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提案
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私は、この男の発言にゾッとする。
何を言っているんだろうか、この人は。
自分が悪い?
忙しいから?
だから、あの女が私の婚約者を寝取ったと?
「な、何をおっしゃっているんですか……?」
あまりに理解不能の思考回路を眼前にして、私は震え上がった。
「私が悪い、と言いました」
バーン男爵は、私の問いに丁寧に答えた。
「私が忙しいせいで、彼女に構ってあげられず。だから、彼女はああしたのです」
「……は?」
「もちろん、私から慰謝料はお支払いします。その辺はお気になさらず」
「……」
「あっ。もしかして、今後の人生のことを気にしているんですか? 見たところ、結婚するために仕事を辞められたように見えますし……。それなら、私の口利きで仕事を紹介しましょうか? 元の仕事よりもさらに都合の良いのを紹介できますよ。それとも、婚約者以外の相手をお求めで――」
途中から、話が頭に入ってこなくなった。
次々と、矢継ぎ早に提案をしていくバーン男爵。
彼の提案は、どれも私にとってとてもメリットのあるものだった。
だけど、信じられない。
なんでこの人、そういう考えでいられるんだろう。
まるで、自分が悪いみたいに。
自分のせいで、エブリンとか言う名前の女勇者が浮気をしたんだなんて、どうしてそういう考えになれるんだろうか。
「あの」
私は、彼の言葉を遮って尋ねた。
とめどなく言葉を発していた男爵は、その口を一時停止する。
「男爵様は、どう思われているんですか?」
「どういうことでしょうか?」
「ずっと浮気され続けて、相手に、エブリンさんに対して、悲しいとか怒りとか湧いてこないんですか?」
何を言っているんだろうか、この人は。
自分が悪い?
忙しいから?
だから、あの女が私の婚約者を寝取ったと?
「な、何をおっしゃっているんですか……?」
あまりに理解不能の思考回路を眼前にして、私は震え上がった。
「私が悪い、と言いました」
バーン男爵は、私の問いに丁寧に答えた。
「私が忙しいせいで、彼女に構ってあげられず。だから、彼女はああしたのです」
「……は?」
「もちろん、私から慰謝料はお支払いします。その辺はお気になさらず」
「……」
「あっ。もしかして、今後の人生のことを気にしているんですか? 見たところ、結婚するために仕事を辞められたように見えますし……。それなら、私の口利きで仕事を紹介しましょうか? 元の仕事よりもさらに都合の良いのを紹介できますよ。それとも、婚約者以外の相手をお求めで――」
途中から、話が頭に入ってこなくなった。
次々と、矢継ぎ早に提案をしていくバーン男爵。
彼の提案は、どれも私にとってとてもメリットのあるものだった。
だけど、信じられない。
なんでこの人、そういう考えでいられるんだろう。
まるで、自分が悪いみたいに。
自分のせいで、エブリンとか言う名前の女勇者が浮気をしたんだなんて、どうしてそういう考えになれるんだろうか。
「あの」
私は、彼の言葉を遮って尋ねた。
とめどなく言葉を発していた男爵は、その口を一時停止する。
「男爵様は、どう思われているんですか?」
「どういうことでしょうか?」
「ずっと浮気され続けて、相手に、エブリンさんに対して、悲しいとか怒りとか湧いてこないんですか?」
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