6 / 15
第1章
天使
しおりを挟む
「…っと、ちょっと!」
バシャッ。
凍るように冷たい何かが顔面に当たった。
俺はビックリして、目を覚ます。
「ちょっと、大丈夫ですか?」
さっきの天使の声だった。
いや、天使じゃない。
人間だ。
俺は顔にかけられたものを、スーツの裾で拭う。
無臭だった。
おそらく、水だ。
水をかけられたおかげで、意識がはっきりする。
目の前にいるのが天使ではなく、スーツ姿の女性であることに気づいた。
後ろの街灯で逆光になっていたので、顔はよく見えなかったが。
「あー、あっ……ゲホッ」
酒焼けしたしゃがれた声で、俺はお礼を言う。
「すみません、起こしてくださってありがとうございます……」
本当は起こしてほしくなんてなかったけど。
そのままゴミとして処分してほしかった。
「いえ」
その女性は、俺の近くにペットボトルを置いた。
「これ、水です。良ければどうぞ」
少し蓋が空いたそれは、さっき俺にかけた水が入っていたものなのだろう。
「すみません、本当に」
俺はそれを受け取り、ごぶごぶ飲んだ。
途中、気管に入ってむせる。
「すみません、さっき」
女性が言った。
「急に水かけちゃって……。もしかして、死んじゃったのかと」
「ああ、いえ。気にしないでください」
そのまま、2人して一瞬黙り込む。
彼女は立ち去ることなく、そのまま俺の前にいた。
まだ俺に何か用があるのか。
「あっ」
俺はそれに気づき、慌てて財布を取り出す。
「すみません、水、いくらでしたか?」
財布から小銭を取り出そうとするが、暗くて見えない。
ただ、100円らしきものは手触りでわかった。
「あの、とりあえず100円」
「ああ、お金は大丈夫です。気にしないでくださいーーそれより」
女性は、俺の顔をのぞき込むようにして近づく。
近づいても、大丈夫なんだろうか。
俺今、結構ゲロ臭いんだけど。
「あの、もしかして。違ったら申し訳ないんだけど、羽柴君? 羽柴君だよね?」
バシャッ。
凍るように冷たい何かが顔面に当たった。
俺はビックリして、目を覚ます。
「ちょっと、大丈夫ですか?」
さっきの天使の声だった。
いや、天使じゃない。
人間だ。
俺は顔にかけられたものを、スーツの裾で拭う。
無臭だった。
おそらく、水だ。
水をかけられたおかげで、意識がはっきりする。
目の前にいるのが天使ではなく、スーツ姿の女性であることに気づいた。
後ろの街灯で逆光になっていたので、顔はよく見えなかったが。
「あー、あっ……ゲホッ」
酒焼けしたしゃがれた声で、俺はお礼を言う。
「すみません、起こしてくださってありがとうございます……」
本当は起こしてほしくなんてなかったけど。
そのままゴミとして処分してほしかった。
「いえ」
その女性は、俺の近くにペットボトルを置いた。
「これ、水です。良ければどうぞ」
少し蓋が空いたそれは、さっき俺にかけた水が入っていたものなのだろう。
「すみません、本当に」
俺はそれを受け取り、ごぶごぶ飲んだ。
途中、気管に入ってむせる。
「すみません、さっき」
女性が言った。
「急に水かけちゃって……。もしかして、死んじゃったのかと」
「ああ、いえ。気にしないでください」
そのまま、2人して一瞬黙り込む。
彼女は立ち去ることなく、そのまま俺の前にいた。
まだ俺に何か用があるのか。
「あっ」
俺はそれに気づき、慌てて財布を取り出す。
「すみません、水、いくらでしたか?」
財布から小銭を取り出そうとするが、暗くて見えない。
ただ、100円らしきものは手触りでわかった。
「あの、とりあえず100円」
「ああ、お金は大丈夫です。気にしないでくださいーーそれより」
女性は、俺の顔をのぞき込むようにして近づく。
近づいても、大丈夫なんだろうか。
俺今、結構ゲロ臭いんだけど。
「あの、もしかして。違ったら申し訳ないんだけど、羽柴君? 羽柴君だよね?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる