、漠然とした気持ちがそこにあった。
「渡すものは何もないわ」
涙が出てこないように必死に堪えながら、私は男に向かって言った。
「その装飾品は?」
「これは違う。これを渡しても良いでしょうけど、それは問題解決にならないわ。だから代わりに、私が飢餓から救ってみせるわ」
男は初めて、本当の笑顔を見せた。
「合格だ。マーガレット」
この男の浅はかな私に対する怒りが。
無論、彼が今から案内する場所は、我が国であったブローディアによる一方的な陵辱を受けた土地である。
ブローディアにとっては遊びであろうが、この国にとっては最大の取引だった。
私はブローディアにいるとき、満足に勉強させて貰えなかったせいでほとんど政治に関しては無知である。が、ブローディアとマハナの関係性は、あのブタ共の話を聞くだけで、容易に想像出来る。
ブローディアとマハナの差は、魔力である。
それは、私とブローディア王家の格差と同義だ。
ブローディアは、魔力持ちの人間だけが住む国である。魔力は、ほぼ万能に近い。その量や得意属性に応じて、人々は生活を豊かにしてきた。もちろん、魔力があれば他の国とも安全に戦争が出来る。
遠距離攻撃が出来るのは、非常に大きな利点であった。
それに、魔力は超自然的な存在だった。
他の国に住む人々からすれば、魔法は未知だ。
なんの根拠もなく急に火が現れたり、水が現れたり、はたまた物が勝手に動いたりする。
魔法を使えない者からすれば、恐怖しか感じないであろう。
それ故に、ブローディアは世界一の国としてのし上がってきた。
北国の貧しい土地にあったブローディアは、他国からの貢ぎ物で成長し、それから貿易で世界を取った。
魔力を持たないものは人にあらず。
それが、あの国での暗黙の了解。
魔力至上主義に染まってしまったブローディア。
だからこそ、魔力を持たない弱小国など、ゴミ屑にしか見えないのだろう。
男の怒りは良くわかった。
私も彼も、同じくあの国に振り回されているからだ。
しかし私が解せぬのは、何故それを私に言うのか、ということだ。
確かに私はブローディアの第一王女である。
だがそれと同時に、私とこの国はブローディアの「被害者」なのだ。
男の言い方に、私は不満しかなかった。
しかし、ここでこの男をこれ以上邪険に扱おうとするものなら、例えば男が私を放り出して先に帰ってしまうことも有り得る。
そうなれば、私の人生は詰む。
だから、私は黙ったままついて行くことにした。
どれくらい歩いただろうか。あの屈強な男ならなんの問題もないのだろうが、私のような体力のない麗らかな17歳には、荷物を持っていないとはいえ、かなりきつい道のりである。
あれ、そう言えば荷物どこだ。
あっ。
私は斜め前を早足で歩く男を見つめた。
確か、この男をビンタするときに邪魔で地面に置いたきり。
私は軽く絶望する。
あの中には、私の大切なものが詰まっているのに。ブローディアから離れて気が緩んでいたせいか、物の管理が甘くなってしまっていた。
「ねえ」
私は声をかける。
「なんだ?」
「荷物忘れたんだけど。あの港で」
ああ。
男は今思い出したように目をぱちくりさせた。
「大丈夫だ」
はあ。何言ってんだ、こいつは。
「いや、全然大丈夫じゃないでしょ」
「俺が言うなら大丈夫だ」
私はため息をついた。
どっから出てるんだ、その根拠のない自信。
ますます嫌な気分になった。
道はどんどん狭くなっていく。それにつれて、大通りのような小綺麗な家ではなく、随分前から張り替えていないのだろう、穴あきのある屋根がぞろぞろと表れだした。
鼻の奥に刺激臭が入り込み、私は思わず咳き込む。
突然、男は立ち止まった。下を向いていた私はそれに気づかず、思い切り男の固い腕に鼻をぶつけた。
「痛っ」
「ここだ。俺があんたを案内したかったのは」
私は少し痛む鼻を擦りながら、男の言う前方を見遣り、息を飲んだ。
「どう思う?」
「……」
どう思うもこうもない。
私は目の前の惨状に驚き、そして後悔した。
私の人生なんて喜劇じゃないかと思うくらい、この国は来るとこまで来ているのだ。
まず、人が倒れていた。ボロボロの薄汚れた布切れを着ている。その周りにはハエが集っていて、私は嫌な予感がしてそれから目を背けた。
地面には何も生えていない。草をむしり取った跡の小さな穴しかなかった。異臭がするのは、身体を満足に洗えないからか、それとも何かが腐ってしまっていたからか。
全体的に空気が重い。ここだけ、時が止まったように静かだった。それは土地柄が良いとか悪いとかそんな程度の問題じゃない。声さえ出せないのだ。
ーー飢餓で。
私は目をしばたたせる。
「逃げるな」
男は言った。
「俺はあんたを責めているわけじゃないんだ」
「じゃあどうして、」
こんなところに連れてきたのよ、とは言えなかった。
そこまで私は屑じゃない。
そう思いたい。
男は続ける。
「俺があんたにこれを見せたかったのは、あんたが嫁ぐ国が実際のところどんなのか見せたかった。あんたがどんな国を王子と守っていくのか見せたかった」
私は恥ずかしさに、その場から逃げ出したくなった。
ああ。浅はかだったのは、私の方だ。
完全に嫌味を言われるものだと思っていた。
私はこの男の人間性、ならびにこの惨状まで目をつぶろうとしていたんだ。
これじゃ、あの連中と何も変わりはしない。
「どう思う」
男がもう一度尋ねる。
が、私はそれに答えずに辺りをグルっと見渡した。
家の中から、棒切れのように細い女が出てくる。虚ろな目はしばしじっと前を見つめていたが、やがて私たちの姿を捉えた。
「……なにか、なにか食べ物を」
か細い声で、そう懇願する女。
男は、事前に用意していたのだろうヤシの葉で出来た包みを渡す。
「あんたは、渡すものがあるか」
私は食べ物なんて持ってきていなかった。しかし、厳密に言えば渡せるものがあることにはある。
母親の形見である黄金のブレスレットとアンクレットだ。
だが、私はわざと渡さなかった。
それだけで終わらせるのは駄目だという、漠然とした気持ちがそこにあった。
「渡すものは何もないわ」
涙が出てこないように必死に堪えながら、私は男に向かって言った。
「その装飾品は?」
「これは違う。これを渡しても良いでしょうけど、それは問題解決にならないわ。だから代わりに、私が飢餓から救ってみせるわ」
男は初めて、本当の笑顔を見せた。
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