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第2章
均衡
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「あの国は」
私はギルに紅茶を淹れてあげた。
「きっと、なくなっちゃうわね」
「天災によってか?」
「ええ。恐らくは」
私が今まで培ってきた、「出張聖女」としての勘だ。
「『出張聖女』として、色んな国を回ってきたんだけど。さっき言ったことは、雇ってもらう前に説明するの。
『幸福と不幸のバランスは存在します。もし聖女の力を使って国をよくしたいと考えていらっしゃるなら、そうすることで、それと同等の不幸が押し寄せてくるでしょう』
って」
だけど、たいていはみなそれを知ったうえで、「出張聖女」を利用する。
「それはね。みんな、そうせざるを得ないほど、切羽詰まってるってことなのよ」
飢饉、戦争、貧困……などなど。
今すぐにそれを解決しなければ、にっちもさっちもいかないような、そんな危機的状況に悩まされている国ばかりだったのだ。
「確かにあそこも最初、そうだった。貧しく、災害の多い国。人々の幸福度は低かった」
だけど、膨大な魔力を一時的であれ手に入れた彼らは、だんだんと狂っていく。
「私も、ギーリウス王国の国王陛下には、きちんとその話、してあげたわ。よくよく思い返せば、なんか生返事だったけど」
しかし、彼らは私の忠告を無視した。
私をただの魔力を膨大に持つ装置に仕立て上げ、その幸福を湯水のように使った。
「彼らが無駄にした幸福は、国一生分は優に超えているわ。確実に、滅ぶでしょうね」
「じゃあ、どうするんだ?」
と、ギル。
「どうも出来ないわよ」
私は答えた。
「幸福と不幸の均衡は、私たちごときが出来る問題じゃない。神様がするの。だから、私たちが彼を止めることなんて出来ない」
「それじゃあ……」
ギルは暗い表情を浮かべる。
「あいつらは、全員死ぬかもしれねぇってことか」
「さすがにそこまではしないと思うけど。一生分の幸福を使い切った人は、そうかもしれないわね」
私は他人事のように答えた。
「まあ、これも定めよ。仕方がないことなの」
「哀れだな」
ギルは遠い目をしていった。
私はもう一度眠ろうとソファに寝転がったが、その後発したギルの爆弾発言を聞いて、飛び起きた。
「ギーリウス王国の王子も行方不明だっていうしな……。お前が結構気に入ってるぽかったが、その子も連中の犠牲になるのか」
「えっ!? ルドルフ殿下が!?」
私はギルに紅茶を淹れてあげた。
「きっと、なくなっちゃうわね」
「天災によってか?」
「ええ。恐らくは」
私が今まで培ってきた、「出張聖女」としての勘だ。
「『出張聖女』として、色んな国を回ってきたんだけど。さっき言ったことは、雇ってもらう前に説明するの。
『幸福と不幸のバランスは存在します。もし聖女の力を使って国をよくしたいと考えていらっしゃるなら、そうすることで、それと同等の不幸が押し寄せてくるでしょう』
って」
だけど、たいていはみなそれを知ったうえで、「出張聖女」を利用する。
「それはね。みんな、そうせざるを得ないほど、切羽詰まってるってことなのよ」
飢饉、戦争、貧困……などなど。
今すぐにそれを解決しなければ、にっちもさっちもいかないような、そんな危機的状況に悩まされている国ばかりだったのだ。
「確かにあそこも最初、そうだった。貧しく、災害の多い国。人々の幸福度は低かった」
だけど、膨大な魔力を一時的であれ手に入れた彼らは、だんだんと狂っていく。
「私も、ギーリウス王国の国王陛下には、きちんとその話、してあげたわ。よくよく思い返せば、なんか生返事だったけど」
しかし、彼らは私の忠告を無視した。
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「彼らが無駄にした幸福は、国一生分は優に超えているわ。確実に、滅ぶでしょうね」
「じゃあ、どうするんだ?」
と、ギル。
「どうも出来ないわよ」
私は答えた。
「幸福と不幸の均衡は、私たちごときが出来る問題じゃない。神様がするの。だから、私たちが彼を止めることなんて出来ない」
「それじゃあ……」
ギルは暗い表情を浮かべる。
「あいつらは、全員死ぬかもしれねぇってことか」
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私は他人事のように答えた。
「まあ、これも定めよ。仕方がないことなの」
「哀れだな」
ギルは遠い目をしていった。
私はもう一度眠ろうとソファに寝転がったが、その後発したギルの爆弾発言を聞いて、飛び起きた。
「ギーリウス王国の王子も行方不明だっていうしな……。お前が結構気に入ってるぽかったが、その子も連中の犠牲になるのか」
「えっ!? ルドルフ殿下が!?」
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